相続とは?遺産相続の基本と仕組みを簡単にわかりやすく解説

相続の基本と遺産相続の仕組みを解説する記事のアイキャッチ

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親や配偶者が亡くなって、『相続って、何から考えればいいの?』と戸惑っていませんか。

結論から言うと、相続とは亡くなった人の財産も借金もまとめて家族が引き継ぐことです。誰が、どれだけ、どうやって引き継ぐかには、民法で決まったルールがあります。

この記事では、遺産相続の基本ルールと手続きの流れを、具体的な家族の例で当てはめながら見ていきます。

目次

相続とは?簡単に言うと「亡くなった人の財産と借金を引き継ぐこと」

先に結論

相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利、借金などの義務を、配偶者や子などの相続人が引き継ぐことです。相続は亡くなった瞬間に始まり、誰が相続人になるか・どれだけ受け取るかは民法で決まっています。

相続という言葉の意味は「受け継ぐこと」です。遺産相続、財産相続、資産相続と呼び方はいろいろありますが、中身は同じなんです。

ここで大事なのは、引き継ぐのはプラスの財産だけではないことです。住宅ローンの残りやカードの未払いなど、マイナスの財産も一緒に引き継ぎます。

『借金まで引き継ぐなんて聞いてない』と感じる方もいますよね。そのために、相続しないことを選べる「相続放棄」という仕組みもあります。後ほど詳しく見ていきます。

相続で使う言葉を先に押さえておこう

言葉意味
被相続人亡くなって財産を残した人
相続人財産を引き継ぐ人
遺産(相続遺産)亡くなった人が残した財産と借金
法定相続人民法で決まっている相続人
法定相続分民法で決まっている取り分の目安
遺産分割協議相続人全員で遺産の分け方を話し合うこと

相続する財産・しない財産

相続で引き継ぐ遺産は、大きく分けて次の3つです。

種類主な例
プラスの財産預貯金・現金・土地・建物・株式・車・貴金属
マイナスの財産借入金・住宅ローンの残り・未払いの税金や医療費
相続しないもの墓地・墓石・仏壇などの祭祀財産、その人だけの資格や権利

墓地や仏壇などの祭祀財産は、遺産分割の対象とは別に扱われ、引き継ぐ人が決まります。相続税もかかりません。

また、生命保険金は、受取人に指定された人の固有の財産です。相続放棄をしても受け取れるのが特徴なんです。

遺族年金や未支給年金も、相続財産とは別に受け取れます。どの財産が対象になるかの一覧は、相続財産とはで確認してみてください。

遺産の分け方のパターンは3つ

遺産相続の分け方は、大きく次の3つのパターンに分かれます。

  • 遺言書のとおりに分ける
  • 相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分ける
  • 話し合いがまとまらず、家庭裁判所の調停や審判で決める

どのパターンになっても、「誰が相続人か」「取り分の目安はいくらか」という基本ルールは共通です。この2つを先に押さえておくと、話し合いもぐっと進めやすくなります。

相続人以外の人に遺言で財産を渡すことを「遺贈」といいます。相続との違いは遺贈と相続の違いで解説しています。

誰が相続する?相続人の範囲と順位のルール

相続の基本ルールの1つめは、「誰が相続人になるか」です。

配偶者は、常に相続人になります。そのうえで、亡くなった人の血族が次の順位で相続人になります。

順位相続人になる人代わりに相続する人(代襲相続)
常に配偶者なし
第1順位子子が亡くなっていれば孫
第2順位直系尊属(父母・祖父母)なし
第3順位兄弟姉妹亡くなっていれば甥・姪まで

上の順位の人が1人でもいれば、下の順位の人は相続人になりません。例えば、子がいれば、亡くなった人の親や兄弟姉妹は相続人にならないんです。

子が先に亡くなっている時は、その子の子(孫)が代わりに相続人になります。これを代襲相続といいます。

一方、相続の手続き中に相続人が亡くなり、その相続人の相続も重なることがあります。これは数次相続と呼ばれ、代襲相続とは別の仕組みです。違いは数次相続とはで解説しています。

配偶者と第1順位から第3順位までの相続人の範囲を示した図解

相続人になる人・ならない人の注意点

よく迷うのが、次のようなケースです。

  • 認知された子や養子は、実子と同じ相続分を持つ
  • 前妻(前夫)との子も相続人になる
  • 内縁の配偶者は相続人にならない
  • 甥・姪の子は代襲相続しない

内縁の配偶者は相続人ではありません。ただ、他に相続人がいない時は、特別縁故者として家庭裁判所に財産の分与を申し立てる方法があります。

相続人の範囲をもっと詳しく知りたい方は、法定相続人とはを見てみてください。

どれくらいもらえる?法定相続分のルール

相続の基本ルールの2つめは、「どれだけ受け取るか」です。民法では、相続人の組み合わせごとに取り分の目安が決まっています。これを法定相続分といいます。

相続人の組み合わせ配偶者血族
配偶者と子1/21/2
配偶者と直系尊属(父母など)2/31/3
配偶者と兄弟姉妹3/41/4

同じ順位の人が複数いる時は、血族の取り分を人数で均等に分けます。ただし、父母の片方だけが同じ兄弟姉妹(半血)は、両方が同じ兄弟姉妹の1/2になります。

遺産6,000万円の場合の分け方の例

例えば、夫が遺産6,000万円を残して亡くなったケースで、家族構成ごとに当てはめてみましょう。

家族構成配偶者の取り分他の相続人の取り分
妻と子2人3,000万円子1人あたり1,500万円
妻と夫の父母(子なし)4,000万円父母1人あたり1,000万円
妻と夫の兄弟2人(子・親なし)4,500万円兄弟1人あたり750万円

『この割合どおりに分けないとダメなの?』と思うかもしれません。実はそうではありません。

法定相続分は、あくまで目安です。遺言書があればその内容が優先されますし、相続人全員が合意すれば、法定相続分と違う分け方もできます。

『義理の親をずっと介護してきたのに、何ももらえないの?』という声もよく聞きます。息子の妻のように相続人でない親族でも、無償で介護などをして財産の維持に貢献した場合は、相続人に特別寄与料を請求できます。

請求できるのは、相続の開始と相続人を知った時から6か月以内、かつ相続開始から1年以内です。

子どもの立場から見た分け方は、親の遺産相続の基本と兄弟の人数別の割合で詳しく解説しています。

相続する?しない?3つの選び方と期限

相続人は、遺産をどう引き継ぐかを選べます。選び方は次の3つです。

単純承認
  • プラスもマイナスもすべて引き継ぐ
  • 特に手続きをしなければ、この扱いになる
相続放棄
  • プラスもマイナスも一切引き継がない
  • 家庭裁判所への申述が必要

3つめが限定承認です。プラスの財産の範囲内でだけ借金を引き継ぐ方法で、相続人全員がそろって申し立てる必要があります。

相続放棄と限定承認の期限は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内です。亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

相続放棄の費用は、申し立てる人1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手、それに戸籍謄本などの取得費です。思ったより手軽に感じる方も多いかもしれません。

財産の調査に時間がかかって3か月では決められない時は、家庭裁判所に期間を延ばしてもらう申立てもできます。

また、放棄した後も、実際に管理している財産は、他の相続人などに引き渡すまで保存しておく義務があります。放棄したからといって、すぐに家財を処分してよいわけではない点に注意しておきましょう。

気をつけたいこと

遺産を使ったり売ったりすると、単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。借金が多そうな時は、遺品の処分や預金の引き出しを急がないようにしましょう。

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになります。その結果、次の順位の人が相続人になる点も覚えておきたいところです。

例えば、子全員が放棄すると、亡くなった人の親、親もいなければ兄弟姉妹へと相続権が移ります。

「借金があるみたいだから、放棄しようと思う」

「それなら、叔父さんたちにも先に伝えておいたほうがいいね」

こんなふうに、放棄する時は次の順位の親族にも一言伝えておくと、後のトラブルを防げます。

遺言書がある時・ない時の遺産の分け方

遺産の分け方は、遺言書があるかどうかで大きく変わります。

遺言書がある場合

遺言書があれば、原則としてその内容に沿って分けます。

ただし、兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の取り分である「遺留分」があります。遺言で取り分が極端に少なくされた場合は、遺留分侵害額請求としてお金で請求できます。

例えば、妻と子2人が相続人で遺産が6,000万円なら、全体の遺留分は1/2の3,000万円です。子1人の遺留分は、そのうち1/4にあたる750万円になります。

遺留分侵害額請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で請求できなくなります。

遺言書は、自分で書く自筆証書遺言なら家庭裁判所の検認が必要です。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使って預けたものや、公証役場で作る公正証書遺言は検認がいりません。

遺言書がない場合

遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議をして分け方を決めます。1人でも反対すれば成立しません。

話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所の調停、それでも決まらなければ審判へと進みます。

『分け方を決めるのに期限はあるの?』と気になりますよね。遺産分割そのものに法律上の期限はありません。

ただ、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、生前贈与などの特別受益や寄与分を原則として主張できなくなりました。先延ばしにせず、早めに話し合っておくのがおすすめです。

なお、残された配偶者が自宅に住み続けられるよう、2020年4月1日からは配偶者居住権という制度もできています。自宅の権利を「住む権利」と「所有権」に分けて相続できる仕組みです。

兄弟間で話がこじれた時の対処法は、相続争い・相続問題も参考にしてみてください。

相続が起きたらやることの流れと期限

相続が起きると、短い期限の手続きが次々にやってきます。主な流れを時系列で見ておきましょう。

相続手続きの主な流れ
  1. 死亡届を出す(死亡を知った日から7日以内)
  2. 年金の受給を止める(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)
  3. 健康保険の資格喪失・世帯主変更の届出(14日以内)
  4. 遺言書の有無を確認し、相続人と財産を調べる
  5. 相続放棄・限定承認をするか決める(3か月以内)
  6. 亡くなった人の所得税の準確定申告(4か月以内)
  7. 遺産分割協議をして、遺産分割協議書を作る
  8. 相続税の申告と納付(10か月以内)
  9. 不動産の相続登記(取得を知った日から3年以内)
相続が起きてから相続税の申告・相続登記までの期限を示したタイムライン

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

戸籍を集める手間も、以前より軽くなっています。2024年3月1日からは、本籍地以外の市区町村の窓口でも、親や子などの戸籍をまとめて請求できるようになりました。

『葬儀代や当面の生活費は、口座が凍結されたらどうするの?』という不安もありますよね。遺産分割の前でも、預貯金の仮払い制度を使えば、相続人が単独で一部を払い戻せます。

金額は1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額×1/3×その相続人の法定相続分」で、上限は150万円です。

銀行や法務局での手続きが多い時は、法務局で無料で交付される「法定相続情報一覧図の写し」を取っておくと便利です。戸籍の束の代わりに使えます。

全体の手順をもっと細かく知りたい方は、相続手続きの流れで順番に確認できます。

相続税がかかりそうなら早めに相談を

遺産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除を超えると、相続税の申告が必要です。妻と子2人なら、基礎控除は4,800万円になります。

自宅の土地がある、相続人が多い、10か月の期限が近い。こんな時は、相続税に詳しい税理士に早めに相談しておくと、財産の評価や特例の判断を任せられます。

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よくある質問

相続はいつから始まるのですか?

亡くなった瞬間に始まります。何か手続きをしたから始まるわけではありません。

借金しか残っていない時はどうすればいいですか?

相続放棄を検討しましょう。自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てます。

子どものいない夫婦で夫が亡くなると、妻がすべて相続しますか?

夫の親が健在なら妻と親、親もいなければ妻と夫の兄弟姉妹が相続人になります。妻だけが相続するとは限りません。

遺産分割協議に期限はありますか?

法律上の期限はありません。ただし、相続税の申告は10か月以内で、相続開始から10年を過ぎると特別受益や寄与分を原則主張できなくなります。

相続人が認知症の場合はどうなりますか?

遺産分割協議に参加できず、成年後見人が必要になることがあります。詳しくは関連記事で解説しています。

まとめ

この記事の要点
  • 相続とは、亡くなった人の財産も借金もまとめて引き継ぐこと
  • 配偶者は常に相続人。その次は子、親、兄弟姉妹の順
  • 法定相続分は目安で、遺言や全員の合意で変えられる
  • 借金が多い時は、3か月以内に相続放棄や限定承認を選べる
  • 遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議をする
  • 相続税の申告は10か月以内、相続登記は3年以内
相続の手引き

相続の手引き 編集部

相続・相続税の制度と手続きを、公的機関の公開情報をもとにわかりやすく解説しています。 公式サイト

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