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夫が亡くなった。親と一緒に暮らしていた実家の名義が親のままだった。『この家、私が住み続けられるの?』と不安になりますよね。
結論から言うと、住んでいる家を誰が相続するかは、遺言書がなければ相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決まります。住んでいる人が自動的にもらえるわけではありません。
ただ、配偶者には住み続けるための制度があり、同居の子にも税金の特例があります。この記事では、住み続けるための方法をケース別に見ていきます。
住んでいる家は誰が相続する?まずは基本
- 家を誰が相続するかは、遺言書か、相続人全員の遺産分割協議で決まります。
- 住んでいるからといって、その人が当然に相続するわけではありません。
- 配偶者は、配偶者居住権や配偶者短期居住権で住み続ける道があります。
- 同居していた子が家を相続すると、小規模宅地等の特例で土地の評価が大きく下がることがあります。
相続人は、配偶者が常に相続人で、ほかに子、子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹の順です。家もほかの財産と同じく、この相続人みんなのものとして扱われます。
『長年住んでいたんだから、私のものでしょう?』と思う気持ちは自然です。ただ、法律上は分け方が決まるまで、相続人全員で共有している状態なんです。
相続人の範囲は不動産の相続手続きの流れとあわせて確認してみてください。
夫が亡くなった時、妻は家を追い出される?
『子供たちに家を売ると言われたらどうしよう』と心配する方もいますよね。
まず、配偶者短期居住権という制度があります。2020年4月1日から始まった制度で、亡くなった人の家に無償で住んでいた配偶者は、遺産分割が決まるまでの間などは、そのまま住み続けられます。
さらに、遺産分割や遺言で「配偶者居住権」を取得すれば、家の持ち主が子になっても、配偶者は住み続けることができます。
配偶者居住権で預貯金も確保する
例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が相続するケース。財産は家3,000万円と預貯金2,000万円の合計5,000万円とします。
妻の法定相続分は2分の1なので、2,500万円分です。妻が家を丸ごと相続すると、預貯金はほとんど受け取れず、生活費が不安になりますよね。
そこで、家を「住む権利(配偶者居住権)」と「持ち主の権利」に分けます。妻は住む権利を、子は持ち主の権利を相続すれば、妻は家に住みながら預貯金も受け取りやすくなります。
| 分け方 | 妻 | 子 |
|---|---|---|
| 妻が家を丸ごと相続 | 家に住めるが預貯金が少ない | 預貯金を受け取る |
| 配偶者居住権を使う | 家に住み、預貯金も受け取りやすい | 家の持ち主の権利と残りの預貯金 |
配偶者居住権の評価額は、配偶者の年齢や建物の状況で計算します。詳しい計算は税理士に確認しておきましょう。
相続した実家の名義は母と子どちらにする?
『実家の名義を母にするか、同居している自分にするか』は、よく出る悩みです。それぞれにメリットがあります。
| 名義 | よい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 母(配偶者) | 配偶者の税額軽減で、1億6,000万円か法定相続分までは相続税がかからない | 母が亡くなった時(二次相続)に、改めて相続税がかかることがある |
| 同居の子 | 二次相続で家にかかる相続税がない | 小規模宅地等の特例の要件(申告期限まで住み続け・持ち続け)を満たす必要がある |
配偶者が相続した土地は、小規模宅地等の特例を住み続けるなどの条件なしで使えます。同居していた子が相続する場合は、相続の直前から申告期限まで住み続け、持ち続けることが条件です。
どちらにしても、特定居住用宅地等なら330㎡まで評価額を80%減らせます。この特例は申告しないと使えません。
二次相続まで見た考え方は土地・家の相続税はいくら?と、小規模宅地等の特例で詳しく解説しています。
母と子の共有名義にするのはあり?
『とりあえず母と子の半分ずつにしておけば公平』と考える家族もいます。ただ、共有にすると、売る時や建て替える時に共有者全員の同意が必要になります。
母が亡くなった後は、母の持ち分がさらに子どもたちに分かれ、共有者が増えていくことも。将来家をどうするかが決まっていないなら、共有は避けて1人の名義にするほうが手続きは楽です。
また、配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した財産に使える制度です。家を誰の名義にするかで、使える特例も税額も変わります。

前妻の子がいる・子供がいない夫婦の家の相続
家族の形によっては、思わぬ人が相続人になります。
前妻の子がいる場合
前妻(前夫)との間の子も、今の家族の子と同じ相続人です。遺言書がなければ、住んでいる家の分け方も前妻の子を含めた話し合いで決めます。
例えばこんな場面です。
「父の家に住んでいるのは私たちなのに、前妻の子の同意もいるの?」
「相続人全員の合意が必要だから、連絡を取って話し合う必要があるよ」
前妻の子に家を相続させないための方法として、生前に遺言書で家の取得者を決めておくのが基本です。ただし、前妻の子にも遺留分があるので、金銭で請求される可能性は残ります。
子供がいない夫婦の場合
子がいない夫婦で夫が亡くなると、妻と夫の親、親がいなければ夫の兄弟姉妹が相続人になります。妻と兄弟姉妹なら、妻4分の3、兄弟姉妹4分の1です。
夫の親が健在なら、妻3分の2、親3分の1です。家しか大きな財産がないと、親や兄弟姉妹の取り分を払うために家を売る話になることもあります。
『義理のきょうだいと家のことで話し合うのは気が重い』という方も多いはずです。ここで効いてくるのが遺言書なんです。
兄弟姉妹には遺留分がありません。夫が「全財産を妻に」と遺言書を残しておけば、妻は家をそのまま相続できます。
住み続けるためにやっておきたいこと
家を誰が相続するか決まったら、手続きも進めておきましょう。
- 遺産分割協議書を作り、家を誰が相続するかを書く
- 相続登記をする(取得を知った日から3年以内・2024年4月1日から義務)
- 固定資産税の納税義務者を確認し、市区町村からの連絡先を変える
- 相続税がかかる場合は、10か月以内に申告する
生前にできる対策としては、婚姻期間20年以上の夫婦なら、住む家を配偶者に贈与しても最高2,000万円まで贈与税がかからない特例もあります。
家と土地のほかに預貯金や株があり、誰の名義にするか迷っている方は、二次相続の税金まで含めて税理士に試算してもらうと、家族にとって負担の少ない分け方が見えてきます。
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よくある質問
親名義の家に同居していた子は、そのまま家を相続できますか?
自動的には相続できません。遺言書がなければ相続人全員の遺産分割協議で決めます。同居の子が相続し、申告期限まで住み続け・持ち続ければ、小規模宅地等の特例を使える場合があります。
夫が亡くなった後、子供に家を売られて追い出されることはありますか?
配偶者短期居住権があるので、遺産分割が決まるまでなどは住み続けられます。配偶者居住権を取得すれば、家の持ち主が子になっても住み続けられます。
家の相続は配偶者と子供のどっちが得ですか?
配偶者は税額軽減を使えますが、二次相続で改めて相続税がかかることがあります。家族構成と財産全体で変わるので、税理士に試算してもらうのがおすすめです。
まとめ
- 住んでいる家の相続は、遺言書か相続人全員の遺産分割協議で決まります。
- 配偶者は配偶者短期居住権・配偶者居住権で住み続ける道があります。
- 同居の子が相続すると、小規模宅地等の特例で330㎡まで80%減額できることがあります。
- 前妻の子も相続人で、子なし夫婦では親や兄弟姉妹が相続人になります。
- 相続登記は取得を知った日から3年以内に行いましょう。






