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親から『元気なうちに財産を分けておきたい』と言われて、『生前に相続ってできるの?税金はどうなるの?』と気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、法律上の「相続」は亡くなった時に始まるので、生きているうちに相続はできません。生前相続と呼ばれているのは、主に生前贈与のことです。生前に渡すと、相続税ではなく贈与税のルールがかかります。
この記事を読めば、生きているうちに財産を渡す方法と、それぞれの税金の注意点が分かります。
生前相続とは?
- 生前相続は法律用語ではなく、生きているうちに財産を渡すこと(主に生前贈与)を指します。
- 生前に渡すと、贈与税がかかるのが基本です。暦年課税なら受け取る人ごとに年110万円の基礎控除があります。
- 相続時精算課税を選ぶと、累計2,500万円までは贈与税がかかりません。
- 2024年以降の贈与は、相続開始前7年以内の分が相続財産に加算されるので注意が必要です。
相続は、亡くなった時に始まります。亡くなる前に「生前相続の協議書」を作って分け方を決めても、遺産分割協議としての効力はありません。また、親が生きている間に、子が相続放棄をすることもできないんです。
『じゃあ、生前に分けることはできないの?』と思いますよね。できます。生きているうちに財産を渡す方法は、主に次のとおりです。
| 方法 | どんな仕組み? |
|---|---|
| 暦年課税の贈与 | 受け取る人ごとに年110万円までは贈与税がかからない |
| 相続時精算課税 | 累計2,500万円まで贈与税がかからず、相続の時に精算する |
| 贈与税の配偶者控除 | 婚姻20年以上の夫婦で、自宅などを最高2,000万円控除 |
| 住宅取得等資金の贈与 | 省エネ等住宅1,000万円、それ以外500万円まで非課税(2026年12月31日までの贈与) |
| 教育資金の一括贈与 | 最大1,500万円まで非課税 |
| 遺言・家族信託 | 渡し方を生前に決めておく |

生前贈与の税金はいくら?
生前に財産を渡す時の税金は、贈与税です。受け取る人が払います。
暦年課税の場合
受け取る人ごとに、1年あたり110万円の基礎控除があります。110万円を超えた部分に贈与税がかかります。
例えば、親が18歳以上の子に1,000万円を一度に渡すケース。特例税率を使うと、1,000万円 − 110万円 = 890万円に対して、890万円 × 30% − 90万円 = 177万円の贈与税がかかります。
『一度に渡すと、けっこう税金がかかるんだ』と感じますよね。年をまたいで少しずつ渡すと税金を抑えやすくなります。ただし、毎年同じ額を渡すとあらかじめ約束していると、まとめて贈与したとみなされるおそれがあります。
相続時精算課税の場合
60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫に渡す時に選べる制度です。累計2,500万円までは贈与税がかからず、超えた部分は一律20%です。2024年1月1日以降は、年110万円の基礎控除もあります。
例えば、親が子に3,000万円を渡し、相続時精算課税を選んだケース。3,000万円 − 110万円 − 2,500万円 = 390万円に20%をかけて、贈与税は78万円です。
ただし、贈与した財産(110万円の基礎控除分を除く)は、親が亡くなった時に相続財産に足して相続税を計算し直します。一度選ぶと暦年課税に戻れない点にも気をつけましょう。詳しくは相続時精算課税制度とはで紹介しています。
生前贈与で気をつけたいこと
ここが大事なところです。生前に渡しても、相続税が減らないことがあります。
7年以内の贈与は相続財産に加算される
2024年1月1日以降の贈与から、相続開始前7年以内に相続人などが受け取った贈与は、相続財産に足して相続税を計算します(従来は3年)。延長された4年分は、合計100万円までは加算しません。加算期間は2027年1月以降の相続から段階的に伸びていきます。
対象は、相続や遺贈で財産を受け取った人です。孫など相続人でない人への贈与は、原則として対象外です。
名義預金と見られないようにする
『子ども名義で積み立てておけば大丈夫』と思われがちですよね。ただ、通帳や印鑑を親が管理していると、名義預金として親の財産に数えられることがあります。
- 贈与のたびに贈与契約書を作る
- 受け取った人が通帳・印鑑を自分で管理する
- 110万円を超えたら、翌年2月1日から3月15日に贈与税の申告をする
- 毎年同じ額・同じ日に機械的に渡さない
遺言で分け方を決めておく
生前に財産を渡さず、分け方だけを決めておきたい時は遺言書を作ります。自筆証書遺言は法務局の保管制度(手数料1通3,900円)を使えば、家庭裁判所の検認が要りません。公正証書遺言も検認は不要です。
『渡すのはまだ先でいいけど、もめないようにしたい』という親には、遺言のほうが合っていることもあります。
土地や家を生前に渡す時の注意
土地の生前贈与を考える方も多いですよね。不動産を生前に渡す時は、現金とは違う注意点があります。
土地は相続税評価額(路線価など)で評価し、贈与税を計算します。贈与で名義を移すと、相続の時と違って不動産取得税がかかり、登録免許税も相続の時より高くなります。
例えば、こんな話になることもあります。
「どうせ家は長男に行くんだから、今のうちに名義を変えておこうか」
「贈与だと税金や登記の費用が相続より高くなることもあるから、比べてから決めよう」
自宅の土地は、相続の時なら小規模宅地等の特例で、330㎡まで評価額を80%減らせることがあります。生前に贈与すると、この特例は使えません。
一方、婚姻期間20年以上の夫婦なら、贈与税の配偶者控除で、自宅やその購入資金を最高2,000万円まで控除できます(基礎控除と合わせて2,110万円)。この贈与は、相続前の加算の対象外です。
不動産の対策は不動産の相続税対策でも紹介しています。
生前に渡すか、相続で渡すか
| 比べる点 | 生前贈与 | 相続 |
|---|---|---|
| かかる税金 | 贈与税 | 相続税 |
| 小規模宅地等の特例 | 使えない | 要件を満たせば使える |
| 不動産取得税 | かかる | かからない |
| 渡す時期・相手 | 親が選べる | 亡くなった後に話し合い |
どちらが得かは、財産の額や家族構成で変わります。生前贈与のほうが税金が増えることもあるので、まとまった財産や不動産を動かす前に、相続税と贈与税の両方で試算しておくと安心です。
生前相続を考えたら、まず税金の試算を
親の財産がどれくらいあり、相続税がかかりそうかで、生前に渡すべきかが変わります。相続税の基礎控除は、3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数です。
不動産がある、7年加算や精算課税の選び方で迷っている、という場合は、税理士に相続税と贈与税の両方を試算してもらうと判断しやすくなります。対策の全体は相続税対策とはを見てみてください。
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よくある質問
生前相続とは何ですか?
法律用語ではなく、生きているうちに財産を渡すことを指す言葉で、主に生前贈与のことです。生前に渡すと、相続税ではなく贈与税のルールがかかります。
生前相続の協議書を作れば、相続の分け方を決められますか?
遺産分割協議は亡くなった後に行うもので、生前に作った協議書には遺産分割としての効力はありません。生前に分け方を決めておきたい時は、遺言書を作る方法があります。
生前に土地を渡すと税金はどうなりますか?
贈与税がかかり、不動産取得税や登録免許税もかかります。相続なら使える小規模宅地等の特例も使えないので、相続で渡す場合と比べてから決めましょう。
まとめ
- 生前相続は、生きているうちに財産を渡すこと(主に生前贈与)を指します。
- 暦年課税は年110万円、相続時精算課税は累計2,500万円まで贈与税がかかりません。
- 7年以内の贈与は相続財産に加算されるなど、相続税が減らないこともあります。
- 土地は小規模宅地等の特例や登記の費用も含めて、相続と比べて決めましょう。





