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親から預金を相続したあとで、『来年の確定申告にこのお金も書かないといけないの?』と不安になっている方も多いですよね。
結論から言うと、相続で受け取った財産そのものについて、所得税の確定申告をする必要はありません。相続には所得税ではなく相続税がかかり、申告するなら「相続税の申告」という別の手続きになります。
ただし、相続のあとで家賃が入ったり、相続した土地を売ったりした時は、確定申告が必要になることがあります。この記事では、その見分け方を見ていきます。
遺産相続したら確定申告は必要?まず結論から
- 相続した財産そのものは所得税の対象ではないので、確定申告は不要です。
- 相続税がかかる場合は、確定申告ではなく「相続税の申告」を10か月以内にします。
- 亡くなった人に所得があった場合は、相続人が「準確定申告」を4か月以内にします。
- 相続後の家賃収入、相続した不動産・株の売却益、自分が保険料を払っていた死亡保険金などは、確定申告が必要になることがあります。
相続のまわりには、名前の似た申告が3つあります。ここを混同している方がとても多いんです。
| 申告 | 何にかかる税金か | 誰が | 期限 |
|---|---|---|---|
| 相続税の申告 | 相続した財産(基礎控除を超えた分) | 財産を受け取った人 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 |
| 準確定申告 | 亡くなった人のその年1月1日から死亡日までの所得 | 相続人 | 亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内 |
| 確定申告 | 相続人自身の1年間の所得 | 相続人本人 | 翌年2月16日から3月15日まで |

相続でいくらから申告が必要?
100万円や500万円を相続した場合
『遺産相続で100万円を相続したら、確定申告は必要ですか?』という質問はよくあります。
答えは、確定申告は不要です。相続した財産には所得税がかからないからです。
では、相続税の申告はどうか。相続税は、遺産の合計が基礎控除を超えた時だけかかります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除(これ以下なら相続税なし) |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
例えば、遺産全体が500万円で、そのうち100万円を相続したケースなら、遺産の合計が基礎控除を下回るので相続税の申告も要りません。
ここで気をつけたいのは、判断するのは自分がもらった額ではなく遺産全体の額だということです。自分の取り分が100万円でも、遺産全体が基礎控除を超えていれば、相続税の申告が必要になることがあります。
相続税の申告がいらないケースは相続税がかからない場合の手続きは?で詳しく解説しています。
相続税を払った年の確定申告は?
『相続税を払った年は、確定申告で何か控除できるの?』と思う方もいますよね。
払った相続税を、所得税の確定申告で差し引くことはできません。ただし、相続した不動産などを一定期間内に売った場合は、払った相続税の一部を売却の経費(取得費)に足せる特例があります。これは後ほど説明します。
相続後に確定申告が必要になるケース
ここからは、相続をきっかけに確定申告が必要になる代表的なケースを見ていきます。
亡くなった人の準確定申告
亡くなった人に事業や不動産の収入があった、年金が多かったなど、確定申告が必要な所得があった場合は、相続人が代わりに申告します。これが準確定申告です。
期限は、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内です。相続人が2人以上なら、連名で出すか、他の相続人の氏名を書き添えて各自で出します。
医療費控除の対象は、亡くなった日までに本人が払った医療費だけです。亡くなったあとに相続人が払った入院費などは入りません。
相続した不動産の家賃収入
アパートや貸家を相続すると、相続後の家賃は相続人の収入になります。家賃から経費を引いた不動産所得について、相続人が確定申告をします。
遺産分割が終わるまでの家賃は、法定相続分に応じて各相続人の収入として扱うのが一般的です。分け方が決まるまでの期間も申告が要るので、家賃の入金記録は残しておきましょう。
例えば、家族でこんな会話になることもあるはずです。
「アパートの家賃、とりあえず長男の口座に入れてるけど、申告は長男だけでいいよね?」
「分割が決まるまでは、兄弟それぞれの持ち分で申告するんじゃないかな」
相続した土地・家・株を売った
相続した不動産や株を売って利益が出たら、譲渡所得として確定申告が必要です。
取得費(買った時の値段)と取得した時期は、亡くなった人のものを引き継ぎます。親が昔安く買った土地を売ると、利益が大きく出やすいので注意しましょう。
- 取得費加算の特例: 相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合、払った相続税の一部を取得費に足せる
- 空き家の3,000万円特別控除: 1981年5月31日以前に建てられた家などを売った場合(2027年12月31日までの譲渡。2024年以降は相続人が3人以上なら1人2,000万円)
どちらも確定申告をしないと使えません。売却の税金は相続した不動産を売却した時の税金で詳しく見ていきます。
自分が保険料を払っていた死亡保険金
親が亡くなって死亡保険金を受け取った場合、保険料を払っていたのが誰かで税金が変わります。
亡くなった親が保険料を払っていたなら相続税の対象です。受け取った本人が保険料を払っていたなら、所得税(一時所得)の対象になり、確定申告が必要になることがあります。
- 保険金−払った保険料−特別控除50万円: 1,000万円−700万円−50万円=250万円
- 課税の対象はその1/2: 250万円×1/2=125万円
会社員なら20万円がひとつの目安
給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員の場合、給与以外の所得が年20万円以下なら、原則として確定申告は不要です。
相続後の家賃収入や売却益が20万円を超えたら、確定申告をすると覚えておきましょう。ここでいう所得は、収入から経費を引いたあとの金額です。
相続の手続きや申告が重なって、何から手をつければいいか分からない。不動産を相続した、相続税がかかるかもしれない、準確定申告の期限も近い。こんな場合は、相続税と所得税の両方に詳しい税理士に、まとめて相談すると段取りがぐっと楽になります。
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申告の必要書類と進め方
必要な書類は、どの申告をするかで変わります。
- 準確定申告: 亡くなった人の源泉徴収票(給与・年金)、準確定申告書の付表、医療費の領収書など
- 家賃収入の確定申告: 家賃の入金記録、固定資産税や修繕費などの経費の領収書
- 売却の確定申告: 売買契約書、亡くなった人が買った時の契約書、相続税の申告書の控え(取得費加算を使う時)
相続税の申告に必要な書類は相続税申告の必要書類一覧でまとめています。
期限が近い順に並べると、準確定申告(4か月)、相続税の申告(10か月)、相続人自身の確定申告(翌年3月15日)です。期限全体は遺産相続の期限一覧で確認しておきましょう。
よくある質問
遺産相続で100万円を相続したら確定申告は必要ですか?
必要ありません。相続した財産には所得税がかからないからです。相続税も、遺産全体が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下ならかかりません。
相続税の申告と確定申告は何が違いますか?
相続税の申告は相続した財産にかかる税金の申告で、期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。確定申告は、相続人自身の1年間の所得にかかる所得税の申告で、翌年2月16日から3月15日までです。
相続した家を売ったら確定申告は必要ですか?
売却で利益が出たら、譲渡所得として確定申告が必要です。相続税の申告期限の翌日から3年以内に売れば取得費加算の特例、古い空き家なら3,000万円特別控除が使える場合があり、いずれも確定申告で適用を受けます。
まとめ
- 相続した財産そのものには所得税がかからず、確定申告は不要
- 相続税がかかるなら、10か月以内に相続税の申告をする
- 亡くなった人の所得は、相続人が4か月以内に準確定申告をする
- 相続後の家賃収入・不動産や株の売却益・自分が保険料を払った死亡保険金は確定申告が必要になりうる
- 会社員は給与以外の所得が年20万円を超えたら確定申告を考える
まずは、相続した財産の中に「家賃が入るもの」「売る予定のもの」があるかを確認してみてください。どちらもなければ、相続人自身の確定申告はほぼ関係なく、相続税の申告が要るかどうかだけを判断すれば大丈夫です。
準確定申告の詳細は国税庁「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」で確認できます。






