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『借金が多いから、家族みんなで相続放棄しようと思う。その後、借金や実家はどうなるの?』と気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、子ども全員が相続放棄すると、相続権は親、さらに兄弟姉妹へと順に移ります。最後の順位の人まで全員が放棄すると、相続人がいない状態になり、借金は残った財産の範囲で清算され、返しきれない分は誰も払う必要がなくなります。この記事では、その流れと注意点を順番にお伝えします。
相続人全員が相続放棄したらどうなる?
同じ順位の相続人が全員放棄すると、次の順位の人が相続人になります。子、直系尊属(父母など)、兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)の順です。すべての順位の人が放棄すると相続人がいない状態になり、利害関係人などの申立てで家庭裁判所が相続財産清算人を選び、財産の清算が行われます。
相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったことになります。そのため、放棄した人の子どもが代わりに相続する代襲相続も起きません。
『自分たちが放棄すれば、それで全部終わり』と思いがちですよね。実は、そこからが親族の問題になることもあるんです。
相続権が移っていく順番
| 段階 | 相続人になる人 | この段階の全員が放棄すると |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子(亡くなっていれば孫) | 第2順位へ |
| 第2順位 | 父母・祖父母などの直系尊属 | 第3順位へ |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪) | 相続人がいない状態に |
配偶者は常に相続人なので、配偶者も放棄しなければ、配偶者がすべてを相続することになります。
例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が放棄したケースです。夫の父母が健在なら父母が相続人になり、父母も放棄すれば、夫の兄弟姉妹が相続人になります。

相続の順位は法定相続人とはでも確認できます。
全員が相続放棄した場合、借金はどうなる?
ここが大事なところです。全員が放棄すると、借金を引き継ぐ人はいなくなります。
相続人がいない状態になると、お金を貸した側などの利害関係人が家庭裁判所に申し立て、相続財産清算人が選ばれます(2023年4月の改正で相続財産管理人から名称が変わりました)。
相続財産清算人は、亡くなった人の財産を集めてお金に換え、借金を返していきます。返しきれなかった分は、誰も払う必要がありません。借金を清算しても財産が残れば、特別縁故者への分与を経て、最終的に国のものになります。
ただし、次の場合は注意が必要です。
- 相続人自身が借金の保証人になっている場合は、保証人として返済義務が残る
- 放棄した人が受取人の生命保険金は受け取れるが、借金の返済に回す義務はない
清算人の役割は相続財産清算人とはで詳しく解説しています。
実家などの不動産はどうなる?
『全員放棄したら、空き家になった実家は誰が管理するの?』と心配になりますよね。
2023年4月1日施行の改正で、放棄した人でも、その財産を現に占有している場合は、相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存する義務があります。
例えばこんな場面です。
「実家に住んでいた母も放棄したけど、家はそのままでいいの?」
「清算人に引き渡すまでは、家を傷めないように保存しておく必要があります」
占有していない人には、この保存義務はありません。清算人の選任には費用がかかることもあるので、実家をどうするかは家族で早めに話しておきましょう。
全員が放棄した後に債権者から連絡が来たら
『放棄したのに、まだ督促が届く』ということもあります。お金を貸した側が、放棄したことを知らないだけの場合が多いんです。
例えばこんな対応です。
「先日、家庭裁判所で相続放棄が受理されました。受理証明書の写しをお送りします」
債権者から放棄の証明を求められたら、家庭裁判所に申請して相続放棄申述受理証明書を取得し、写しを送れば十分です。支払いを求められても、放棄した人が払う必要はありません。
全員が放棄する前に考えたいこと
全員がそろって放棄すると、実家や思い出の品も含めて、家族の手元には何も残りません。
- 財産と借金のどちらが多いか、本当に分からない時は限定承認を検討する
- 亡くなった人と同居し介護していた内縁の配偶者などは、特別縁故者として財産分与を申し立てる道がある
- 実家を残したい家族がいるなら、放棄の前に話し合っておく
放棄は受理された後に取り消せません。全員で決める前に、一度立ち止まって確かめておきましょう。
例えばこんな話し合いです。
「借金があるらしいから、みんなで放棄しよう」
「その前に、本当にどれくらいあるのか調べてからにしない?」
借金の額が分かってみたら、財産の方が多かった、ということもあります。調べる時間が足りない時は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます!
子供全員でまとめて相続放棄する時の進め方
相続放棄は、1人ひとりが家庭裁判所に申述する手続きです。ただ、兄弟全員の分を同じ家庭裁判所に、まとめて同時に出すことはできます。
- 相続人全員で、財産と借金の状況を共有する
- 各自の申述書を作り、共通の戸籍謄本などをそろえる
- 1人につき収入印紙800円と郵便切手をつけて、同じ家庭裁判所に提出する
- 各自に届く照会書に、それぞれが回答する
- 受理されたら、次の順位の親族に放棄したことを伝える
同時に出す場合、同じ戸籍謄本は1通の提出で足りることがあります。未成年の子の分は、親など法定代理人が申述します。
期限は、それぞれが自分のために相続の開始を知った時から3か月以内です。次の順位の人は、先の順位の人が全員放棄したことを知った時から3か月を数えます。
だからこそ、次の順位の親族への連絡が大事なんです。知らせないままだと、ある日突然、債権者からの通知で相続人になったことを知る、ということにもなりかねません。申述の手順は相続放棄の手続きの流れで確認できます。
全員が放棄するかどうか決める前に、本当に借金の方が多いのかを確かめておきましょう。土地や株があってプラスの財産がいくらか分からない時や、放棄しない家族が相続して相続税がかかりそうな時は、財産の評価を税理士に見てもらうと判断しやすくなります。
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よくある質問
相続人全員が相続放棄したら、借金は誰が払いますか?
相続人がいない状態になると、相続財産清算人が亡くなった人の財産から返済します。返しきれない分を誰かが払う必要はありません。ただし、保証人になっている人は保証人としての義務が残ります。
子供全員の相続放棄をまとめて申し立てられますか?
申述は1人ずつですが、同じ家庭裁判所に同時に出せます。費用は1人につき収入印紙800円と郵便切手です。
全員が相続放棄した後、実家はどうなりますか?
現に住んでいるなど占有している人は、清算人などに引き渡すまで保存する義務があります。最終的には清算され、残った財産は国のものになります。
全員が相続放棄した後、債権者から督促が来たらどうすればいいですか?
家庭裁判所で相続放棄申述受理証明書を取得し、その写しを送って放棄したことを伝えてください。放棄した人が支払う必要はありません。
相続放棄した子の子ども(孫)に相続権は移りますか?
移りません。相続放棄をした人は初めから相続人でなかったことになるため、代襲相続は起きません。
まとめ
- 同じ順位の全員が放棄すると、相続権は次の順位へ移る
- 最後の順位まで全員が放棄すると、相続人がいない状態になる
- 相続財産清算人が財産から借金を返し、返しきれない分は誰も払わない
- 放棄しても、占有している財産は引き渡すまで保存する義務がある
- 子供全員でまとめて申述でき、次の順位の親族への連絡が大事






