日本の相続税はおかしい?なぜあるのか・高すぎると言われる理由と歴史

日本の相続税がなぜあるのかと歴史を解説する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

『親が税金を払って貯めたお金に、また税金がかかるなんておかしい』と感じたことがある方も多いはずです。

結論から言うと、相続税は「財産が一部の家に集中し続けないようにする」ことなどを目的に、明治時代から続いている税金です。ただ、実際に相続税がかかるのは亡くなった人のおよそ1割で、多くの家庭はかかりません。

この記事を読めば、相続税がなぜあるのか、高すぎると言われる理由は何か、自分の家に関係があるのかが分かります。

目次

相続税はなぜある?結論から

先に結論
  • 相続税は、親から子へ財産がそのまま受け継がれ、持つ人と持たない人の差が広がり続けるのを和らげる目的があるとされています。
  • 日本の相続税は、明治38年(1905年)に日露戦争の戦費をまかなう財源として導入されました。
  • 最高税率は55%と高く見えますが、基礎控除があるため、令和5年分で相続税がかかったのは亡くなった人の9.9%です。
  • 「おかしい」と感じる理由の多くは、二重課税に見える点と、土地など現金化しにくい財産にもかかる点にあります。

相続税の目的としてよく挙げられるのは、次の3つです。

  • 財産の差が世代を超えて固定されないようにする
  • 亡くなった人が生前に受けた税の優遇などを、最後に精算する
  • 国の財源の1つにする

『理屈は分かるけど、やっぱり納得できない』という気持ちも自然です。この記事では、その「おかしい」と感じるポイントを1つずつ見ていきます。

相続税はいつから始まった?歴史をたどる

『相続税って、誰が作ったの?いつからあるの?』という疑問もよく聞きます。

国税庁の資料によると、相続税は明治38年に日露戦争の戦費をまかなうための財源として導入されました。戦時の臨時の税とは別に、恒久的な税法として作られたのが特徴です。

時期できごと
明治38年(1905年)日露戦争の戦費の財源として相続税が導入される
昭和25年(1950年)シャウプ勧告による改正で、遺産を受け取った人ごとに課税する方式に変わる
2015年1月1日以降の相続基礎控除が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になる

導入当時は、家を継ぐ「家督相続」と、それ以外の「遺産相続」で税の重さが違いました。家を継ぐ人の税負担は軽くなっていたんです。

戦後、シャウプ勧告による改正で、相続人それぞれが受け取った遺産に応じて課税する今の形の土台ができました。

「日本だけの税金」ではない

『相続税があるのは日本だけ』と言われることがありますが、そうではありません。海外にも相続や遺産に税金をかける国はあります。一方で、相続税がない国もあり、仕組みは国によってさまざまです。

相続税がおかしい・理不尽と言われる理由

ここからは、「相続税はおかしい」と言われる理由を見ていきます。

二重課税に見える

特によく聞くのがこの声です。親は働いて所得税を払い、残ったお金を貯めた。それにまた相続税がかかるのは二重取りではないか、という考え方です。

制度上は、相続税は「財産を受け取った人」にかかる税金で、所得税とは課税される人も対象も違う、と説明されています。ただ、感覚として『同じお金に二度かかっている』と感じるのは無理もありません。

最高税率55%が高すぎる

相続税の税率は10%から55%まで8段階あります。法定相続分に応じた取得金額が6億円を超える部分には55%がかかります。

『半分以上持っていかれるの?』と驚きますよね。実は、55%がかかるのは6億円を超えた部分だけで、全体に55%がかかるわけではありません。

土地や家など、現金にしにくい財産にもかかる

相続税は原則として現金で一括納付です。財産の多くが実家の土地で、預金が少ない家では、納税のために土地を売ることも。

『先祖代々の土地を手放すしかないなんて』という声が出やすいのは、この点です。延納や物納の制度はありますが、使える条件があります。

計算が複雑で意味が分からない

路線価、小規模宅地等の特例、2割加算など、相続税には専門的なルールがたくさんあります。『意味不明』『何に払っているのか分からない』と感じる原因の1つです。

基礎控除が下がって「身近な税金」になった

2015年1月1日以降の相続から、基礎控除は今の「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になりました。それまでより基礎控除が小さくなったので、相続税が身近な問題になった家庭が増えたんです。

『うちはお金持ちじゃないから関係ない』と思っていても、都市部に実家の土地があると、土地の評価だけで基礎控除に近づくことも。『普通の家なのに相続税がかかるなんておかしい』と感じる人が増えた背景には、この変化もあります。

『相続税が高い』と感じるかどうかは、家族構成や財産の種類によって大きく変わります。まずは自分の家の場合を数字で確かめることが、不安を小さくする近道です。

相続税は何に使われる?

『払った相続税は、何に使われるの?』という疑問もありますよね。

相続税は、使い道が決まっている税金ではありません。所得税や消費税などと一緒に国の収入になり、社会保障や公共事業など国の予算全体に使われます。

実際に相続税がかかる人はどれくらい?

ここが大事なところです。相続税は「高い」と言われますが、全員にかかるわけではありません。

国税庁の「令和5年分 相続税の申告事績の概要」によると、亡くなった人のうち相続税がかかったのは9.9%です。それ以外の9割を超える家庭では、相続税はかかっていません。

理由は基礎控除があるからです。遺産の合計が基礎控除以下なら、相続税はかからず申告も要りません。

法定相続人の数基礎控除
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が相続するケース。法定相続人は3人なので、遺産が4,800万円以下なら相続税はかかりません。

さらに配偶者には、1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い額まで相続税がかからない軽減があります(申告は必要)。

相続税がかかる人の割合と基礎控除の目安を示した図解

自分の家がかかるかどうかは相続税はいくらからかかる?で家族構成別に確認できます。計算の流れは相続税の計算方法で順番に説明しています。

「払いたくない」と思ったら、まずできること

『相続税を払いたくない』『相続税は廃止すべき』という声もあります。制度への意見は人それぞれですが、今ある制度の中でできることは知っておきたいですよね。

まず確かめておきたいこと
  • 遺産の合計が基礎控除を超えるか
  • 配偶者の税額軽減が使えるか
  • 自宅の土地に小規模宅地等の特例が使えるか
  • 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があるか

特例は、申告して初めて使えるものが多いです。知らずに申告しないと、払わなくてよかった税金を払うことにもなりかねません。

土地がある家や、遺産が基礎控除を少し超えそうな家は、特例を使えるかどうかで税額が大きく変わります。相続税がかかりそうなら、相続に詳しい税理士に一度相談しておくと安心です。

相続税の申告・相談先に迷ったら

相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介

知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

税理士ドットコムの相続税申告に強い税理士の紹介ページ
税理士ドットコムの紹介ページ(2026年10月時点)
  • 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
  • 紹介は無料、24時間365日受付
  • 最短当日に税理士を紹介してもらえる
  • 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営

申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

税理士ドットコムの申し込み画面。最初にお探しの地域を選ぶ
最初は地域を選ぶだけ。入力情報は公開されません

かんたん30秒・24時間365日受付

税理士ドットコムで
相続に強い税理士を探す(無料)

税理士ドットコムの紹介ページに移動します

よくある質問

相続税はいつからあるのですか?

明治38年(1905年)に、日露戦争の戦費をまかなう財源として導入されました。

相続税は何のためにあるのですか?

財産を持つ人と持たない人の差が世代を超えて広がり続けないようにすることなどが目的とされています。国の財源の1つでもあります。

相続税は誰でもかかりますか?

かかりません。令和5年分で相続税がかかったのは亡くなった人の9.9%です。遺産が基礎控除以下なら相続税はかかりません。

まとめ

この記事の要点
  • 相続税は明治38年に日露戦争の戦費の財源として導入され、昭和25年のシャウプ勧告による改正で今の形の土台ができました。
  • 目的は、財産の差が世代を超えて固定されないようにすることなどです。
  • 二重課税に見える点や、土地にもかかる点が「おかしい」と言われる理由です。
  • 実際に相続税がかかるのは亡くなった人の9.9%で、基礎控除以下ならかかりません。
相続の手引き

相続の手引き 編集部

相続・相続税の制度と手続きを、公的機関の公開情報をもとにわかりやすく解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次