相続登記の必要書類一覧|法務局に出す書類と集め方をケース別に

相続登記の必要書類をケース別に解説する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

親の家や土地を相続したものの、『法務局に何を出せばいいの?』と手が止まっている方は多いはずです。

結論から言うと、相続登記の必要書類は「誰が相続するかをどう決めたか」で変わります。遺産分割協議で決めたのか、遺言があるのか、法定相続分のままなのかで、そろえる書類が違うんです。

この記事を読めば、自分のケースで何をどこで取ればいいか、一覧表で確認できます。

目次

相続登記の必要書類は「決め方」で変わる

先に結論
  • どのケースでも、登記申請書・亡くなった人の戸籍・住民票の除票・不動産を取得する人の住民票・固定資産評価証明書が基本です。
  • 遺産分割協議で決めた時は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が加わります。
  • 遺言で決まった時は、遺言書があれば相続人全員の戸籍や印鑑証明書は原則いりません。
  • 法定相続情報一覧図の写しがあれば、戸籍の束の代わりに使えます。

相続登記は、亡くなった人の名義になっている土地や家を、相続した人の名義に変える手続きです。不動産の名義変更とも呼ばれます。

法務局は「この人が本当に相続人で、この人がこの不動産を受け継いだ」ことを書類で確認します。だから、決め方ごとに証明の材料が変わるわけです。

相続登記そのものの流れは相続登記とはで解説しています。ここでは書類に絞って見ていきますね。

ちなみに、土地もマンションも一戸建ても、名義変更の必要書類の基本は同じです。違うのは、不動産の数だけ申請書に物件を書き並べる点くらいなんです。

相続登記の必要書類一覧表

相続登記の必要書類をケース別に整理した図解

まずは全体を一覧表で見てみましょう。「必要」は原則として添付する書類、「不要」は原則いらない書類です。

書類遺産分割協議法定相続分遺言どこでもらえる
登記申請書必要必要必要自分で作る(法務局のひな形あり)
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本必要必要死亡の記載がある戸籍のみ本籍地の市区町村(広域交付も可)
亡くなった人の住民票の除票(または戸籍の附票)必要必要必要最後の住所地の市区町村
相続人全員の戸籍謄本必要必要取得する人のみ本籍地の市区町村
不動産を取得する人の住民票必要相続人全員分必要住所地の市区町村
遺産分割協議書必要不要不要相続人で作成
相続人全員の印鑑証明書必要不要不要住所地の市区町村
遺言書不要不要必要自宅・法務局・公証役場
固定資産評価証明書必要必要必要不動産がある市区町村
相続関係説明図あると便利あると便利あると便利自分で作る

『こんなに集めるの…』と思った方もいますよね。ただ、戸籍や住民票は1回の請求でまとめて取れるものも多いので、順番さえ押さえれば意外と進みます。

遺産分割協議で決めた場合

よくあるのがこのケースです。相続人全員で話し合い、「実家は長男が相続する」と決めた場合ですね。

遺産分割協議書には相続人全員が署名し、実印を押します。その実印が本人のものだと示すために、相続人全員の印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書の書き方は相続登記は自分でできる?でも触れています。

法定相続分のとおりに登記する場合

話し合いをせず、民法で決まった割合のまま共有名義にするケースです。遺産分割協議書と印鑑証明書はいりません。

その代わり、共有者になる相続人全員の住民票が必要になります。共有名義は後で売る時に全員の同意が必要になるので、よく考えてから選んでみてください。

遺言で決まった場合

遺言書に「自宅は妻に相続させる」と書かれていれば、その遺言書が登記の根拠になります。

自筆の遺言書は、家庭裁判所の検認を済ませたものが必要です。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度で預けていた遺言書と、公正証書遺言は検認がいりません。

戸籍は、亡くなった人の死亡が分かるものと、不動産を受け取る人のものがあれば足ります。相続人全員分を集めなくていいので、かなり楽なんです。

具体例:父が亡くなり、実家を長男が相続するケース

例えば、父が亡くなり、相続人が母・長男・長女の3人で、話し合いの結果、実家の土地と建物を長男が相続するケースを考えてみます。

この場合にそろえる書類は次のとおりです。

書類誰の分枚数の目安
父の出生から死亡までの戸籍謄本父本籍の移動の数だけ
父の住民票の除票父1通
母・長男・長女の戸籍謄本相続人3人同じ戸籍なら1通で足りることも
長男の住民票新しい名義人1通
遺産分割協議書3人が署名・実印1通
印鑑証明書母・長男・長女各1通
固定資産評価証明書土地と建物1通
登記申請書長男が作成1通

『母も長女も実家には住まないし、全員の書類まで必要?』と思うかもしれません。ただ、遺産分割協議は相続人全員の合意が前提なので、全員分の印鑑証明書がいるんです。

母と長女に早めに声をかけて、印鑑証明書を取っておいてもらうと、あとがスムーズですよ。

戸籍謄本・住民票・印鑑証明書はどこでもらえる?

ここからは、書類ごとの集め方です。

亡くなった人の戸籍謄本(出生から死亡まで)

特に手間がかかるのが、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍です。結婚や転籍で本籍が変わっていると、複数の市区町村にまたがります。

ただ、2024年3月1日から「戸籍証明書の広域交付」が始まりました。本籍地以外の市区町村の窓口でも、本人・配偶者・父母・子などの戸籍をまとめて請求できます。

例えば、亡くなった父の戸籍を子が取る場合、近くの市役所の窓口でまとめて請求できるわけです。ただし郵送や代理人による請求はできないので、窓口に行く必要があります。

古い戸籍は「除籍謄本」や「改製原戸籍」と呼ばれますが、窓口で「相続で使うので、出生から死亡まですべて」と伝えれば伝わります。

住民票の除票・戸籍の附票

亡くなった人の住民票の除票は、登記簿に載っている住所と、亡くなった人が同じ人だとつなげるために使います。

『登記簿の住所と最後の住所が違う…』というケースは珍しくありません。引っ越しのたびに登記の住所を変えていない方は多いんです。

その場合は、住所の移り変わりが分かる戸籍の附票を取ってみてください。

相続登記で住所がつながらない時は

古い住所の記録が保存期間を過ぎて取れず、住所がつながらないこともあります。

その時は、権利証(登記済証や登記識別情報)を添付するなど、別の方法で同じ人だと示すことになります。必要な書類は事案によって違うので、管轄の法務局に事前に相談しておきましょう。

相続人の住民票・印鑑証明書

不動産を取得する人の住民票は、新しい名義人の住所を登記するために使います。

印鑑証明書は、遺産分割協議書に押した実印の証明です。相続人がそれぞれ住んでいる市区町村で取得します。遠方の兄弟には、協議書と一緒にお願いしておくとスムーズですね。

固定資産評価証明書は相続登記に不要?

「相続登記 固定資産評価証明書 不要」と調べる方も多いのですが、実は評価額がないと登録免許税が計算できません。

相続登記の登録免許税は「固定資産税評価額 × 0.4%」です。例えば、評価額2,000万円の家と土地なら、2,000万円 × 0.4% = 8万円になります。

固定資産評価証明書は、不動産がある市区町村(東京23区は都税事務所)で取得します。

毎年届く固定資産税の課税明細書で代わりにできる法務局もありますが、扱いは管轄によって違います。事前に確認しておくと安心です。

なお、一定の土地には登録免許税の免税措置もあります。対象になるかは法務局のホームページで確認してみてください。

登記事項証明書は不要?

登記事項証明書(登記簿謄本)は、申請の添付書類としては原則いりません。

ただ、申請書には不動産の所在・地番・家屋番号を正確に書く必要があります。今の名義人や物件の情報を確かめるために、先に取っておくと書き間違いを防げます。

法定相続情報一覧図を使う場合の必要書類

法定相続情報一覧図を使った場合に戸籍の束がいらなくなる流れの図解

戸籍の束を何度も出し直すのが面倒な時に便利なのが、法定相続情報証明制度です。

法務局に戸籍一式と「法定相続情報一覧図」を出すと、内容を証明した写しを無料で交付してもらえます。

相続登記で法定相続情報一覧図の写しを使う場合、亡くなった人と相続人の戸籍謄本の代わりになります。銀行の手続きや相続税の申告でも使えるので、不動産以外の手続きも多い方には向いています。

『一覧図ってどうやって取るの?』という方は、法定相続情報一覧図の取得方法を見てみてください。

比べる点戸籍の束で出す法定相続情報一覧図を使う
相続登記で出す戸籍出生から死亡まで全部と相続人全員分一覧図の写し1枚
交付の手数料戸籍ごとに市区町村の手数料一覧図の写しは無料
銀行・相続税申告毎回戸籍の束を出す写しを複数枚もらって使い回せる

相続関係説明図との違いは相続関係説明図の書き方でまとめています。説明図を付けて出すと、戸籍の原本を返してもらえるのが大きなメリットなんです。

登記申請書の書き方と法務局のひな形

登記申請書は、法務局のホームページにひな形と記載例が載っています。

法務局の不動産登記の申請書様式では、「相続・遺産分割」「相続・法定相続」「相続・公正証書遺言」「相続・自筆証書遺言」などケース別の様式をダウンロードできます。

申請書に書く主な項目は次のとおりです。

申請書を作る流れ
  1. 自分のケースに合う様式(遺産分割・法定相続・遺言)を選ぶ
  2. 登記の目的(所有権移転)と原因(年月日相続)を書く
  3. 亡くなった人と、相続して名義人になる人の住所・氏名を書く
  4. 添付情報(登記原因証明情報・住所証明情報など)を書く
  5. 課税価格と登録免許税を書き、収入印紙を貼る
  6. 不動産の所在・地番・家屋番号を登記事項証明書のとおりに書く

できた申請書と添付書類は、不動産がある場所を管轄する法務局に、窓口か郵送で出します。オンライン申請もあります。

相続分譲渡証明書を出すケース

相続人の1人が自分の相続分をほかの相続人に譲った場合は、相続分譲渡証明書を添付することがあります。

例えば、こんな相談がよくあります。

「弟は実家はいらないって言ってるんだけど、協議書は必要?」
「弟さんが相続分を譲るなら、相続分譲渡証明書と弟さんの印鑑証明書で進められることもありますよ」

ケースによって書き方が変わるので、法務局の相談窓口を使ってみてください。

書類集めでつまずきやすいポイント

最後に、よくある失敗を押さえておきましょう。

提出前に確認しておきたいこと
  • 亡くなった人の戸籍が出生から死亡まで途切れずにそろっているか
  • 登記簿の住所と除票(附票)の住所がつながっているか
  • 遺産分割協議書の氏名・住所が印鑑証明書と一致しているか
  • 協議書に相続人全員の実印が押されているか
  • 不動産の地番・家屋番号が登記事項証明書と一致しているか

印鑑証明書は、相続登記では有効期限を気にしなくてよいとされることが多い書類です。ただし銀行など他の手続きでは期限を決めているところもあるので、使い回す時は提出先に聞いてみてください。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を相続したと知った日から3年以内の申請が必要です。詳しくは相続登記の義務化で解説しています。

よくある失敗

遺産分割協議書を作ったあとに、別の相続人がいることが戸籍で分かり、協議をやり直すケースがあります。協議書を作る前に戸籍を集め切っておきましょう。

書類集めが難しい時は、登記は司法書士、相続税の申告は税理士が専門です。相続税がかかりそうな場合は、土地の評価と申告期限(10か月)を見据えて、早めに税理士に相談しておくと楽です。

特に、土地が複数ある・相続人が多い・遠方に住む兄弟がいる、という方は書類の数が一気に増えます。

相続税の申告・相談先に迷ったら

相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介

知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

税理士ドットコムの相続税申告に強い税理士の紹介ページ
税理士ドットコムの紹介ページ(2026年10月時点)
  • 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
  • 紹介は無料、24時間365日受付
  • 最短当日に税理士を紹介してもらえる
  • 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営

申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

税理士ドットコムの申し込み画面。最初にお探しの地域を選ぶ
最初は地域を選ぶだけ。入力情報は公開されません

かんたん30秒・24時間365日受付

税理士ドットコムで
相続に強い税理士を探す(無料)

税理士ドットコムの紹介ページに移動します

よくある質問

相続登記の必要書類はどこでもらえますか?

戸籍謄本は本籍地の市区町村(広域交付なら最寄りの窓口でも可)、住民票の除票・住民票・印鑑証明書は住所地の市区町村、固定資産評価証明書は不動産がある市区町村で取得します。登記申請書は法務局のひな形を使って自分で作ります。

相続登記に登記事項証明書は必要ですか?

添付書類としては原則不要です。ただ、申請書に書く地番や家屋番号を確かめるために、事前に取っておくと書き間違いを防げます。

固定資産評価証明書は不要にできますか?

登録免許税の計算に評価額が必要なので、評価証明書を付けるのが一般的です。課税明細書で代わりにできるかは管轄の法務局によって違うため、事前に確認してみてください。

法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本はいりませんか?

相続登記では、法定相続情報一覧図の写しが亡くなった人と相続人の戸籍謄本の代わりになります。不動産を取得する人の住民票など、ほかの書類は別に必要です。

相続登記で住民票は誰の分が必要ですか?

不動産を取得して新しく名義人になる人の住民票が必要です。法定相続分で共有名義にする場合は、共有者全員分になります。

まとめ

この記事の要点
  • 相続登記の必要書類は、遺産分割協議・法定相続分・遺言のどれで決めたかで変わります。
  • 基本は申請書・亡くなった人の戸籍と除票・取得する人の住民票・固定資産評価証明書です。
  • 遺産分割協議なら協議書と相続人全員の印鑑証明書が加わります。
  • 法定相続情報一覧図の写しは、戸籍の束の代わりに使えて便利です。
  • 相続登記は不動産の取得を知った日から3年以内に申請する義務があります。
相続の手引き

相続の手引き 編集部

相続・相続税の制度と手続きを、公的機関の公開情報をもとにわかりやすく解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次