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『何年も親の介護をしてきたのに、介護しなかった兄弟と相続の割合が同じなんて納得できない』と感じていませんか。
結論から言うと、介護をしただけでは法定相続分は変わりません。ただ、介護が特別な貢献と認められれば「寄与分」として多めに受け取れる可能性があります。この記事では、介護と相続の割合の関係、寄与分を主張する時のポイントがわかります。
介護をすると兄弟の相続割合は変わる?
兄弟姉妹の法定相続分は、介護をしたかどうかに関係なく均等です。介護によって親の財産が減らずに済んだなど、特別な貢献があった場合は、遺産分割で「寄与分」を主張して取り分を増やせることがあります。介護しなかった兄弟の相続分が自動的に減ることはありません。
例えば、父がすでに亡くなり、母が亡くなって子3人が相続するケースです。法定相続分は1人1/3ずつで、長女が10年介護していても、この割合は同じなんです。
『じゃあ介護した分は報われないの?』と思いますよね。そこで出てくるのが寄与分です。
寄与分が認められると、その分を先に介護した人に渡してから、残りを法定相続分で分けます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法定相続分 | 兄弟姉妹は均等。介護の有無では変わらない |
| 寄与分 | 特別な貢献をした相続人が、遺産分割で上乗せを主張できる |
| 特別寄与料 | 相続人でない親族(子の配偶者など)が、相続人に金銭を請求できる |
| 介護しなかった兄弟 | 相続分が自動的に減る制度はない |
相続の基本的なしくみは相続とはでまとめています。
寄与分とは?介護で認められやすいケース
寄与分は、亡くなった人の財産を維持したり増やしたりすることに、特別な貢献をした相続人の取り分を増やす仕組みです。
ポイントは「特別な」貢献であることです。親子には、もともと助け合う義務があると考えられています。そのため、ときどき様子を見に行った、買い物を手伝った、という程度では認められにくいのが実際のところです。
- 介護が必要な状態だったか(要介護認定の有無など)
- 無償か、それに近い形で介護していたか
- 長い期間、継続して介護していたか
- 仕事をやめるなど、介護にかなりの負担をかけていたか
- 介護したことで、ヘルパーや施設の費用が減ったか
例えばこんな場面です。親が要介護状態になり、同居の子が仕事を減らして毎日の食事や入浴、排せつの世話を何年も続けていた。施設に入れば費用がかかったところを、その子の介護で財産が減らずに済んだ。こうしたケースは寄与分が話し合いに上がりやすいです。

介護の記録を残しておく
寄与分を主張する時に困るのが、証拠です。『毎日介護していた』と言っても、ほかの兄弟が知らなければ話が進みません。
介護日誌、要介護認定の書類、介護サービスの利用明細、親の通院の付き添いの記録などを残しておきましょう。親の生活費を自分のお金で払っていた場合は、そのレシートや振込記録も役立ちます。
寄与分を入れると割合はどう変わる?
例えば、母の遺産が3,000万円、相続人は子3人で、介護をしてきた長女に600万円の寄与分を認めると兄弟全員が合意したケースで考えます。
- 遺産3,000万円から寄与分600万円を差し引く(残り2,400万円)
- 残りの2,400万円を3人で均等に分ける(1人800万円)
- 長女は800万円に寄与分600万円を足して1,400万円
| 相続人 | 寄与分なし | 寄与分600万円を入れた場合 |
|---|---|---|
| 長女(介護した) | 1,000万円 | 1,400万円 |
| 長男 | 1,000万円 | 800万円 |
| 次男 | 1,000万円 | 800万円 |
寄与分の金額に決まった計算式があるわけではありません。上の600万円は、あくまで話し合いで合意した場合の例です。
介護しない兄弟の相続分は減らせる?
『親の面倒を見なかったんだから、取り分を減らしてほしい』という声もありますよね。
ただ、介護をしなかったことを理由に、相続分を減額する制度はありません。相続権がなくなるのは、相続欠格や相続廃除にあたるような、ごく限られた場合だけです。
できることは、次の3つです。
- 遺産分割協議で、介護した人の寄与分を主張する
- 親が元気なうちに、介護した子に多めに渡す内容の遺言書を書いてもらう
- 生前に、介護の負担を兄弟で分担・精算しておく
遺言書があれば、寄与分の話し合いをしなくても、介護した子に多く残すことができます。とはいえ、ほかの子には遺留分があるので、ゼロにするのは難しいと考えておきましょう。
兄弟で揉めた時はどうする?
寄与分は、相続人全員の話し合いで決めるのが基本です。
「介護してたのは私だから、少し多めにほしい」
「でも、親の家に住んで家賃もかかってなかったよね」
こうした言い合いで話がまとまらなければ、家庭裁判所の調停、それでも決まらなければ審判で判断されます。揉めやすいパターンは相続争い・相続問題で紹介しています。
注意したいのは時間です。相続開始から10年を過ぎると、原則として寄与分を主張できなくなります(2023年4月1日施行の改正民法)。
親が元気なうちにできる準備
『揉めるのは分かっているけど、親にどう切り出せばいいの?』と悩む方もいるはずです。
介護の負担が一人に偏りそうな時は、親が元気なうちに次のような準備をしておくと、相続の時の話し合いがずっと楽になります。
- 兄弟で介護の分担と費用の出し方を話し合っておく
- 介護日誌や支払いの記録をつけ始める
- 親に、介護した子に多めに残す遺言書を書いてもらうか相談する
- 親のお金を管理する場合は、出し入れを通帳やメモで分かるようにしておく
特に4つめは大事です。親の通帳を預かって介護費用を払っていると、あとで『使い込んだのでは』と疑われることがあります。
「お母さんの通帳、ずいぶん減ってるけど何に使ったの?」
「病院とヘルパー代だよ。領収書は全部とってある」
こう答えられるだけで、話し合いの空気はかなり変わります。遺言書の書き方は、自筆でも作れますし、公証役場で公正証書遺言にする方法もあります。
長男の嫁など相続人でない人が介護した場合
義理の親の介護をしてきた子の配偶者は、相続人ではありません。そのため、寄与分は主張できないんです。
その代わりに使えるのが「特別寄与料」です。2019年7月1日に始まった制度で、相続人でない親族が無償で介護などをしていた場合、相続人に金銭を請求できます。
相続の開始と相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年を過ぎると請求できなくなります。寄与分よりずっと期限が短いので、早めに動いておきましょう。
受け取った特別寄与料には、相続税がかかる場合があります。配偶者や子ではないので、2割加算の対象にもなります。
介護と相続税の話は一緒に進める
寄与分や特別寄与料で取り分が変わると、それぞれが納める相続税も変わります。
親の自宅や土地がある、兄弟が3人以上いる、申告期限の10か月が近い、といったケースでは、分け方の話と相続税の計算を並行して進めることになります。相続税がかかりそうな時は、税理士に計算を任せると話し合いに集中しやすくなります。
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よくある質問
親の介護をした子は、法律上多く相続できますか?
法定相続分は介護の有無で変わりません。介護が特別な貢献と認められれば、遺産分割で寄与分として上乗せを主張できます。
介護しなかった兄弟の相続分を減らすことはできますか?
介護をしなかったことを理由に相続分を減らす制度はありません。親の遺言書で介護した子に多く残してもらう方法があります。
寄与分はいつまで主張できますか?
遺産分割に期限はありませんが、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると原則として寄与分を主張できなくなりました。
まとめ
- 兄弟姉妹の法定相続分は介護の有無に関係なく均等
- 介護が特別な貢献と認められれば寄与分で取り分を増やせる
- 介護しない兄弟の相続分を減らす制度はない
- 相続人でない親族の介護は特別寄与料で、期限は6か月・1年と短い






