当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
銀行や法務局で『遺産相続協議書を出してください』と言われて、『何をどう書けばいいの?』と手が止まっていませんか。
結論から言うと、遺産相続協議書は、相続人全員で決めた遺産の分け方を書いて、全員が署名・実印を押した書類です。ひな形どおりに書けば、自分で作ることもできます。この記事では、テンプレートと書き方の手順、よくある失敗がわかります。
遺産相続協議書とは?
遺産相続協議書(相続協議書)は、正式には「遺産分割協議書」といい、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方を書面にしたものです。決まった書式はありませんが、相続人全員の署名と実印の押印、印鑑証明書の添付が必要です。不動産の相続登記、預金の解約、相続税の申告などで使います。
「遺産相続協議書」「相続協議書」と呼ばれることもありますが、中身は同じです。
遺産分割協議は、相続人全員が合意しないと成立しません。1人でも欠けていると、その協議書は使えないんです。相続人が誰になるかは法定相続人とはで確認できます。
遺産相続協議書が必要になる場面
| 場面 | 提出先 |
|---|---|
| 不動産の相続登記 | 法務局 |
| 預貯金の解約・名義変更 | 銀行・ゆうちょ銀行など |
| 株式・投資信託の名義変更 | 証券会社 |
| 相続税の申告 | 税務署 |
| 自動車の名義変更 | 運輸支局など |
遺言書どおりに分ける場合や、相続人が1人だけの場合は、協議書がいらないこともあります。
遺産分割に期限はある?
遺産分割そのものに法律上の期限はありません。ただ、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました。
相続税の申告期限(亡くなった日の翌日から10か月以内)までに分け方が決まっていないと、特例が使いにくくなることもあります。早めに話し合いを始めておきましょう。
遺産相続協議書のひな形・テンプレート
『ゼロから書くのは不安…』という方は、次のひな形をもとに作ってみてください。
遺産分割協議書
被相続人 ○○○○(令和○年○月○日死亡)
最後の本籍 ○○県○○市○○町○番地
最後の住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
上記の者の相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行い、次のとおり分割することに合意した。
- 相続人○○○○は、次の不動産を取得する。<br>所在 ○○市○○町○丁目/地番 ○番○/地目 宅地/地積 ○○.○○平方メートル
- 相続人○○○○は、次の預金を取得する。<br>○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○
- 本協議書に記載のない遺産が後日見つかった場合は、相続人○○○○が取得する。
以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本協議書を作成し、各自署名押印のうえ1通ずつ保有する。
令和○年○月○日
(相続人全員の住所・署名・実印)
法務局のホームページにも、相続登記用の遺産分割協議書の記載例が載っています。テンプレートを使う時は、自分の家の財産に合わせて書き換えましょう。

遺産相続協議書の書き方の手順
協議書を書く前に、相続人と財産を確定させておくことが大切です。
- 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を確定する
- 不動産・預金・株などの財産を調べて一覧にする
- 相続人全員で、誰が何を取得するか話し合う
- 合意した内容を協議書に書く(パソコンで作成してもよい)
- 相続人全員が署名し、実印を押す
- 全員の印鑑証明書をそろえる
戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村窓口でもまとめて請求できます(広域交付)。法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してもらえば、手続きのたびに戸籍の束を出さずに済みます。
財産ごとの書き方の例
財産は「どれのことか」が他の人にもわかるように特定して書きます。
| 財産 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 土地・建物 | 登記簿の所在・地番(家屋番号)・種類・面積 |
| 預貯金 | 銀行名・支店名・種類・口座番号(金額は書かなくてもよい) |
| ゆうちょ銀行 | 記号・番号 |
| 株式・投資信託 | 証券会社名・支店名・銘柄・数量 |
| 自動車 | 登録番号・車台番号 |
| 借金 | 誰が負担するか(ただし貸した側には主張できないことがある) |
借金を「長男が全部払う」と決めても、お金を貸した側が同意しなければ、他の相続人も法定相続分で返す責任が残ることがあるんです。借金が多い時は、3か月以内の相続放棄も含めて考えてみてください。
ゆうちょ銀行の手続きは書類が多めなので、ゆうちょ銀行の相続手続きも先に見ておくとスムーズです。
無効にならないための注意点
相続人が1人でも欠けていると無効
協議は相続人全員で行う必要があります。前妻(前夫)の子や、認知した子も相続人です。
「兄弟3人で決めたから大丈夫だよね」
「戸籍を見たら、父には前の結婚の子がいたみたい…」
こんなふうに、戸籍を集めて初めて相続人が見つかることもあります。協議書を作る前に、戸籍で確認しておきましょう。
不動産は登記簿どおりに書く
不動産は、住所ではなく登記簿(登記事項証明書)の所在・地番・地目・地積をそのまま書きます。書き間違えると、相続登記で受け付けてもらえないことがあります。
相続人に未成年や認知症の人がいる場合
相続人に未成年の子がいて、親も相続人の場合は、子のために家庭裁判所で特別代理人を選んでもらう必要があります。
相続人が認知症で判断ができない場合は、成年後見人が代わりに協議に参加します。くわしくは認知症の人の相続で解説しています。
代償金を払う時は協議書に書く
実家を1人が相続し、他の兄弟にお金を払う場合は、その代償金も協議書に書いておきます。書いていないと、兄弟間の贈与とみなされるおそれがあるんです。
自分で作るか、専門家に頼むか
相続人が少なく、財産が預金と自宅くらいなら、ひな形を使って自分で作る人も多いです。
自分で作る時は、協議書が2枚以上になったら、ホチキスで留めてページのつなぎ目に全員の実印で契印(割印)を押しておきましょう。途中のページを差し替えられていないことの証明になります。訂正する時も、修正液は使わず、二重線を引いて実印で訂正印を押すのが基本です。
一方、相続人が多い、不動産が複数ある、話し合いがまとまらない、という場合は専門家に頼んだ方が安心です。協議書の作成は行政書士や司法書士、揉め事の交渉は弁護士、相続税の申告は税理士が担当します。
遺産分割協議書は、相続税の申告にも添付します。財産の合計が基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えそうで相続税がかかりそうなら、分け方を決める段階で税理士に相談すると、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を活かせる分け方を一緒に考えてもらえます。
相続税の申告・相談先に迷ったら
相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介
知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

- 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
- 紹介は無料、24時間365日受付
- 最短当日に税理士を紹介してもらえる
- 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営
申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

かんたん30秒・24時間365日受付
税理士ドットコムで相続に強い税理士を探す(無料)
税理士ドットコムの紹介ページに移動します
よくある質問
遺産相続協議書は手書きでないとだめですか?
パソコンで作っても問題ありません。ただし、相続人全員の署名と実印の押印は必要です。署名は自筆にしておくと、後で争いになりにくくなります。
遺産相続協議書は何通作ればいいですか?
相続人の人数分を作り、全員が1通ずつ持っておくのが一般的です。手続きでは原本を提出し、返してもらえるか窓口で確認しておきましょう。
相続人の1人が協議書にハンコを押してくれない時はどうすればいいですか?
全員の合意がないと協議は成立しません。話し合いで解決できない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てることになります。
まとめ
- 遺産相続協議書は、正式には遺産分割協議書という
- 相続人全員の署名・実印と印鑑証明書が必要
- 不動産は登記簿どおり、預金は銀行名・口座番号まで書く
- 相続人が1人でも欠けると無効。戸籍で相続人を確定してから作る
- 未成年や認知症の相続人がいる時は、特別代理人や成年後見人が必要







