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父の遺産をどう分けるか決まらないうちに、今度は母が亡くなってしまった。『協議書はどう書けばいいの?』と手が止まっている方も多いはずです。
結論から言うと、数次相続でも遺産分割協議書は作れます。亡くなった相続人の立場を、その人の相続人が引き継いで協議に加わる形です。この記事では、誰が協議に入るか、記載例、法務局で気をつける点がわかります。
数次相続の遺産分割協議書は誰が作る?
数次相続とは、最初の相続の遺産分割が終わる前に、相続人の一人が亡くなり、次の相続が始まることです。この場合、亡くなった相続人の分は、その人の相続人が引き継ぎます。遺産分割協議書は、生きている相続人と、亡くなった相続人の相続人の全員で作ります。
例えば、父が亡くなり、母と長男・長女が相続人だったケース。分け方を決める前に母も亡くなると、母の立場は長男と長女が引き継ぎます。
この場合、父の遺産を分ける協議に参加するのは、長男と長女の2人です。母の分をどう分けるかも、2人で一緒に決めることになります。
『母はもう亡くなっているのに、母の名前も書くの?』と思いますよね。実はここが数次相続の協議書のポイントなんです。母は「父の相続人」であり、同時に「母自身の相続の被相続人」でもあります。協議書では、この二つの立場がわかるように書きます。
数次相続そのものの考え方は、法定相続人のルールが土台になります。法定相続人とはもあわせて確認しておくと、誰が相続人になるかを間違えずに済みます。
遺産分割協議中に相続人が死亡したらやり直し?
『話し合いの途中で相続人が亡くなったら、最初からやり直し?』という不安もよく聞きます。
結論から言うと、どの段階で亡くなったかで変わります。
| 亡くなったタイミング | 協議書の扱い |
|---|---|
| 全員が協議書に署名・押印した後 | 協議は成立しているので、作り直しは不要 |
| 合意したが、署名・押印の前 | 亡くなった人の相続人が加わり、改めて署名・押印する |
| まだ分け方が決まっていない | 亡くなった人の相続人を加えて、協議を続ける |
例えば、兄弟3人で合意して、全員が署名・押印を済ませた後に次男が亡くなったケース。この協議書はそのまま使えます。
一方で、口約束だけで書類がまだの時は、次男の妻や子が新しく話し合いに入ります。「前に兄弟で決めたとおりで進めていいですか」「主人がどう考えていたか、私にはわからなくて」という会話から始まることも少なくありません。
相続人が増えるほど、意見はまとまりにくくなります。話し合いが進まなくなった時の考え方は相続トラブルの事例を参考にしてみてください。
数次相続の遺産分割協議書の書き方と記載例
数次相続の協議書で大事なのは、「誰が、どの立場で署名しているか」をはっきり書くことです。
- 最初の被相続人の氏名・亡くなった日・最後の住所・本籍
- 途中で亡くなった相続人の氏名・亡くなった日(「相続人兼被相続人」と書く)
- 協議に加わる人が、誰の相続人として署名するのか
- 財産ごとに誰が受け取るか
- 全員の住所・氏名と実印での押印

記載例(ひな形):父の相続の途中で母が亡くなったケース
次の文例は、父の遺産を長男と長女で分け、母の相続人の立場も2人が兼ねる場合です。
遺産分割協議書
被相続人 ○○ 太郎(令和○年○月○日死亡)
最後の住所 東京都○○区○○町○丁目○番○号
本籍 東京都○○区○○町○番地
上記被相続人の相続について、相続人兼被相続人○○ 花子(令和○年○月○日死亡)の相続人である○○ 一郎および○○ 春子は、○○ 花子の相続人の地位を兼ねて、次のとおり遺産を分割することに合意した。
- 次の土地は、○○ 一郎が取得する。<br>所在 東京都○○区○○町○丁目<br>地番 ○番○<br>地目 宅地<br>地積 ○○.○○平方メートル
- 次の預金は、○○ 春子が取得する。<br>○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○
以上を証するため、本書を作成し、各自署名押印する。
令和○年○月○日
被相続人○○ 太郎の相続人兼被相続人○○ 花子の相続人
住所 ○○
氏名 ○○ 一郎 (実印)
被相続人○○ 太郎の相続人兼被相続人○○ 花子の相続人
住所 ○○
氏名 ○○ 春子 (実印)
長男・長女はもともと父の相続人でもあります。ただ、母の立場も兼ねていることを書いておかないと、母の分をどう扱ったのかが伝わりません。
三次相続の記載例はどう書く?
母の次に、さらに長男まで亡くなった場合が三次相続です。この時は長男の相続人(長男の妻や子)も協議に加わります。
署名欄には「被相続人○○ 太郎の相続人兼被相続人○○ 花子の相続人兼被相続人○○ 一郎の相続人」のように、つながりを順番に書いていきます。長くなりますが、誰の立場で署名しているかがわかれば大丈夫です。
数次相続の遺産分割協議書を法務局に出す時の注意点
不動産がある場合は、協議書を使って法務局で相続登記をします。数次相続では、次の点でつまずきやすいです。
戸籍は亡くなった人全員分が必要
最初の被相続人だけでなく、途中で亡くなった相続人についても、出生から死亡までの戸籍をそろえます。相続人が増えるぶん、集める戸籍もかなり多くなります。
登記を1回でまとめられるかはケースで違う
本来、相続登記は相続が起きた順に1件ずつ申請します。ただ、途中の相続で財産を受け取る人が一人に決まる場合などは、まとめて申請できることもあります。
『1回で済むのか、2回必要なのか』は判断が難しいところです。法務局の相談窓口か司法書士に、協議書の案を見せて確認してみてください。
相続登記には期限がある
2024年4月1日から相続登記が義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
数次相続は、協議がまとまるまで時間がかかりがちです。期限内に分け方が決まらない時は、自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」で、ひとまず義務を果たすこともできます。
数次相続と相続税で気をつけること
数次相続では、相続税の申告も相続ごとに考えます。父の相続と母の相続は、それぞれ別に計算するんです。
申告・納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。父の相続の申告期限が来る前に母が亡くなった場合は、母の分の申告も母の相続人が行います。
続けて相続があった時のために、10年以内に相続が続いた場合の「相次相続控除」という制度もあります。母が父の相続で相続税を納めていた場合は、母の相続でこの控除を使えるか確認しておきましょう。
土地がある、相続人が何人もいる、二つの相続の申告期限が近い。こんな時は、計算や書類の準備を税理士に任せると負担がぐっと軽くなります。要件を満たすかどうかも含めて、早めに相談しておくと安心です。
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協議書の基本の形は遺産分割協議書の書き方でくわしく解説しています。
よくある質問
数次相続の遺産分割協議書はダウンロードできますか?
法務局のホームページでは、相続登記に使う遺産分割協議書の様式例が公開されています。数次相続の場合は、署名欄に「相続人兼被相続人」の立場を書き足して使ってみてください。
協議書に署名した後で相続人が亡くなったら、やり直しですか?
いいえ。全員が署名・押印を済ませていれば、協議は成立しているので作り直す必要はありません。その協議書で手続きを進められます。
途中で亡くなった相続人の配偶者も協議に入りますか?
はい。亡くなった相続人の配偶者や子は、その人の相続人として協議に加わります。誰が相続人になるかは、亡くなった相続人の家族構成で決まります。
まとめ
- 数次相続は、遺産分割の前に相続人が亡くなり、次の相続が始まること
- 亡くなった相続人の立場は、その人の相続人が引き継いで協議に加わる
- 協議書には「相続人兼被相続人」と書き、誰の立場で署名するかを明確にする
- 署名・押印の後に亡くなった場合は、協議のやり直しは不要
- 戸籍は亡くなった人全員分が必要で、相続登記には3年の期限がある







