当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
遺言書や生前贈与の話を調べていると「推定相続人」という言葉がよく出てきますよね。法定相続人と何が違うのか、ややこしいと感じる方も多いはずです。
結論から言うと、推定相続人は「今この瞬間に相続が起きたら、相続人になるはずの人」のことです。この記事では、法定相続人との違いと、自分の家族の推定相続人の見分け方が分かります。
推定相続人とは?
推定相続人とは、まだ相続が始まっていない段階で「もし今亡くなったら相続人になる人」を指す言葉です。亡くなった後に実際に相続する人は「相続人」、民法で決められた相続人の範囲は「法定相続人」と呼びます。生きている人について話す時に使う、というのが大きな違いなんです。
推定相続人は、民法の中でも使われている言葉です。例えば「推定相続人の廃除」という制度があり、生前の段階で相続人から外す手続きを指しています。
『推定って、あいまいな言い方だな』と感じますよね。推定と付くのは、相続が始まるまでに状況が変わる可能性があるからです。
例えば、子が親より先に亡くなれば孫が代わりに相続人になりますし、新たに養子縁組をすれば相続人が増えます。だから「今の時点ではこの人たち」という意味で推定と呼ぶわけです。
推定相続人と法定相続人・相続人の違い
似た言葉が3つあるので、表で見比べてみてください。
| 言葉 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 推定相続人 | 今相続が起きたら相続人になる人 | 生前(遺言書・生前贈与・廃除など) |
| 法定相続人 | 民法で決められた相続人 | 相続税の基礎控除の人数・相続分の計算 |
| 相続人 | 実際に財産を引き継ぐ人 | 亡くなった後の手続き全般 |

ここが大事なところです。法定相続人は「民法上、相続人になれる人」という範囲を指す言葉で、相続放棄した人も相続税の基礎控除の人数には数えます。
一方、実際の「相続人」は、相続放棄をした人を含みません。放棄すると初めから相続人でなかったことになるからです。
法定相続人の範囲や数え方は 法定相続人とは で詳しく解説しています。
推定相続人は誰?家族構成で確かめる
推定相続人が誰になるかは、民法の相続順位で決まります。配偶者は常に相続人で、ほかの親族は次の順番です。
- 配偶者がいれば、配偶者は常に相続人になる
- 子がいれば、子が第1順位(亡くなっていれば孫が代わりに相続)
- 子も孫もいなければ、父母・祖父母が第2順位
- 第1・第2順位がいなければ、兄弟姉妹が第3順位(亡くなっていれば甥姪まで)
例1: 夫と、妻・子2人の家族
夫から見た推定相続人は、妻と子2人の3人です。今相続が起きた場合の法定相続分は、妻1/2、子はそれぞれ1/4になります。
例2: 子のいない夫婦で、夫の親がすでに亡くなっている
夫から見た推定相続人は、妻と夫の兄弟姉妹です。法定相続分は、妻3/4、兄弟姉妹が全体で1/4になります。
『子どもがいないから、全部妻にいくと思っていた…』という声は本当に多いんです。こうしたケースは 子供がいない夫婦の相続 で詳しく取り上げています。
例3: 子が先に亡くなっていて孫がいる
亡くなった子の代わりに、孫が推定相続人になります。これを代襲相続といいます。詳しい範囲は 代襲相続とは で確認できます。
相続順位の全体像は 相続順位とは でも図で解説しています。
推定相続人という言葉が出てくる場面
推定相続人は、主に「生きているうちの準備」の場面で登場します。
遺言書を書く時
遺言書で「長男に自宅を相続させる」と書く場合、長男は推定相続人です。推定相続人に財産を渡す時は「相続させる」、それ以外の人に渡す時は「遺贈する」と書き分けるのが一般的です。
推定相続人の廃除
推定相続人が、亡くなる人をひどく虐待したり、重大な侮辱をしたりした場合、家庭裁判所に申し立てて相続権を失わせる制度があります。これが「推定相続人の廃除」です。
対象になるのは、遺留分を持つ推定相続人です。兄弟姉妹には遺留分がないので、相続させたくなければ遺言書で対応できます。
「長男には一円も渡したくないんです」
「気持ちは分かります。ただ、廃除が認められるかは家庭裁判所の判断になります」
こんなやり取りになることも。感情だけで認められる制度ではないので、まずは専門家に相談してみてください。
生前贈与や任意後見を考える時
生前贈与で「推定相続人に贈与する」場合、相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に加算されます。2024年1月1日以降の贈与からは、この期間が7年に延びています(段階的に適用)。
『孫にあげれば加算されないって聞いたけど?』と思った方もいますよね。孫など相続や遺贈で財産を取得しない人への贈与は、原則として加算の対象外です。
「指定相続人」とはどういう意味?
「指定相続人」という言葉で調べる方もいますが、民法に「指定相続人」という用語はありません。
多くの場合、次のどちらかの意味で使われています。
- 遺言書で財産をもらう人として指定された人(相続人以外なら受遺者と呼ぶ)
- 遺言書で、法定相続分と違う割合を指定された相続人(指定相続分)
つまり、遺言書によって決まる人や割合のことを、くだけて「指定相続人」と呼んでいることが多いんです。
遺言書がある場合でも、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められます。指定された内容が遺留分を下回っていれば、遺留分侵害額請求ができます。
推定相続人の数は相続税にも関わる
推定相続人の人数は、将来の相続税の目安を立てる時にも使います。生命保険金と死亡退職金の非課税枠は、それぞれ「500万円×法定相続人の数」で計算するからです。
例えば、推定相続人が妻と子2人の3人なら、生命保険金の非課税枠は1,500万円になります。
『養子を増やせば枠も増えるのでは?』と考える方もいますよね。実は、相続税の計算で数えられる養子は、実子がいれば1人、いなければ2人までと決まっています。
民法上は養子も実子と同じ相続分を持つ推定相続人です。ただ、税金の計算では人数に上限がある点は覚えておきましょう。
推定相続人の調べ方
推定相続人を正確に知るには、戸籍謄本で家族関係を確認します。前の結婚で生まれた子や、認知した子がいれば、その人も推定相続人です。
2024年3月1日からは戸籍証明書の広域交付が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも、本人・配偶者・父母・子などの戸籍をまとめて請求できるようになりました。郵送や代理人による請求はできない点に気をつけましょう。
相続人の数が分かると、相続税がかかるかの目安も立てられます。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、例えば推定相続人が3人なら4,800万円です。
財産がこの金額を超えそうな場合や、土地・自社株など評価が難しい財産がある場合は、早めに税理士へ相談しておくと対策の選択肢が広がります。
相続税の申告・相談先に迷ったら
相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介
知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

- 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
- 紹介は無料、24時間365日受付
- 最短当日に税理士を紹介してもらえる
- 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営
申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

かんたん30秒・24時間365日受付
税理士ドットコムで相続に強い税理士を探す(無料)
税理士ドットコムの紹介ページに移動します
よくある質問
推定相続人に兄弟は含まれますか?
子・孫などの直系卑属と、父母・祖父母などの直系尊属がいない場合に限り、兄弟姉妹が推定相続人になります。
推定相続人は遺言書の証人になれますか?
公正証書遺言などの証人には、推定相続人やその配偶者・直系血族はなれません。証人を頼む時は、相続に関係のない人を選びましょう。
推定相続人が先に亡くなったらどうなりますか?
その人が子や兄弟姉妹なら、その子(孫や甥姪)が代わりに推定相続人になります。父母が先に亡くなった場合は代襲相続は起きず、祖父母が生きていれば祖父母が推定相続人です。
まとめ
- 推定相続人は、今相続が起きたら相続人になるはずの人
- 生前の話では推定相続人、亡くなった後は相続人と呼ぶ
- 誰が推定相続人かは配偶者と相続順位で決まる
- 指定相続人は法律用語ではなく、遺言書で指定された人や割合を指すことが多い
- 正確な範囲は戸籍謄本で確かめる





