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親も兄弟もいない、配偶者も子どももいない。『自分が亡くなったら、この家や預金はどうなるんだろう』と気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、相続人がいない場合、遺産は家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が片付けて、残った財産は最終的に国のものになります。ただ、遺言を書いておけば、渡したい人や団体に財産を残せます。
この記事では、相続人がいない時の遺産の行方と、今からできる準備がわかります。
相続人がいない場合、遺産はどうなる?
- 法定相続人がいない、または全員が相続放棄した状態を「相続人不存在」といいます。
- 遺言がなければ、家庭裁判所が相続財産清算人を選び、借金の支払いなどを済ませます。
- 内縁の配偶者や介護をした人など「特別縁故者」は、財産の分与を申し立てられます。
- それでも残った財産は国庫に帰属します(国のものになります)。
相続人がいないかどうかは、戸籍で判断します。思い込みで「誰もいない」と決めるのは早いこともあるんです。
本当に相続人がいないか確認する
相続人になるのは、配偶者と、次の順位の血族です。
| 順位 | 相続人 | 亡くなっていたら |
|---|---|---|
| 常に | 配偶者 | 代わりはいない |
| 第1順位 | 子 | 孫・ひ孫が代わりに相続 |
| 第2順位 | 父母・祖父母 | 上の世代へ |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 甥・姪まで代わりに相続 |
『兄弟はもう亡くなっているから、相続人はいない』と考えている方もいますよね。でも、兄弟に子ども(甥・姪)がいれば、甥姪が相続人になります。
前の結婚で生まれた子や、認知した子がいる場合も同じです。順位の考え方は相続順位とはで図にしています。
相続人がいるかどうかは戸籍で調べる
相続人の有無は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍をたどって確認します。兄弟姉妹が相続人になるケースでは、親の戸籍までさかのぼる必要があります。
2024年3月1日からは、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍をまとめて請求できる「広域交付」が始まりました。ただし、請求できるのは本人・配偶者・父母・子などに限られ、兄弟姉妹の戸籍はこの方法では取れません。
『遠い親戚がいるかもしれないけど、会ったこともない』という場合もありますよね。戸籍の集め方は被相続人の戸籍謄本の集め方で順番に解説しています。
相続人不存在になる主なケース
- 配偶者なし・子なし・親なし・兄弟なし(甥姪もいない)
- 相続人はいたが、全員が相続放棄をした
- 相続人が欠格や廃除で相続権を失い、代わりに相続する人もいない
借金が多い人が亡くなり、親族が次々と相続放棄をした結果、相続人がいなくなることもあります。
内縁の配偶者は、何十年一緒に暮らしていても相続人ではありません。ここは多くの方が意外に思うところです。
相続人がいない時の手続きの流れ
相続人がいない時は、家庭裁判所が関わって遺産を片付けていきます。おおまかな流れはこうです。

- 利害関係人(お金を貸していた人、特別縁故者など)や検察官が、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる
- 家庭裁判所が相続財産清算人を選び、そのことを公告する
- 相続財産清算人が、債権者などに請求の申し出を呼びかける
- 相続人がいないか、改めて捜す
- 借金や税金を遺産から払う
- 特別縁故者が申し立てれば、家庭裁判所の判断で財産の全部または一部が分与される
- 残った財産は国庫に帰属する
相続財産清算人は、以前は「相続財産管理人」と呼ばれていました。2023年4月の改正で名前が変わっています。詳しい役割は相続財産清算人とはを見てみてください。
この手続きは、相続人がいないからといって自動で始まるわけではありません。誰かが申し立てない限り、遺産はそのままになってしまうんです。
孤独死で相続人がいない時
一人暮らしの方が亡くなり、相続人がいない場合。賃貸住宅の家主や、お金を貸していた人が困ることになります。
例えば、家主が部屋を片付けたくても、勝手に遺品を処分することはできません。こうした場合に、家主が利害関係人として相続財産清算人の選任を申し立てることがあります。
相続人がいない時の相続税の申告
相続財産清算人が国庫に引き継ぐ財産には、相続税はかかりません。相続税がかかるのは、遺言で財産をもらった人や、特別縁故者として分与を受けた人です。
遺言で財産をもらった人は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告します。特別縁故者は、分与を受けたことを知った日から期限が数えられます。
特別縁故者なら財産を受け取れることも
相続人ではなくても、亡くなった人と特別な関係にあった人は、財産の分与を家庭裁判所に申し立てられます。これを特別縁故者といいます。
- 一緒に暮らしていた内縁の配偶者や、事実上の養子
- 長い間、療養や介護をしていた人
- そのほか、亡くなった人と特別に深い関係があった人
『介護をしてきたのだから、当然もらえるはず』と思いますよね。ただ、分与するか、いくら分与するかは家庭裁判所が判断します。申し立てた人が全部受け取れるとは限りません。
申し立てには期限があるので、相続財産清算人の公告が出たら早めに動いておきましょう。
特別縁故者が受け取った財産には相続税がかかる
特別縁故者が分与を受けた財産は、遺言でもらったのと同じ扱いで、相続税の対象になります。
この場合、法定相続人がいないので、基礎控除は3,000万円です。また、配偶者や子ではないので、相続税が2割加算されます。
相続人がいない人が今からできる対策
『国に入るくらいなら、お世話になった人に残したい』という方も多いはずです。その思いを形にする方法は、遺言書です。
| 対策 | できること |
|---|---|
| 遺言書を書く | 友人・内縁の配偶者・お世話になった人に財産を遺贈できる |
| 寄付先を遺言で指定する | 自治体や公益法人などに財産を寄付できる |
| 遺言執行者を決めておく | 亡くなった後、遺言の内容を実行する人を指定できる |
遺言で財産をもらう人を決めておけば、相続財産清算人の手続きを経ずに、その人に財産を渡せます。
自筆証書遺言なら法務局で保管してもらえる制度もあり、手数料は1通3,900円です。書き方は遺言書の書き方で例文つきで紹介しています。
遺言だけではカバーできないこと
遺言は財産の行き先を決めるものです。葬儀や部屋の片付け、各種の解約など、亡くなった後の事務は別に頼む人を決めておくと安心です。
親しい人や専門家と、元気なうちに話しておいてみてください。
相続人がいない方の遺贈は、受け取る人に相続税が2割加算でかかることがあります。財産が多めで、渡す相手にかかる税金まで考えたい方は、税理士に一度相談しておくと安心です。
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よくある質問
相続人がいない場合、預金口座はどうなりますか?
相続財産清算人が選ばれるまでは、基本的に誰も引き出せません。選任後に清算人が解約して、借金の支払いなどに充てます。
全員が相続放棄したら、家の管理は誰がしますか?
放棄した人でも、現に占有している財産は、相続財産清算人などに引き渡すまで保存する義務があります。
甥や姪は相続人になりますか?
兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子である甥・姪が代わりに相続人になります。甥姪の子は相続人になりません。
まとめ
- 相続人がいない場合は、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が遺産の清算をする
- 特別縁故者は財産分与を申し立てられ、受け取った財産には相続税がかかる
- 残った財産は最終的に国庫に帰属する
- 渡したい人がいるなら、遺言書を書いておくのが基本の準備になる






