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「相続法が改正された」「相続登記が義務化された」と聞くけれど、何がいつから変わったのかよく分からない。そう感じている方も多いはずです。
結論から言うと、相続法とは民法の中で相続のルールを決めている部分のことで、2019年以降に大きな改正が続いています。この記事では、相続の基本ルールと改正のポイントを、施行日順に確認できます。
相続法とは?民法の相続ルールの基本
「相続法」という名前の法律があるわけではなく、民法の「相続」に関する部分をまとめてそう呼んでいます。誰が相続人になるか、どんな割合で分けるか、遺言書の書き方、遺留分などが決められています。相続税のルールは民法ではなく、相続税法という別の法律で決まっています。
『相続法と相続税法って同じじゃないの?』と混同しやすいですよね。相続法は「財産を誰がどう引き継ぐか」、相続税法は「引き継いだ財産にかかる税金」のルールです。
相続の全体像は 相続とは でも解説しています。ここでは民法のルールと改正に絞って見ていきます。
民法で決まっている主なルール
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 相続人の範囲 | 配偶者は常に相続人。子、直系尊属、兄弟姉妹の順 |
| 法定相続分 | 配偶者と子は1/2ずつ、配偶者と直系尊属は2/3と1/3、配偶者と兄弟姉妹は3/4と1/4 |
| 遺言 | 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の方式 |
| 遺留分 | 兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の取り分 |
| 遺産分割 | 相続人全員の合意で分ける。まとまらなければ家庭裁判所 |
| 相続放棄 | 相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述 |
誰が相続人になるかの詳しい説明は 法定相続人とは にまとめています。
相続法改正はいつから?施行日の一覧
2019年以降の主な改正を、施行日順に並べました。自分の家族の相続がいつ起きたかで、適用されるルールが変わるので確認してみてください。
| 施行日 | 改正の内容 |
|---|---|
| 2019年1月13日 | 自筆証書遺言の財産目録をパソコンや通帳コピーで作れるように |
| 2019年7月1日 | 遺留分の請求が金銭で行うことに。特別寄与料の制度が新設 |
| 2020年4月1日 | 配偶者居住権・配偶者短期居住権の新設 |
| 2020年7月10日 | 法務局の自筆証書遺言書保管制度が開始 |
| 2023年4月1日 | 相続開始から10年で特別受益・寄与分を主張できなくなる。相続財産清算人への名称変更 |
| 2023年4月27日 | 相続土地国庫帰属制度が開始 |
| 2024年4月1日 | 相続登記の義務化 |
| 2026年4月1日 | 住所・氏名変更登記の義務化 |

改正相続法の主なポイント
ここからは、暮らしに影響の大きい改正を順番に見ていきます。
配偶者居住権(2020年4月1日施行)
夫や妻が亡くなった後も、残された配偶者が自宅に住み続けられる権利です。家の「所有権」は子が相続し、配偶者は「住む権利」だけを相続する、という分け方ができるようになりました。
『家を相続すると、生活費になる預金が少なくなってしまう…』という悩みに応える制度なんです。
自筆証書遺言の見直し(2019年・2020年)
以前は遺言書の全文を手書きする必要がありましたが、財産目録はパソコンで作ったり通帳のコピーを付けたりできるようになりました。各ページへの署名押印は必要です。
さらに2020年7月10日からは、法務局で遺言書を保管してもらえるようになりました。手数料は1通3,900円で、保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要です。
遺留分と特別寄与料(2019年7月1日施行)
遺留分は、お金で請求する仕組みに変わりました。以前のように、不動産が共有になってしまう事態を避けやすくなっています。
また、相続人ではない親族、例えば長男の妻が義父の介護をしていた場合などに、相続人へ「特別寄与料」を請求できるようになりました。相続の開始と相続人を知った時から6か月、相続開始から1年以内という短い期限があります。
預貯金の仮払い制度
遺産分割が終わる前でも、1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額×1/3×その相続人の法定相続分」、上限150万円までを単独で払い戻せる制度です。葬儀費用などにあてやすくなりました。
遺産分割の10年ルール(2023年4月1日施行)
遺産分割そのものに期限はありません。ただ、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を主張できなくなり、法定相続分で分けることになります。
「親の介護をした分を考慮してほしいのに…」
「それなら、10年たつ前に遺産分割を進めておく必要があります」
こんな事態を防ぐためにも、話し合いを先延ばしにしないことが大切です。
相続の義務化とは?相続登記のルール
「相続の義務化」とよく言われるのは、相続登記の義務化のことです。2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記することが義務になりました。
正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、2027年3月31日まで、または知った日から3年以内の遅い方が期限です。
遺産分割がまとまらない時は、自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」で義務を果たすこともできます。
さらに2026年4月1日からは、住所や氏名が変わった時に2年以内に変更登記をすることも義務になりました。2026年に施行された相続に関わる改正として、この点も押さえておきましょう。
相続に関する期限は、税金の面でも決まっています。相続税の申告は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。法律の改正点と税金の期限の両方を押さえておくと、手続きの抜け漏れを防げます。
不動産や預金が多く、相続税がかかりそうな場合は、登記や遺産分割の準備と並行して税理士に相談しておくと安心です。
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無権代理と相続の関係をわかりやすく
民法の相続のテーマで、試験勉強などで出てくるのが「無権代理と相続」です。
無権代理とは、代理する権利がない人が、勝手に本人の代理人として契約することです。例えば、息子が父に無断で、父の土地を売る契約をしたケースです。
この契約は、本来は父が認めなければ効力がありません。ところが、相続が絡むと話が変わります。
- 父が亡くなり、無断で契約した息子が1人で相続した場合: 息子は「その契約は認めない」と言えないとされています。自分でした契約を、相続をきっかけに否定するのは不公平だからです。
- 息子が先に亡くなり、父が息子を相続した場合: 父はもともと契約に関わっていないので、契約を認めないことができます。
『誰が誰を相続したか』で結論が変わる、というのがポイントです。実際のケースでは相続人が複数いるなど事情が複雑になるので、弁護士に確認してみてください。
よくある質問
相続法改正の前に起きた相続には、どちらのルールが使われますか?
原則として、相続が開始した日(亡くなった日)の時点のルールが使われます。ただし、相続登記の義務化のように、施行日前の相続にも適用されるものがあります。
相続税のルールも民法で決まっていますか?
相続税は相続税法で決まっています。ただ、基礎控除の人数を数える「法定相続人」は民法の考え方がもとになっています。
遺産分割に期限はできたのですか?
遺産分割そのものに期限はありません。2023年4月1日施行の改正で、相続開始から10年を過ぎると特別受益・寄与分を主張できなくなるというルールができました。
まとめ
- 相続法は民法の中の相続に関するルールの呼び名
- 2019年以降、遺言・遺留分・配偶者居住権などの改正が続いている
- 2024年4月1日から相続登記が義務化、2026年4月1日から住所・氏名変更登記も義務化
- 遺産分割は相続開始から10年を過ぎると特別受益・寄与分を主張できなくなる
- 無権代理と相続は、誰が誰を相続したかで結論が変わる






