政治家は相続税がかからない?政治団体を使った仕組みとなぜ問題か

政治家の相続税と政治団体の資金の仕組みを解説する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

ニュースやSNSで『政治家は相続税を払わずに地盤を引き継いでいる』という話を見て、モヤモヤした方も多いはずです。

結論から言うと、政治家にも相続税はかかります。政治家個人の預金や自宅、土地は、一般の人と同じように相続税の対象です。

ただ、政治団体にためた資金は、政治家個人の財産ではないので相続税の対象になりません。これが「政治家は相続税がかからない」と言われる理由です。この記事では、その仕組みと、なぜ問題とされるのかがわかります。

目次

政治家は相続税がかからない?先に結論

先に結論
  • 政治家個人の財産(預金・自宅・土地・株など)には、一般の人と同じく相続税がかかります。
  • 政治団体の資金は、法律上は団体の財産で、政治家個人の財産ではありません。
  • そのため、代替わりで後継者が政治団体を引き継いでも、その資金には相続税がかかりません。
  • 個人のお金を政治団体に移しておけば、実質的に相続税を避けられるのではないか、と指摘されています。

相続税は、亡くなった人が持っていた財産にかかる税金です。政治家だから免除される、という制度はありません。

相続税の仕組みそのものは相続税とはで解説しています。

政治家個人の財産は一般の人と同じ扱い

政治家が亡くなった時、個人名義の預金や自宅、土地、株は相続財産になります。基礎控除を超えれば、相続人は10か月以内に相続税を申告して納めます。

基礎控除の計算も一般の人と同じで、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。土地の評価も、路線価方式や倍率方式など、同じルールで計算します。

『政治家だけ相続税がゼロ』というわけではないんです。

一般の家庭なら相続税はいくら?計算例

比べるために、一般の家庭の計算例も見ておきましょう。例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が相続人で、遺産が1億円のケースです。

計算の順番金額
基礎控除(3,000万円+600万円×3人)4,800万円
課税遺産総額(1億円−4,800万円)5,200万円
妻の法定相続分2,600万円にかかる税額340万円
子1人の法定相続分1,300万円にかかる税額145万円
相続税の総額(340万円+145万円×2人)630万円

法定相続分どおりに分けると、妻は配偶者の税額軽減で0円になります。子2人は157.5万円ずつ、合わせて315万円を納めます。

政治家個人の財産も、これとまったく同じ計算で相続税が決まります。

政治家の相続税が「なし」と言われる理由

問題とされるのは、政治団体にためられた資金です。政治家は、政治資金規正法に基づく政治団体を持っていることが多いですよね。

政治家個人の財産と政治団体の資金の相続税の扱いの違いを示した図解
財産持ち主相続税
個人名義の預金・自宅・土地政治家個人かかる
政治団体の資金政治団体かからない
政治団体が持つ事務所などの不動産政治団体(または代表者個人の名義)団体の財産なら対象外

政治団体は、政治家個人とは別の団体です。だから、団体の口座にあるお金は政治家のものではありません。

政治家が亡くなっても、団体はそのまま残ります。後継者が団体の代表者になれば、団体の資金をそのまま政治活動に使えるわけです。

個人のお金を政治団体に移すと何が起きる?

よく指摘されるのが、政治家が自分の個人資金を自分の政治団体に寄附しておくケースです。

個人の預金のままなら、亡くなった時に相続税の対象になります。でも、団体に移しておけば、その分は個人の財産ではなくなります。

例えば、政治家が個人資金を何年もかけて自分の政治団体に寄附し、後継者の子がその団体を引き継いだ場合。その資金は、相続税がかからないまま次の世代に渡ることになります。

『それって実質的に相続じゃないの?』と感じますよね。この点が「政治家は相続税なし」と言われる中心なんです。

なぜ問題とされるのか

この仕組みは、法律に違反しているわけではありません。ただ、いくつかの点で問題が指摘されています。

指摘されている主な問題
  • 一般の人は、自分の財産を団体に移して相続税を避けるようなことは簡単にはできない
  • 政治資金が、世襲の後継者に税金なしで引き継がれる
  • 政治団体の資金の使い道が、十分に見えにくいと言われる
  • 地盤・看板・資金を受け継げる世襲候補が有利になる

相続税には、財産の多い人から税金を納めてもらい、世代を超えて格差が固定されるのを防ぐ役割があるとされます。

政治資金だけがその外にあることが、公平さの面から疑問視されているんです。この扱いは、国会でもたびたび議論されてきました。

議論されてきた見直しの方向

政治団体の資金の引き継ぎについては、相続税の対象にすべきだという意見や、政治団体の解散時の資金の扱いを厳しくすべきだという意見があります。

一方で、政治活動の自由との兼ね合いもあり、簡単には結論が出ていません。今後どうなるかは、国会での議論しだいです。

政治資金の使い道にはルールがある

一方で、政治団体の資金は、政治資金規正法のルールの中で使うものです。収支報告書を出す義務もあります。

だから、後継者が団体の資金を自由に個人の生活費に使えるわけではありません。個人的に使えば、別の問題になります。

一般の人が相続税で気をつけたいこと

政治家の話を聞いて、『自分も何か対策できないの?』と思った方もいるかもしれません。

一般の人の場合、相続税を減らす方法は法律で決められた制度の中で考えます。

方法内容
暦年贈与受け取る人ごとに年110万円の基礎控除
生命保険金の非課税枠500万円×法定相続人の数まで非課税
小規模宅地等の特例自宅の土地は330㎡まで評価額を80%減らせる
配偶者の税額軽減1億6,000万円か法定相続分までは配偶者に相続税がかからない

なお、2024年1月1日以降の贈与からは、相続開始前7年以内の暦年贈与が相続財産に足し戻されます。駆け込みの贈与は効きにくくなっているので注意しておきましょう。

家族名義の口座にお金を移しておく方法も、実質が亡くなった人のお金なら「名義預金」として相続財産になります。

土地の評価は相続税額を大きく左右します。土地の相続税評価額の調べ方も参考にしてみてください。

土地や自宅があって、特例が使えるかで相続税が大きく変わりそうな方は、税理士に一度試算してもらうと、自分の家に合った対策がわかります。

相続税の申告・相談先に迷ったら

相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介

知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

税理士ドットコムの相続税申告に強い税理士の紹介ページ
税理士ドットコムの紹介ページ(2026年10月時点)
  • 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
  • 紹介は無料、24時間365日受付
  • 最短当日に税理士を紹介してもらえる
  • 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営

申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

税理士ドットコムの申し込み画面。最初にお探しの地域を選ぶ
最初は地域を選ぶだけ。入力情報は公開されません

かんたん30秒・24時間365日受付

税理士ドットコムで
相続に強い税理士を探す(無料)

税理士ドットコムの紹介ページに移動します

よくある質問

政治家の子どもが地盤を引き継ぐと、相続税はかかりますか?

地盤や後援会は財産ではないので相続税の対象ではありません。政治家個人の財産を相続した場合は、一般の人と同じく相続税がかかります。

政治家の相続税は免除されているのですか?

免除の制度はありません。相続税がかからないのは、政治団体の資金のように政治家個人の財産ではないものです。

国会議員でも相続税の税務調査はありますか?

相続税の申告をした人は、政治家かどうかに関係なく税務調査の対象になりえます。令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件で、申告漏れなどが見つかった割合は82.3%でした。

一般の人が政治団体を作れば相続税を避けられますか?

政治団体は政治活動のための団体で、資金の使い道も政治資金規正法で決まっています。相続税対策として使えるものではありません。

まとめ

この記事の要点
  • 政治家個人の財産には、一般の人と同じく相続税がかかる
  • 政治団体の資金は団体の財産なので、相続税の対象にならない
  • 個人資金を政治団体に移して後継者が引き継ぐと、相続税なしで資金が渡ると指摘されている
  • 一般の人は、贈与や特例など法律の制度の中で相続税対策を考える
相続の手引き

相続の手引き 編集部

相続・相続税の制度と手続きを、公的機関の公開情報をもとにわかりやすく解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次