当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
親が住んでいた家が空き家になった。誰も住む予定がないし、『相続の手続きをしないで、そのまま解体したり売ったりできないの?』と考える方も多いはずです。
結論から言うと、相続せずに解体や売却はできません。家を売るには、相続人の名義に変える相続登記が先に必要なんです。
この記事を読めば、相続した家を売るまでの順番と、自分の家に合った売り方、売った時の税金の目安が分かります。
相続せずに解体・売却はできる?
- 亡くなった人名義の家は、相続人全員のものになっています。相続人の誰か1人の判断で解体や売却はできません。
- 売るには、遺産分割で誰が取得するかを決めて、相続登記で名義を変えてから売ります。
- 相続放棄を考えているなら、解体や売却をすると「単純承認」とみなされて放棄できなくなることがあります。
『どうせ売るんだから、名義なんてどうでもいいのでは?』と思いますよね。ただ、買う側から見ると、登記の名義人と売る人が一致していないと取引ができないんです。
亡くなった人の名義のままでは、売買の登記ができません。だから、先に相続登記をして、相続人の名義にしておく必要があります。
解体だけなら先にできる?
解体も、建物を処分することに変わりはありません。相続人が複数いるなら、全員の同意が必要です。
例えば、兄弟でこんなやり取りになることがあります。
「古い家だし、先に壊しておいたほうが売りやすいよね」
「でも、借金があったら相続放棄するかもって話してたよね」
亡くなった人に借金があるかもしれない時は、先に財産と借金を調べるのが先です。相続放棄の期限は、相続の開始を知った時から3か月以内なので、解体を急ぐ前に確認しておきましょう。
解体した後は、建物が無くなったことを登記に反映させる手続き(建物の滅失登記)も必要になります。
相続した家を売るまでの流れ
相続した家を売る時は、おおまかにこの順番で進めます。全体の手続きは相続手続きの流れでも確認できます。
- 遺言書があるか確認する
- 戸籍を集めて、相続人が誰かを確定させる
- 家や土地以外も含めて、財産と借金を調べる
- 相続人全員で遺産分割協議をして、誰が取得するか(または売って分けるか)を決める
- 相続登記で名義を変える
- 不動産会社に相談して売り出す
- 売れたら、必要に応じて分ける・税金の申告をする

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります。
『売るまで登記はいらない』と考えていた方は、ここは気をつけたいところです。
換価分割(換価相続)なら売ってから分けられる
兄弟で実家を分けたい時によく使われるのが、換価分割です。家を売ってお金に換え、そのお金を分ける方法なんです。
| 分け方 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 換価分割 | 売って現金を分ける | 誰も住まない・公平に分けたい |
| 代償分割 | 1人が取得し、ほかの相続人にお金を払う | 誰かが住み続けたい |
| 現物分割 | 家はA、預金はBのように分ける | ほかに同じくらいの財産がある |
| 共有 | 持分で共有する | 一時的な場合のみ(後で揉めやすい) |
換価分割でも、売る前にいったん相続人の名義に登記します。代表者1人の名義にして売り、代金を分けることもできますが、その場合は遺産分割協議書に「売って分ける」ことを書いておきましょう。そうしないと、贈与と見られることがあります。
相続人の中に認知症の人がいると、その人が遺産分割協議に参加できず、家を売る話が止まってしまうこともあります。その場合の進め方は認知症の人の相続で確認してみてください。
相続人同士で話がまとまらない時の対処は相続争い・相続問題で解説しています。
相続した家の売り方は?
売り方にはいくつか種類があります。家の状態や、急ぐかどうかで選び方が変わります。
| 売り方 | 特徴 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 仲介で売る | 不動産会社が買い手を探す | 売れるまで時間がかかることがある |
| 買取(相続物件・訳あり物件の買取を含む) | 不動産会社が直接買う | 仲介より価格が下がりやすい |
| 解体して更地で売る | 古い家を壊して土地として売る | 解体費用がかかる。固定資産税が上がることがある |
| リースバック | 売った後も家賃を払って住み続ける | 家賃や契約期間を確認する |
| 建て替えて住む・貸す | 売らずに活用する | 建て替え費用と、誰が取得するかの合意が必要 |
『古い家だから、壊さないと売れないのでは?』という声もよく聞きます。実は、古家付きのまま売れることもあります。解体してから売るかどうかは、不動産会社に相談してから決めてみてください。
家財が残っている場合は、遺品の片付けも必要です。相続人の誰が片付けるのか、費用をどう分けるのかも、先に話しておくと揉めにくくなります。
相続した不動産を売った時の税金
相続した家を売って利益が出ると、譲渡所得として所得税・住民税がかかります。この時、取得費や取得した時期は、亡くなった人のものを引き継ぎます。
ここで使える特例が2つあります。
- 取得費加算の特例: 相続税を払った人が、申告期限の翌日から3年以内に売った場合、払った相続税の一部を取得費に足せる
- 空き家の3,000万円特別控除: 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家などを、2027年12月31日までに売った場合に使える。2024年1月1日以降の売却で相続人が3人以上なら1人2,000万円
どちらも要件が細かいので、使えるかどうかは税理士に確認しておくと安心です。
また、家の価格によっては、売る前に相続税がかかることもあります。相続税は遺産の合計が基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えた時にかかります。くわしくは相続税とはで確認できます。
実家のほかに土地や預貯金がある、相続人が多い、売る時期と相続税の申告期限(亡くなった日の翌日から10か月以内)が重なりそう、という方は、相続税と売却の税金をまとめて税理士に相談すると手間が減ります。
相続税の申告・相談先に迷ったら
相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介
知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

- 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
- 紹介は無料、24時間365日受付
- 最短当日に税理士を紹介してもらえる
- 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営
申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

かんたん30秒・24時間365日受付
税理士ドットコムで相続に強い税理士を探す(無料)
税理士ドットコムの紹介ページに移動します
よくある質問
相続せずに家を解体することはできますか?
できません。亡くなった人の家は相続人全員のものになっているので、解体するには相続人全員の同意が必要です。相続放棄を考えているなら、解体すると放棄できなくなることがあります。
相続登記をしないで家を売れますか?
売れません。売買の登記をするには、先に相続登記で相続人の名義にしておく必要があります。相続登記は取得を知った日から3年以内の義務です。
換価分割で代表者1人の名義にして売っても大丈夫ですか?
できますが、遺産分割協議書に「売って代金を分ける」と書いておきましょう。書いていないと、代金を分けた時に贈与と見られることがあります。
遺産分割がまとまらないと、相続登記の義務はどうなりますか?
期限内にまとまらない時は、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」で義務を果たせます。ただし、これだけでは家を売ることはできないので、売る前に遺産分割と相続登記が必要です。
まとめ
- 相続せずに解体や売却はできず、相続人全員の合意と相続登記が先に必要です。
- 相続放棄を考えているなら、解体や売却の前に財産と借金を調べましょう。
- 兄弟で分けるなら、売ってから現金を分ける換価分割がよく使われます。
- 売り方には仲介・買取・解体して売る・リースバックなどがあります。
- 売った時は取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除が使えることがあります。






