遺産相続でかかる税金は?種類といくらから課税されるかを解説

遺産相続でかかる税金の種類と金額を解説する記事のアイキャッチ

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親が亡くなって遺産を受け継ぐことになった時、『税金ってどれくらい取られるの?うちも払うことになる?』と心配になりますよね。

結論から言うと、遺産相続でかかる税金の中心は相続税です。ただ、遺産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以下なら相続税はかからず、実際に相続税がかかるのは亡くなった人の1割ほどです。

この記事を読めば、相続でかかる税金の種類と、自分の家は相続税がいくらからかかるのかが分かります。

目次

遺産相続でかかる税金の種類

先に結論
  • 遺産相続でかかる主な税金は、相続税・登録免許税・所得税・住民税です。
  • 相続税は、遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた時だけかかります。
  • 不動産の名義変更には、固定資産税評価額の0.4%の登録免許税がかかります。
  • 相続した不動産を売って利益が出ると、譲渡所得の所得税・住民税がかかります。

相続でかかる税金を、場面ごとに一覧にしました。

税金かかる場面金額の目安・計算
相続税遺産が基礎控除を超えた時速算表で計算(税率10〜55%)
登録免許税不動産の相続登記をする時固定資産税評価額 × 0.4%
所得税(準確定申告)亡くなった人に申告が必要な所得があった時亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得
所得税・住民税(譲渡所得)相続した不動産や株を売って利益が出た時不動産の長期譲渡所得なら合計20.315%
贈与税生前に贈与を受けていた時年110万円の基礎控除を超えた分
固定資産税不動産を持ち続ける間、毎年市区町村が課税

『こんなにたくさん払うの?』と驚くかもしれません。ただ、全部の家にかかるわけではありません。

多くの家で関係するのは、不動産があれば登録免許税、亡くなった人に所得があれば準確定申告くらいです。相続税は、遺産が一定額を超えた家だけにかかります。

相続でかからない税金もある

相続で不動産を受け継いでも、不動産取得税はかかりません。売買で買った時とは扱いが違うんです。

また、遺族年金・未支給年金・死亡一時金には相続税がかかりません。ただし未支給年金は、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になります。

相続人がもらった遺産そのものに、所得税や住民税がかかることもありません。『遺産をもらったら、来年の住民税が上がるの?』と心配する方もいますが、相続しただけなら上がらないので安心してください。

相続税はいくらから?かからない金額の目安

法定相続人の数ごとに、相続税がかからない遺産額の上限を示した図解

相続税がかからない金額は、基礎控除で決まります。

相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人の数家族構成の例相続税がかからない金額
1人子1人3,600万円まで
2人配偶者と子1人/子2人4,200万円まで
3人配偶者と子2人4,800万円まで
4人配偶者と子3人5,400万円まで
5人配偶者と子4人6,000万円まで

遺産の合計がこの金額以下なら、相続税はかからず、申告も必要ありません。

法定相続人の数には、相続放棄をした人も数えます。養子は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで数えられます。

相続税がかかる人は「お金持ち」だけ?

『相続税なんて、お金持ちの家の話でしょ?』と思う方も多いはずです。

国税庁の「令和5年分 相続税の申告事績の概要」によると、亡くなった人のうち相続税の課税対象になったのは9.9%です。10人に1人ほどなので、ほとんどの家ではかからないと言えます。

ただ、都市部に自宅の土地がある家は、預金がそれほどなくても基礎控除を超えることがあります。持ち家の評価額は意外と大きいので、一度計算してみてください。

遺産に含まれるもの・差し引けるもの

相続税の対象になる遺産には、預貯金や不動産、株だけでなく、次のようなものも含まれます。

  • 亡くなった人が保険料を払っていた生命保険金・死亡退職金(非課税枠を超えた分)
  • 家族名義でも、実質は亡くなった人のお金だった名義預金
  • 相続開始前の一定期間内に贈与された財産(生前贈与加算)

一方で、次のものは遺産から外したり、差し引いたりできます。

  • 生命保険金・死亡退職金の非課税枠(それぞれ500万円×法定相続人の数)
  • 借入金や未払いの税金などの債務
  • 葬式費用(香典返し・四十九日などの法要・墓石の購入費は含まない)
  • 墓地・墓石・仏壇などの祭祀財産

遺産相続の税金の計算方法

相続税の計算は、少し段階が多いので順番に見ていきましょう。

相続税の計算の流れ
  1. 遺産の合計(課税価格)を出す
  2. 基礎控除を引いて、課税遺産総額を出す
  3. 法定相続分で分けたと仮定して、各人の税額を速算表で計算する
  4. 合計して相続税の総額を出す
  5. 実際に取得した割合で、各人に割り振る
  6. 配偶者の税額軽減などの控除や、2割加算を反映する

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

計算の仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、相続税とは?で解説しています。

遺産相続の税金シミュレーション

遺産額と家族構成ごとの相続税の目安を比べた図解

ここからは、具体的な金額で計算してみます。

例: 夫が亡くなり、遺産1億円を妻と子2人が相続するケース

法定相続人は3人なので、基礎控除は4,800万円です。

計算金額
遺産の合計1億円
基礎控除(3,000万円+600万円×3人)4,800万円
課税遺産総額5,200万円
妻の法定相続分(1/2) 2,600万円 × 15% − 50万円340万円
子1人の法定相続分(1/4) 1,300万円 × 15% − 50万円145万円
相続税の総額(340万円+145万円×2人)630万円

法定相続分どおりに分けると、妻の分は315万円、子は1人157万5,000円ずつです。

ここで配偶者の税額軽減が効きます。妻が取得した財産が法定相続分以内なので、妻の相続税は0円です。結果として、家族全体で納める相続税は子2人分の315万円になります。

「相続 5000万円 税金」はいくら?

遺産が5,000万円と1億円の場合を、家族構成ごとに比べてみましょう。配偶者がいる場合は、配偶者が法定相続分を取得して税額軽減を使った前提です。

家族構成遺産5,000万円遺産1億円
配偶者と子1人40万円385万円
配偶者と子2人10万円315万円
子1人160万円1,220万円
子2人80万円770万円

例えば、遺産5,000万円を子1人が相続する場合は、5,000万円 − 3,600万円 = 1,400万円が課税遺産総額です。1,400万円 × 15% − 50万円 = 160万円になります。

同じ遺産額でも、配偶者がいるかどうかで相続税は大きく変わるんです。

夫の遺産を妻が相続する時の税金

配偶者の税額軽減では、妻(または夫)が取得した財産が「1億6,000万円」か「法定相続分」の多い方までなら、相続税がかかりません。

『じゃあ全部妻に相続させれば0円?』と考える方もいますよね。確かにその時の相続税は0円になることが多いです。

ただ、妻が亡くなった時の次の相続では、配偶者の税額軽減が使えず、子の相続税が重くなることもあります。2回の相続をあわせて考えるのがポイントです。

なお、配偶者の税額軽減で相続税が0円になる場合も、相続税の申告が必要です。

ここまでの計算は基本の形です。実際には、土地の評価や小規模宅地等の特例、生前贈与の扱いで税額が大きく変わります。

遺産が基礎控除を超えそうな方、土地や自社株がある方、配偶者の取り分をどうするか迷っている方は、税理士に試算してもらうと判断しやすくなります。

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相続税以外にかかる税金

相続税がかからない家でも、ほかの税金が関係することがあります。

不動産の名義変更でかかる登録免許税

不動産を相続した人の名義にする相続登記では、登録免許税がかかります。固定資産税評価額 × 0.4%です。

例えば、土地と建物の評価額が2,000万円なら、登録免許税は8万円です。相続登記は2024年4月1日から義務になり、相続を知った日から3年以内に申請が必要です。

亡くなった人の所得税(準確定申告)

亡くなった人に事業収入や不動産収入などがあった場合は、相続人が準確定申告をします。期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。

納めた所得税は、相続税の計算では債務として遺産から差し引けます。

相続した不動産や株を売った時の税金

相続した不動産を売って利益が出ると、譲渡所得に所得税・住民税がかかります。売った年の1月1日時点で、亡くなった人の所有期間も含めて5年を超えていれば、税率は合計20.315%です。

相続税の申告期限の翌日から3年以内に売れば、払った相続税の一部を取得費に足せる特例もあります。詳しくは相続した不動産を売却した時の税金で解説しています。

生命保険金は契約の形で税金が変わる

生命保険金は、誰が保険料を払っていたかで、かかる税金が変わります。亡くなった人が保険料を払っていた場合は相続税の対象で、500万円×法定相続人の数の非課税枠が使えます。

契約の形によっては、所得税や贈与税の対象になることもあります。保険証券の契約者と受取人を確認してみてください。

生前に贈与を受けていた時の贈与税と相続税

親から生前にお金をもらっていた場合は、贈与税が関係します。暦年課税では、もらう人ごとに年110万円までは贈与税がかかりません。

注意したいのは、亡くなる前の一定期間の贈与が相続財産に足し戻されることです。2024年1月1日以降の贈与から、この期間は3年から7年に延びました(2027年1月以降の相続から段階的に伸びます)。

『毎年110万円ずつもらっていたから、もう関係ないよね?』と思っていても、相続税の計算に入ってくることがあるんです。贈与税を払っていた場合は、その分を相続税から差し引けます。

不動産を持ち続ける間の固定資産税

相続した土地や家は、持っている限り毎年固定資産税がかかります。毎年1月1日時点の所有者に、市区町村から納税通知書が届きます。

例えばこんな声もよく聞きます。

「誰も住んでいない実家なのに、毎年税金だけ払ってる…」

使う予定のない不動産は、売るのか、持ち続けるのかを早めに家族で話し合っておくと、あとで困りにくくなります。

相続税の申告が必要な人・不要な人

最後に、相続税の申告が必要かどうかを確認しておきましょう。

相続税の申告が必要になるケース
  • 遺産の合計が基礎控除を超えている
  • 配偶者の税額軽減を使って相続税が0円になる
  • 小規模宅地等の特例を使って相続税が0円になる

申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。提出先は、亡くなった人の住所地の税務署です。

例えばこんな会話はよくあります。

「特例を使えば0円だから、何もしなくていいんだよね?」
「いや、特例を使うなら申告しないと適用されないよ」

特例を使って0円になる家こそ、申告が必要なんです。

自宅の土地で使える小規模宅地等の特例は、評価額を最大80%減らせる大きな特例です。詳しくは小規模宅地等の特例とは?で解説しています。不動産の相続税の計算例は土地・家の相続税はいくら?も参考にしてみてください。

2割加算がかかる人もいる

配偶者や子、父母以外の人が遺産を取得すると、相続税が2割増しになります。兄弟姉妹や甥・姪、孫養子が相続する場合が当てはまります。

子どもがいない夫婦で、兄弟姉妹が相続人になる家は覚えておきましょう。

よくある質問

遺産相続はいくらから税金がかかりますか?

遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えると相続税がかかります。妻と子2人なら4,800万円、子2人なら4,200万円までは相続税がかかりません。

相続税がかからない場合も手続きは必要ですか?

遺産が基礎控除以下なら相続税の申告は不要です。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って0円になる場合は、申告が必要です。不動産があれば相続登記と登録免許税は別に必要です。

遺産5,000万円を相続すると税金はいくらですか?

家族構成で変わります。子1人なら160万円、子2人なら合計80万円です。配偶者と子2人で、配偶者が法定相続分を取得して税額軽減を使えば、合計10万円です。

親の遺産を相続したら確定申告は必要ですか?

相続しただけなら、相続人の所得税の確定申告は必要ありません。亡くなった人に所得があった場合の準確定申告や、相続した不動産を売って利益が出た場合の確定申告は必要です。

相続で不動産取得税はかかりますか?

相続で不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりません。相続登記の登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)はかかります。

まとめ

この記事の要点
  • 遺産相続でかかる主な税金は、相続税・登録免許税・所得税・住民税です。
  • 相続税は、遺産が3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えた時だけかかります。
  • 相続税の課税対象になる人は、亡くなった人の9.9%(令和5年分)です。
  • 配偶者は1億6,000万円か法定相続分の多い方まで相続税がかかりませんが、申告は必要です。
  • 不動産を売って利益が出ると、相続税とは別に譲渡所得の税金がかかります。
相続の手引き

相続の手引き 編集部

相続・相続税の制度と手続きを、公的機関の公開情報をもとにわかりやすく解説しています。 公式サイト

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