相続放棄のデメリットとメリット|後悔しないための注意点と失敗例

相続放棄のデメリットとメリットを解説する記事のアイキャッチ

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『借金があるみたいだから放棄したい。でも、後から困ることはないの?』と不安になっていませんか。

結論から言うと、相続放棄のいちばんのデメリットは、一度受理されると原則として取り消せないことです。プラスの財産も一切受け取れなくなり、次の順位の親族に相続が回ります。この記事では、メリットとデメリットを並べて、後悔しないための確認ポイントをお伝えします。

目次

相続放棄のメリットとデメリットを先に比べる

先に結論

相続放棄のメリットは、借金を引き継がずに済み、遺産の話し合いから離れられることです。デメリットは、撤回できない・プラスの財産も受け取れない・次の順位の親族が相続人になる、の3点が大きなものです。

相続放棄とは、家庭裁判所に申述して、初めから相続人でなかったことになる手続きです。期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。

相続放棄のメリット
  • 借金や保証債務を引き継がない
  • 遺産分割の話し合いに加わらなくてよい
  • 自分1人の判断で手続きできる
相続放棄のデメリット
  • 受理された後は原則として撤回できない
  • 預金や不動産などプラスの財産も受け取れない
  • 次の順位の親族(親や兄弟姉妹)に相続が回る
  • 生命保険金の非課税枠が使えない
相続放棄のメリットとデメリットを左右に並べて比べた図解

手続きそのものの流れは相続放棄の手続きの流れで確認できます。

相続放棄のデメリット5つ

ここからは、デメリットを一つずつ見ていきます。

1. 一度受理されると取り消せない

『あとで財産が見つかったら、やっぱり相続したい』と思っても、受理された放棄は原則として撤回できません。

だからこそ、申述する前に財産と借金をできるだけ調べておくことが大事なんです。

2. プラスの財産も一切受け取れない

相続放棄は、借金だけを放棄する手続きではありません。実家や預金、思い出の品も含めて、すべて受け取れなくなります。

「実家だけは残したい」という場合は、放棄ではなく、限定承認や遺産分割の話し合いを考えることになります。

3. 次の順位の親族が相続人になる

ここは、トラブルになりやすいところです。

子ども全員が放棄すると、亡くなった人の父母や祖父母が相続人になります。父母も放棄したり、すでに亡くなっていたりすると、兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)に回ります。

例えばこんな場面です。

「借金があるから、私たちは放棄したよ」
「えっ、それで今度は私のところに督促が来たの?」

知らせないまま放棄すると、親族の関係がこじれることも。放棄したら、次の順位の人に一言伝えておきましょう。

4. 生命保険金の非課税枠が使えない

受取人に指定された生命保険金は、受取人固有の財産なので、放棄しても受け取れます。

ただし、放棄した人は「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠を使えません。保険金が大きいと、放棄した人に相続税がかかることもあるんです。

5. 財産の保存義務が残ることがある

放棄しても、亡くなった人の家などを現に占有している場合は、相続人などに引き渡すまで保存する義務があります(2023年4月1日施行の改正)。

『放棄したから、実家はもう知らない』とはいかないケースがある、ということです。

相続放棄の失敗例と注意点

よくある失敗を、チェックリストにまとめました。

相続放棄の前に確認したいこと
  • 亡くなった人の預金を引き出して使っていないか
  • 形見分けで価値のある物を持ち帰っていないか
  • 財産と借金の全体をひと通り調べたか
  • 3か月の期限がいつまでか把握しているか
  • 次の順位の親族に知らせる準備ができているか

特に注意したいのが、財産の処分です。亡くなった人の財産を処分したり使ったりすると、単純承認とみなされて放棄できなくなることがあります。

例えば、預金から親族の借金を返した、車を売った、といった行為です。判断に迷う支出は、放棄の手続きが終わるまで控えておくと安心です。

もう一つの失敗例が、期限切れです。財産の調査に時間がかかりそうなら、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます。期限の数え方は相続放棄の期限と熟慮期間の考え方で確認してみてください。

相続放棄で後悔しないための判断のしかた

『放棄すべきか、相続すべきか、自分では決めきれない』という方も多いはずです。

判断の基本は、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかです。

状況考えられる選択肢
明らかに借金の方が多い相続放棄
どちらが多いか分からない限定承認、または期間の伸長を申し立てて調査
財産の方が多い相続して遺産分割で分ける
財産は多いが特定の家だけ要らない遺産分割の話し合いで調整

限定承認は、プラスの財産の範囲でだけ借金を引き継ぐ方法です。ただ、相続人全員で共同して申述する必要があるので、1人でも反対すると使えません。

なお、相続放棄をした人がいても、相続税の基礎控除の計算では、放棄した人も法定相続人の数に含めます。基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。

財産と借金の調べ方

『どこまで調べれば十分なの?』と迷いますよね。まずは手元にある郵便物や通帳から、次の点を確認してみてください。

  • 通帳の引き落とし欄に、ローンやカード会社の返済がないか
  • 消費者金融やカード会社からの督促状・明細が届いていないか
  • 誰かの借金の保証人になっていないか(契約書や金融機関からの通知)
  • 固定資産税の納税通知書で、どんな不動産を持っていたか

借金の全体が見えにくい時は、信用情報機関に情報の開示を求める方法もあります。調査に時間がかかって3か月の期限に間に合いそうにない時は、早めに期間の伸長を申し立てておきましょう。

放棄した後にやっておきたいこと

受理されると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。債権者から請求が来た時は、この通知書の写しや、申請して取得する受理証明書を見せれば、支払う必要がないことを伝えられます。

もう一つ、次の順位の親族への連絡も忘れずに。『自分たちのことで精一杯で、そこまで気が回らなかった』という声はよく聞きますが、知らせておくだけで、後のトラブルをかなり減らせます!

財産に土地や株が含まれていて、プラスがいくらになるのか分からない時は、評価のところで迷いがちです。財産が多そうで相続税がかかるかもしれない、という方は、放棄するか決める前に税理士に財産の全体を見てもらうと判断しやすくなります。

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よくある質問

相続放棄は後から取り消せますか?

家庭裁判所に受理された後は、原則として撤回できません。申述する前に、財産と借金をできるだけ調べておきましょう。

相続放棄しても生命保険金は受け取れますか?

受取人に指定されていれば受け取れます。ただし、生命保険金の非課税枠は使えません。

相続放棄をすると親族に迷惑がかかりますか?

次の順位の親族が相続人になるため、借金の請求が回ることがあります。放棄したことを早めに伝えておくとトラブルを防ぎやすくなります。

相続放棄をすると、相続税の基礎控除は減りますか?

減りません。基礎控除の計算では、相続放棄をした人も法定相続人の数に含めます。

相続放棄の失敗で多いのはどんな例ですか?

亡くなった人の預金を使ってしまい単純承認とみなされるケースや、3か月の期限を過ぎてしまうケースがよくあります。迷う支出は控え、期限を早めに確認しておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 相続放棄のメリットは、借金を引き継がず遺産の話し合いから離れられること
  • デメリットは、撤回できない・プラスの財産も受け取れない・次の順位に回ること
  • 生命保険金は受け取れるが、非課税枠は使えない
  • 預金を使うなど財産を処分すると放棄できなくなることがある
  • どちらが多いか分からない時は、限定承認や期間の伸長も検討する
相続の手引き

相続の手引き 編集部

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