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家族が亡くなって、何から手をつければいいのか分からない。『相続の手続きって、どこで何をすればいいの?』と途方に暮れている方も多いですよね。
結論から言うと、相続手続きは「期限の短いものから順番に」進めれば大丈夫です。最初の7日、3か月、4か月、10か月、3年という5つの区切りを押さえておけば、全体の流れが見えてきます。
この記事を読み終える頃には、自分の家族の場合にいつまでに何をすればいいか、順番を書き出せるようになっているはずです。
相続手続きの流れを先に全体で見る
- 相続手続きは「死亡直後の届出」「相続の方針決め」「遺産の分け方決め」「名義変更・申告」の4段階で進みます。
- 期限の目安は7日(死亡届)・3か月(相続放棄)・4か月(準確定申告)・10か月(相続税)・3年(相続登記)です。
- 期限があるものを先に、期限のないものは落ち着いてから進めれば間に合います。
相続手続きとは、亡くなった人の財産や借金を、誰がどう受け継ぐかを決めて、名義や税金の手続きをすることです。
「遺産相続の手続き」「財産相続の手続き」と呼ばれることもありますが、中身は同じです。
まずは全体の流れを、フローチャートのように時間の順に並べてみます。この表を手元の相続手続きマニュアル代わりに使ってみてください。
| 時期の目安 | やること | 手続きする場所 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出 | 市区町村役場 |
| 10日・14日以内 | 年金の受給停止、健康保険の資格喪失、世帯主変更 | 年金事務所・市区町村役場 |
| できるだけ早く | 遺言書の確認、相続人の調査、財産の調査 | 自宅・公証役場・法務局・市区町村役場など |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認をするか決める | 家庭裁判所 |
| 4か月以内 | 準確定申告(亡くなった人の所得税) | 税務署 |
| 10か月以内 | 遺産分割協議、相続税の申告・納付 | 税務署 |
| 3年以内 | 相続登記(不動産の名義変更) | 法務局 |

『こんなにあるの?』と思いますよね。
ただ、全部を一度にやる必要はありません。一つずつ片付けていけば、ちゃんと終わります。
亡くなってすぐ(7日〜14日以内)にやる手続き
最初の2週間は、役所への届出が中心です。葬儀と重なって慌ただしい時期なので、まずは期限だけ押さえておきましょう。
- 死亡届: 死亡を知った日から7日以内に市区町村役場へ
- 年金の受給停止: 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内
- 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失: 14日以内
- 世帯主変更届: 14日以内(残った世帯員が1人なら不要)
死亡届は、葬儀社が提出を代行してくれることもあります。
亡くなった人が受け取っていない年金があれば、「未支給年金」として家族が請求できます。時効は5年です。
葬祭費や埋葬料も、加入していた健康保険に請求できます。こちらは2年以内です。
なお、遺族年金・未支給年金・死亡一時金は、相続税の対象になりません。
亡くなった直後にやることは親が亡くなったらすること一覧で、チェックリストにまとめています。
相続の方針を決める(3か月以内)
届出が落ち着いたら、いよいよ相続の手続きです。ここで決めたいのは「そもそも相続するか」です。
遺言書があるか確認する
最初に、遺言書があるかを確認します。遺言書があれば、基本はその内容に沿って財産を分けるからです。
- 自宅の金庫・仏壇・机の引き出しなどを確認する
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度で預けていないか確認する
- 公正証書遺言は公証役場で作られているか確認する
自宅で見つかった自筆の遺言書は、勝手に開けずに家庭裁判所で「検認」を受けます。法務局に保管されていたものと、公正証書遺言は検認がいりません。
相続人を調べる
次に、誰が相続人かを戸籍で確定させます。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めると、前の結婚の子や認知した子がいないかまで分かります。
2024年3月1日からは戸籍の広域交付が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも、親や子の戸籍をまとめて請求できるようになりました。
『うちは家族構成が分かっているから、戸籍はいらないのでは?』と思う方もいますよね。
実は、銀行や法務局の手続きでは、戸籍で相続人を証明するよう求められます。集めた戸籍は法務局で「法定相続情報一覧図の写し」にしておくと、何か所もの手続きで使い回せて楽です。取り方は法定相続情報一覧図の取得方法で解説しています。
亡くなった人の財産を調べる
財産調査では、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も調べます。
- 通帳・キャッシュカード、銀行からの郵便物
- 固定資産税の納税通知書(土地・家)
- 証券会社からの取引報告書
- 生命保険の証券
- ローンやカードの明細、借用書
相続放棄をするか3か月以内に決める
借金の方が多そうな時は、相続放棄を考えます。期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です。
家庭裁判所に申述し、費用は申述人1人につき収入印紙800円と郵便切手などです。
ここで注意したいのが、亡くなった人の預金を使ったり、財産を売ったりすると、相続したものとみなされて放棄できなくなることがある点です。
『とりあえず葬儀代を口座から出そう』と動く前に、借金がないかだけは確認しておきましょう。詳しくは相続放棄とはで解説しています。
準確定申告と遺産分割協議(4か月〜10か月)
方針が決まったら、税金と遺産の分け方に進みます。
準確定申告は4か月以内
亡くなった人に事業収入や不動産収入があった場合などは、亡くなった年の所得税を相続人が申告します。これが準確定申告で、期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
遺産分割協議で分け方を決める
遺言書がなければ、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。これが遺産分割協議です。
全員の合意が必要で、一人でも反対していると成立しません。まとまったら遺産分割協議書を作り、全員が署名・実印で押印します。
例えば、夫が亡くなり妻と子2人が相続するケースなら、「自宅は妻、預金は3人で分ける」のように財産ごとに決めていきます。
遺産分割に法律上の期限はありません。ただ、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、生前の援助や介護の貢献を主張できなくなりました(原則は法定相続分で分けます)。
話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所の調停、それでも決まらなければ審判へ進みます。相続で裁判所を使う手続きは、遺言書の検認・相続放棄・遺産分割調停が代表的です。
相続税の申告と名義変更(10か月〜3年)
分け方が決まったら、名義変更と相続税の申告です。
相続税の申告・納付は10か月以内
相続税は、遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えた時にかかります。妻と子2人なら4,800万円、子2人だけなら4,200万円です。
申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。申告先は亡くなった人の住所地の税務署です。
| 相続人 | 法定相続人の数 | 相続税がかからない上限(基礎控除) |
|---|---|---|
| 子1人 | 1人 | 3,600万円 |
| 子2人 | 2人 | 4,200万円 |
| 妻と子2人 | 3人 | 4,800万円 |
| 妻と子3人 | 4人 | 5,400万円 |
10か月までに遺産分割がまとまらない時は、法定相続分で分けたと仮定して申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきます。そうすれば、分割が決まった後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。
ここが大事なところです。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額が0円になる場合も、申告は必要なんです。
『土地があるけど、評価額がいくらになるか分からない』『特例が使えるか判断できない』という場合は、10か月の期限から逆算して早めに税理士に相談しておくと安心です。
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預金・株・不動産の名義変更
財産ごとに、名義変更や払い戻しの手続きをします。

| 財産 | 手続きする場所 | 主な書類 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 各銀行・ゆうちょ銀行 | 戸籍(または法定相続情報一覧図)、遺産分割協議書、印鑑証明書 |
| 株・投資信託 | 証券会社 | 同上、相続人の口座 |
| 土地・家 | 不動産の所在地を管轄する法務局 | 同上、登記申請書 |
| 自動車 | 運輸支局など | 同上 |
銀行は、亡くなったことを伝えると口座が凍結されます。葬儀代などで急ぎの時は、預貯金の仮払い制度を使えば、1つの銀行ごとに「相続開始時の預金額×1/3×その人の法定相続分」(上限150万円)まで、一人で払い戻しできます。
流れの詳細は銀行の相続手続きで解説しています。
相続登記は3年以内
土地・家などの不動産は、相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をします。2024年4月1日から義務になり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。
畑や田んぼなどの農地を相続した場合は、登記とは別に、市町村の農業委員会への届出も必要になります。
遺産相続の手続き完了までの期間はどれくらい?
『全部終わるまで、どのくらいかかるの?』というのは、よく聞かれる疑問です。
正直に言うと、家族ごとに大きく違います。相続税がかからず、相続人が少なく、財産も預金と自宅だけなら、数か月で一通り終わることもあります。
一方で、相続税の申告がある場合は10か月の期限に向けて動くことになり、相続人同士の話し合いがまとまらなければ、調停などでさらに時間がかかります。
- 相続人が多い、または疎遠な相続人がいる
- 前の結婚の子など、会ったことのない相続人がいる
- 土地が複数あって分け方が決めにくい
- 亡くなった人の財産の全体が分からない
- 祖父母名義のままの不動産がある
こうしたケースに心当たりがあるなら、最初から期限に余裕を持って動いておきましょう。
相続手続きは自分でできる?誰に頼む?
相続手続きは、自分たちだけで進めることもできます。役所や銀行の手続きは、書類さえそろえば相続人が自分でできるものがほとんどです。
ただ、手続きによって頼める専門家が違います。
| 専門家 | 頼めること |
|---|---|
| 税理士 | 相続税の申告(税理士の独占業務)、財産の評価、準確定申告 |
| 司法書士 | 相続登記の代理、法定相続情報一覧図の申出 |
| 弁護士 | 遺産分割の交渉・調停の代理、相続放棄の手続き |
| 行政書士 | 戸籍の収集、遺産分割協議書の作成 |
『全部自分でやって費用を浮かせたい』という方もいますよね。
それも一つの選択です。ただ、相続税の申告は計算や土地の評価が難しく、間違えると後から税金が増えることも。自分でやるか迷ったら、相続手続きは自分でできる?で判断の目安を確認してみてください。費用の考え方は相続手続きの費用相場にまとめています。
手続きをしてくれた家族へのお礼
相続人の一人が代表して手続きを進めてくれた時、『何かお礼をした方がいいのかな』と悩む方もいます。
お礼の形に決まりはありません。完了した時に、手続きの結果を書いた手紙と一緒に感謝を伝える方もいます。
例えばこんな一言です。
「手続き、全部やってくれてありがとう。おかげで落ち着いて四十九日を迎えられたよ」
お金を渡す場合は、遺産分割協議の中で、手続きを担った人の取り分として決めておくと、後で揉めにくくなります。
相続税の申告がありそうで、土地の評価や特例の判断に不安がある。そんな時は、相続税に詳しい税理士に申告をまとめて任せると、家族の負担はぐっと軽くなります。
よくある質問
相続手続きは何から始めればいいですか?
最初は死亡届(7日以内)と年金・健康保険の届出です。その後、遺言書の確認、戸籍による相続人の調査、財産の調査の順に進め、3か月以内に相続放棄をするか決めます。
相続の手続きはどこでしますか?
手続きごとに違います。死亡届や世帯主変更は市区町村役場、相続放棄や遺言書の検認は家庭裁判所、相続税と準確定申告は税務署、相続登記は法務局、預金は各銀行です。
遺産相続の手続き完了までの期間はどれくらいですか?
家族ごとに違います。相続税がかからず財産が少なければ数か月で終わることもありますが、相続税の申告がある場合は10か月の期限に向けて進め、話し合いが長引けばさらにかかります。
相続手続きに期限はありますか?
主な期限は、死亡届7日以内、相続放棄3か月以内、準確定申告4か月以内、相続税の申告・納付10か月以内、相続登記3年以内です。遺産分割そのものに期限はありません。
相続税がかからなくても手続きは必要ですか?
預金や不動産の名義変更は、相続税の有無に関係なく必要です。相続税の申告は基礎控除以下なら不要ですが、特例を使って0円になる場合は申告が必要です。
まとめ
- 相続手続きは「届出」「方針決め」「分け方決め」「名義変更・申告」の順に進める
- 主な期限は7日・3か月・4か月・10か月・3年
- 遺言書の確認、戸籍での相続人調査、財産調査を早めに済ませる
- 借金が多そうなら、財産に手をつける前に相続放棄を検討する
- 相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えたらかかる
- 特例で0円になる時も申告が必要
まずはこの記事の表を見ながら、自分の家族の場合に必要な手続きに印をつけてみてください。期限の近いものから順に進めれば大丈夫です。
期限の一覧は遺産相続の期限一覧でも確認できます。相続税の申告期限は国税庁「相続税の申告と納税」でも案内されています。






