当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
長年一緒に暮らしてきたパートナーが亡くなった時、『籍を入れていないけど、遺産はどうなるの?』と不安になる方も多いはずです。
結論から言うと、内縁の妻や内縁の夫には相続権がありません。ただ、生前に遺言や生命保険で備えておけば、パートナーに財産を残すことはできます。
この記事では、事実婚の相続で何が起きるのかと、財産を残すために今からできる方法がわかります。
内縁の妻に相続権はある?
- 内縁の妻・内縁の夫は、法律上の相続人ではありません。何年一緒に暮らしていても同じです。
- 事実婚や同性パートナーも、今の法律では相続人になりません。
- 財産を残すには、遺言(遺贈)・生前贈与・生命保険の受取人指定などの方法があります。
- 相続人がいない場合に限り、特別縁故者として家庭裁判所に財産分与を申し立てる道があります。
相続人になれる配偶者は、婚姻届を出した法律上の配偶者だけです。内縁関係は、生活の実態が夫婦と同じでも相続では「他人」として扱われます。
『20年も一緒にいたのに、何年たっても相続権がないの?』と驚く方もいますよね。実は、年数で相続権が生まれる仕組みはないんです。
内縁の妻とは、婚姻届を出していないものの、お互いに夫婦として生活している関係の女性のこと。相続の場面では、この「届出があるかどうか」で扱いがはっきり分かれます。
誰が相続人になるかは法定相続人とはで解説しています。
内縁の妻がいる場合、遺産は誰が相続する?
内縁の妻がいても、相続は法律上の相続人の間で進みます。
| 亡くなった人の家族 | 相続人 |
|---|---|
| 内縁の妻と、前の配偶者との子がいる | 子 |
| 内縁の妻と、内縁の妻との間の認知した子がいる | 認知した子 |
| 内縁の妻のみ。子はおらず、親も亡くなり、兄弟がいる | 兄弟姉妹 |
| 内縁の妻のみ。子・親・兄弟姉妹(甥姪)もいない | 相続人なし |
前の配偶者との子も相続人になります。内縁関係の間に生まれた子は、父親が認知していれば実子と同じ割合で相続できます。
ここで大事なのは、遺言がなければ内縁の妻は遺産分割の話し合いにも加われないことです。
「家も預金も、亡くなった彼の名義だったんです」
「そうなると、相続人の方々が話し合って分けることになりますね」
こんな状況になると、住み慣れた家を出なければならなくなるおそれもあります。相続の順位は相続順位とはで図にしています。
内縁の妻に財産を残す4つの方法

1. 遺言書で遺贈する
よく使われるのが、遺言書で「内縁の妻に財産を遺贈する」と書いておく方法です。
遺言の形は自筆証書遺言でも公正証書遺言でもかまいません。公正証書遺言は公証役場で作り、証人2人が立ち会い、家庭裁判所の検認もいりません。
ただし、子などの相続人には遺留分があります。全財産を内縁の妻に遺贈すると、相続人から遺留分侵害額請求を受けることがあるので、配分は慎重に決めておきましょう。
遺留分は、兄弟姉妹には認められていません。子も親もいない人が「全財産を内縁の妻に」と遺言すれば、兄弟姉妹は遺産を請求できないんです。
2. 生前贈与をしておく
元気なうちに財産を贈与しておく方法もあります。暦年課税なら、受け取る人ごとに年110万円までは贈与税がかかりません。
婚姻期間20年以上の夫婦が使える「贈与税の配偶者控除」は、法律上の夫婦が対象です。内縁関係では使えない点に注意しておきましょう。
3. 生命保険の受取人にする
生命保険金は、受取人の固有の財産です。内縁の妻を受取人にしておけば、遺産分割の対象にならずに受け取れます。
ただ、内縁の配偶者を受取人にできるかは保険会社や契約の条件によって違います。加入時や見直しの時に確認してみてください。
4. 特別縁故者として財産分与を申し立てる
相続人が誰もいない場合は、家庭裁判所に「特別縁故者」として財産分与を申し立てる道があります。生計を同じくしていた内縁の妻は、その代表的な立場です。
ただし、財産を受け取れるかどうか、いくら受け取れるかは家庭裁判所が判断します。相続人がいれば使えない制度なので、これだけを頼りにするのは心もとないですよね。
内縁の妻が相続すると相続税はどうなる?
遺言で財産を受け取った内縁の妻にも、相続税がかかる場合があります。しかも、法律上の配偶者より負担が重くなりやすいんです。
| 項目 | 法律上の配偶者 | 内縁の配偶者 |
|---|---|---|
| 基礎控除の人数に入るか | 入る | 入らない |
| 配偶者の税額軽減 | 使える | 使えない |
| 生命保険金の非課税枠 | 使える(相続人の受取分) | 使えない |
| 相続税の2割加算 | 対象外 | 対象 |
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。内縁の妻は法定相続人ではないので、この人数に入りません。
例えば、相続人がいない人が内縁の妻に全財産6,000万円を遺贈したケース。法定相続人は0人なので基礎控除は3,000万円で、課税遺産総額は3,000万円です。
速算表で3,000万円 × 15% − 50万円 = 400万円。内縁の妻は2割加算の対象なので、納める相続税は480万円になります。
法律上の配偶者なら、配偶者の税額軽減で1億6,000万円まで相続税はかかりません。ここが大きな違いです。
内縁の妻に財産を残したい、相続人との関係が気になる、相続税がかかりそうだ、という方は、遺言の作り方と税金をあわせて専門家に相談しておくと安心です。
相続税の申告・相談先に迷ったら
相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介
知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

- 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
- 紹介は無料、24時間365日受付
- 最短当日に税理士を紹介してもらえる
- 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営
申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

かんたん30秒・24時間365日受付
税理士ドットコムで相続に強い税理士を探す(無料)
税理士ドットコムの紹介ページに移動します
内縁の妻が自宅に住み続けるには?
『彼が亡くなったら、今の家に住めなくなるの?』という心配はとても大きいですよね。
2020年4月1日に始まった配偶者居住権は、法律上の配偶者のための制度です。内縁の妻は使えません。
自宅が持ち家なら、遺言で自宅を内縁の妻に遺贈しておくのが基本です。賃貸住宅の場合は、借りている権利をどう引き継げるかが問題になるので、早めに家主や専門家に確認しておきましょう。
事実婚・同性婚の相続で今からできる準備
事実婚も同性パートナーも、相続の扱いは内縁の場合と同じです。だからこそ、元気なうちの準備が大切なんです。
- 遺言書を作り、財産を誰に何を渡すかを決めておく
- 生命保険の受取人をパートナーにできるか確認する
- 自宅や預金の名義を確認しておく
- 相続人(子・親・兄弟姉妹)が誰になるかを戸籍で確認しておく
- 遺族年金など公的な給付は、年金事務所で受け取れるか確認する
遺言を作る時は、相続人の遺留分にも配慮しておくと後のトラブルを防げます。相続人の協力が得にくい場合に備えて、遺言どおりに手続きを進める遺言執行者を決めておくのも一つの方法です。
遺産分割の話し合いが必要になった時は、遺産分割協議書の書き方も参考にしてみてください。
よくある質問
内縁の妻に相続権は何年で認められますか?
何年一緒に暮らしても、内縁の妻に相続権は生まれません。財産を残すには遺言などの準備が必要です。
内縁の妻の相続について法改正はありましたか?
2019年7月施行の特別寄与料は相続人以外の「親族」が対象で、内縁の妻は含まれません。2020年4月の配偶者居住権も法律上の配偶者が対象です。
内縁の夫が亡くなった場合も同じですか?
同じです。内縁の夫・内縁の妻のどちらにも相続権はなく、相続税の配偶者の税額軽減も使えません。
まとめ
- 内縁の妻・内縁の夫、事実婚や同性パートナーには相続権がありません。
- 財産を残すには、遺言・生前贈与・生命保険の受取人指定が基本です。
- 相続人がいない時だけ、特別縁故者として財産分与を申し立てられます。
- 内縁の妻は基礎控除の人数に入らず、配偶者の税額軽減も使えず、2割加算の対象です。
- 自宅に住み続けたいなら、遺言で自宅を遺贈しておくことが大切です。






