遺贈の相続税|相続人以外(他人)が財産をもらった時の計算と2割加算

遺言で相続人以外が財産を受け取る遺贈の相続税を解説する記事のアイキャッチ

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遺言で、親戚や知り合いから財産を受け取ることになって、『相続人じゃないのに、税金はどうなるの?』と戸惑っている方も多いですよね。

結論から言うと、遺言による遺贈で受け取った財産には、贈与税ではなく相続税がかかります。そして相続人以外の他人が受け取ると、多くの場合2割加算で税額が増えます。

この記事を読めば、遺贈の場合の相続税の計算方法と、自分が申告する必要があるかが分かります。

目次

遺贈でも相続税がかかる?まず結論

先に結論
  • 遺言で財産をもらう遺贈は、相続税の対象です。
  • 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は遺産全体で計算し、受遺者は人数に入りません。
  • 配偶者・子・父母以外が受け取ると、税額が2割増しになります。
  • 受遺者も、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付します。

遺贈とは、遺言で財産を渡すことです。財産をもらう人を受遺者と呼びます。

『遺言でもらったんだから、もらい得なのでは?』と思いますよね。

ただ、税金の上では相続と同じ扱いになります。遺産全体が基礎控除を超えていれば、受遺者にも相続税がかかるんです。

遺贈と相続の違いは遺贈と相続の違いで解説しています。

遺贈の相続税の計算方法

遺贈がある時も、相続税の計算の流れは普通の相続と同じです。

遺贈がある時の相続税の計算
  1. 相続人と受遺者が受け取った財産を全部合計する
  2. 基礎控除(法定相続人の数で計算)を差し引く
  3. 法定相続分で分けたと仮定して、速算表で相続税の総額を出す
  4. 実際にもらった割合で、各人に税額を割り振る
  5. 受遺者が配偶者・子・父母以外なら、その人の税額を2割増しにする

ここが大事なところです。基礎控除の人数は法定相続人だけで数えます。受遺者が何人いても、基礎控除は増えません。

計算例: 甥が遺言で1,000万円を受け取るケース

例えば、遺産6,000万円のうち、遺言で甥(相続人ではない)が1,000万円を受け取り、残りを子2人が2,500万円ずつ相続するケースです。

計算の段階金額
遺産の合計6,000万円
基礎控除(子2人)3,000万円+600万円×2人=4,200万円
課税遺産総額1,800万円
子1人の法定相続分900万円 × 10% = 90万円
相続税の総額90万円 × 2人 = 180万円
甥の負担(6分の1)30万円 × 1.2(2割加算)= 36万円
子1人の負担(6分の2.5)75万円
遺贈を受けた甥の相続税を、基礎控除から2割加算まで順に計算した図解

『甥は相続人じゃないのに、2割も増えるの?』と驚きますよね。

2割加算は、配偶者と一親等の血族(子・父母)以外が財産を取得した時にかかります。甥姪や兄弟姉妹、孫、まったくの他人が受け取った時も対象です。

税率の詳しい表は相続税の税率と速算表で確認できます。

遺贈でも相続税がかからないのはどんな時?

遺贈を受けても、遺産全体が基礎控除以下なら相続税はかかりません。

例えば、相続人が子1人で、遺産が3,000万円のケースです。基礎控除は3,000万円+600万円×1人=3,600万円なので、遺言で他人が500万円を受け取っても相続税は0円になります。

また、お墓や仏壇などの祭祀財産は、遺贈で受け取っても相続税がかかりません。

『自分がもらう額は少ないから大丈夫』と考えがちですよね。ただ、判断の基準は自分の取り分ではなく遺産全体です。少額の遺贈でも、遺産全体が基礎控除を超えていれば相続税がかかります。

包括遺贈と特定遺贈の違い

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。

種類内容相続税
包括遺贈「財産の3分の1を」のように割合で渡す受け取った分に相続税
特定遺贈「この土地を」のように財産を指定して渡す受け取った分に相続税

どちらも相続税の対象である点は同じです。

包括遺贈と特定遺贈の違いと、受遺者が相続税で注意する点を示した図解

違いは、借金の扱いにあります。包括遺贈の受遺者は相続人と同じ立場になるので、割合に応じて借金も引き継ぎます。

『借金まで引き継ぐのは困る…』という時は、受け取りを断る方法もあります。包括遺贈を断る時は、相続放棄と同じように家庭裁判所での手続きが必要です。

受遺者が気をつけたいポイント

生命保険金の非課税枠は使えない

生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、相続人が受け取った分だけに使えます。

相続人ではない受遺者が保険金を受け取っても、非課税枠は使えません。遺贈で「非課税になる」と考えていた方は注意しておきましょう。

生前の贈与も足し戻される

遺贈で財産を受け取った人は、亡くなる前の一定期間にもらった贈与も相続財産に加算されます。2024年1月1日以降の贈与からは、この期間が7年に延びていきます。

相続人でない孫などは原則この加算の対象外ですが、遺贈で財産を受け取ると対象になるんです。

特別寄与料も相続税の対象

介護などで亡くなった人に尽くした親族は、相続人でなくても特別寄与料を請求できます(2019年7月1日施行)。

例えば、義父を介護してきた長男の妻が特別寄与料を受け取ったケースです。この特別寄与料は遺贈で取得したものとして相続税の対象になり、一親等の血族ではないので2割加算もかかります。

法人への遺贈

会社などの法人が遺贈を受けた場合は、原則として相続税ではなく法人税の対象になります。

さらに、遺贈した人の側で所得税がかかる場合もあります。法人への遺贈を考えている時は、事前に税理士に確認しておきましょう。

受遺者の申告と納付

受遺者も、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、亡くなった人の住所地の税務署へ申告・納付します。

相続税の申告書は、相続人と受遺者が共同で1通にまとめて出すことが多いです。

「相続人の方から、申告書に一緒に名前を書いてほしいって連絡が来た」
「遺贈分の税金も、その申告書で計算されるんだね」

こんなふうに、相続人側の税理士とやりとりする場面もあります。

受遺者にも相続税を納める責任があります。相続人が申告するから自分は関係ない、とは考えないでおきましょう。期限を過ぎると延滞税や加算税がかかることもあります。

遺産全体が基礎控除以下なら、相続税はかからず申告も不要です。ただ、受遺者は遺産全体の金額が分からないことも多いですよね。まずは相続人側に、申告が必要かを確認してみてください。

遺贈がある相続は、2割加算や税額の割り振りで計算が複雑になります。他人や甥姪に遺贈がある、法人への遺贈がある、申告期限が近い。そんな方は、相続税に慣れた税理士に相談すると安心です。

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よくある質問

遺贈で財産をもらうと贈与税ですか、相続税ですか?

相続税です。遺言で財産をもらう遺贈は、亡くなったことをきっかけに財産が移るので、贈与税ではなく相続税の対象になります。

遺贈を受けた人は基礎控除の人数に入りますか?

入りません。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算し、相続人ではない受遺者は人数に数えません。

他人が遺贈を受けた場合、税率は高くなりますか?

税率そのものは同じですが、配偶者・子・父母以外の人が受け取ると、計算した税額が2割増しになります。兄弟姉妹、甥姪、孫、他人も対象です。

まとめ

この記事の要点
  • 遺言による遺贈には相続税がかかる
  • 基礎控除は法定相続人の数で計算し、受遺者は数えない
  • 配偶者・子・父母以外の受遺者は税額が2割増し
  • 受遺者は生命保険金の非課税枠を使えない
  • 受遺者も10か月以内に申告・納付する

まずは相続人側に、遺産全体の金額と申告の予定を確認してみてください。そこから自分の取り分の税額を見積もれます。

2割加算のルールは国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」でも確認できます。

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相続の手引き 編集部

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