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『実家の相続登記、平日に法務局へ行けないから兄弟に頼みたい』。そんな時に必要になるのが委任状です。
結論から言うと、相続登記を本人以外が申請する時は、登記を受ける相続人が署名・押印した委任状を申請書に添付します。この記事では、相続登記の委任状の書き方と、そのまま使えるテンプレートがわかります。
相続登記の委任状はどんな時に必要?
相続登記の委任状は、不動産を相続した本人ではなく代理人(家族・司法書士など)が申請する時に必要です。本人が自分で申請するなら委任状はいりません。委任状には、代理人・登記の内容・不動産・委任者を書き、委任者が署名して押印します。
相続登記は、不動産を相続した人(申請人)が自分で法務局に申請するのが基本です。
ただ、仕事で平日に動けない、遠方に住んでいる、という方も多いはずです。その場合は、代理人に申請を任せられます。
| 申請する人 | 委任状 | ポイント |
|---|---|---|
| 相続した本人 | 不要 | 申請書に本人が記名・押印する |
| 家族(他の相続人・配偶者など) | 必要 | 報酬を受け取らずに手伝う形 |
| 司法書士 | 必要 | 司法書士が用意した委任状に署名する |
『委任状って、決まった用紙があるの?』と思いますよね。実は、相続登記の委任状には国が決めた書式はありません。必要な項目がそろっていれば、パソコンで作っても手書きでも構いません。
相続登記そのものの流れは相続登記とは|相続した不動産の名義変更の流れで確認できます。
相続登記の委任状に書く項目
委任状には、次の項目を書きます。
- 代理人の住所と氏名
- 「上記の者に次の権限を委任する」という委任の文言
- 登記の目的(所有権移転)
- 登記の原因(令和○年○月○日相続)
- 相続人(被相続人の氏名と、相続人の住所・氏名)
- 添付書類(原本還付の請求・受領を含めて任せる旨)
- 不動産の表示(登記事項証明書のとおりに書く)
- 委任した日付
- 委任者(相続人)の住所・氏名と押印
いちばん間違えやすいのは不動産の表示です。所在・地番・地積などは、住民票の住所ではなく、登記事項証明書(登記簿)に書かれているとおりに写しておきましょう。

相続登記の委任状テンプレート
そのまま書き写して使える形にしておきます。○の部分を自分のケースに置き換えてください。
委任状
私は、次の者を代理人と定め、下記の登記申請に関する一切の権限を委任します。
代理人 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 氏名 ○○ ○○
- 登記の目的 所有権移転
- 原因 令和○年○月○日相続
- 相続人(被相続人 ○○ ○○) ○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○ ○○
- 原本還付の請求及び受領に関する一切の件
- 登記識別情報の受領に関する一切の件<br>不動産の表示 所在 ○○市○○町○丁目 地番 ○番○ 地目 宅地 地積 ○○.○○平方メートル<br>令和○年○月○日<br>委任者 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 氏名 ○○ ○○ 印
建物も一緒に登記するなら、不動産の表示に建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積を追加します。
申請書そのものは、法務局のホームページに相続登記の申請書の様式と記載例がWord・PDF形式で載っています。法定相続・遺産分割・遺言など、ケース別に分かれているので、自分に合うものを選んでダウンロードしてみてください。委任状の書き方も、その記載例の代理人欄にあわせて整えるとスムーズです。
委任状でよくある書き間違い
せっかく作っても、内容に不備があると法務局から補正の連絡が来てしまいます。提出前に、次の点を見直しておきましょう。
- 不動産の表示を住所(住居表示)で書いてしまい、地番と合っていない
- 登記の原因の日付を、葬儀の日や遺産分割協議の日にしている(相続の日付は亡くなった日)
- 委任者の住所が住民票と違う
- 代理人の氏名だけで住所が抜けている
- 申請書と委任状で、不動産や相続人の書き方がそろっていない
特に登記の原因の日付は、ついうっかりしやすいところです。原因は「亡くなった日に相続が起きた」という意味なので、戸籍に書かれた死亡日を写しておけば間違いません。
訂正が必要になった時は、委任者に訂正印をもらうか、作り直すのが確実です。郵送でやり取りする家族なら、最初から2枚書いてもらっておくと、作り直しの手間を減らせます。
家族に相続登記を頼む時の注意点
委任状に署名するのは「登記を受ける人」
例えばこんな場面です。
「母の家は僕が相続することになったから、姉さん、法務局に出してきてくれる?」
「いいよ。じゃあ委任状にあなたの署名と押印をお願いね」
委任者になるのは、不動産を取得して登記を受ける相続人です。代わりに手続きをする姉は代理人で、委任状には住所と氏名を書くだけになります。
家族の代理は「お手伝い」の範囲で
家族が無償で代わりに申請するのは問題ありません。ただ、報酬をもらって登記の代理を仕事として引き受けられるのは、司法書士や弁護士だけです。
代理人が持っていくものを確認する
家族が代わりに法務局へ行く時は、申請書・委任状・戸籍などの添付書類一式を持っていきます。代理人自身の本人確認書類や認印も持っておくと、その場で訂正を求められた時に慌てずに済みます。郵送で申請することもできます。
委任状は返してもらえない
登記申請のためだけに作った委任状は、原本を返してもらえません。コピーを取ってから提出しておくと、後で何を出したか確かめられて安心です。
期限と費用も確認しておく
相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。登録免許税は「固定資産税評価額 × 0.4%」です。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地なら、登録免許税は4万円です。期限の詳しいルールは相続登記の義務化とはで確認できます。
戸籍の束を何度も出すのが面倒な時は、法務局で無料の「法定相続情報一覧図の写し」を取っておくと便利です。取り方は法定相続情報一覧図の取得方法にまとめています。
自分たちでやるか、専門家に頼むか
『書類が多くて、自分たちでできるか不安…』という方もいるはずです。
土地が1筆で相続人も少ないケースなら、家族だけで申請する人も少なくありません。一方で、土地が何か所にもある、数次相続になっている、相続人が多い、という場合は、司法書士に任せた方が早く終わります。
また、相続した土地や家を含めて遺産の合計が基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えそうなら、相続税の申告も必要になります。相続税がかかりそうなら、土地の評価や申告をまとめて税理士に相談しておくと、登記と税金の段取りを一度に整理できます。
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よくある質問
相続登記の委任状は法務局でもらえますか?
相続登記の委任状には決まった書式がなく、自分で作ります。法務局のホームページには相続登記の申請書の様式と記載例が掲載されているので、あわせて参考にしてください。
委任状は手書きでないとだめですか?
パソコンで作っても構いません。委任者の署名と押印、不動産の表示などの必要な項目がそろっていれば使えます。
相続人が複数いる場合、委任状は誰が書きますか?
不動産を取得して登記を受ける相続人が委任者として書きます。共有で相続する時は、登記を受ける共有者それぞれの委任が必要です。
まとめ
- 相続登記を代理人が申請する時は、登記を受ける相続人の委任状が必要
- 委任状に決まった書式はなく、必要な項目がそろえば手書きでもパソコンでもよい
- 不動産の表示は登記事項証明書のとおりに書く
- 相続登記は取得を知った日から3年以内、登録免許税は評価額の0.4%





