当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
親が住んでいた家を片付けたいけれど、借金があるかもしれないので相続放棄も考えている。『片付けたら放棄できなくなるって本当?』と不安になりますよね。
結論から言うと、相続放棄をするなら、価値のある遺品の処分や売却は控えるのが安全です。一方で、ゴミの処分や腐る物の片付けなど、財産の価値を守るための作業までは問題になりにくいとされています。
この記事を読めば、遺品整理で「していいこと」と「控えたいこと」の線引きと、片付けを急ぐ時の進め方がわかります。
相続放棄をする前に家の片付けをしていい?
亡くなった人の財産を処分・消費すると「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。家具・家電・貴金属・車など価値のある物を売ったり捨てたりするのは、放棄の手続きが終わるまで控えましょう。腐る食べ物や明らかなゴミの処分は、財産の保存にあたる行為として問題になりにくいです。
民法では、相続人が相続財産を処分した時は、相続を承認したものとみなすとされています(法定単純承認)。
相続放棄の基本は、相続放棄とはで確認できます。
ここが大事なところなんですが、「処分」には売ることだけでなく、捨てることや壊すことも含まれると考えられています。善意で片付けたつもりでも、後から借金の債権者に「財産を処分した」と言われるおそれがあるんです。
していいこと・控えたいことの目安
| 作業 | 目安 |
|---|---|
| 生ゴミ・腐る食べ物の処分 | 問題になりにくい |
| 明らかなゴミ(紙くず・壊れた日用品)の処分 | 問題になりにくい |
| 写真や手紙など、売っても値段がつかない思い出の品を持ち帰る | 問題になりにくいとされることが多い |
| 家具・家電・衣類をまとめて業者に処分してもらう | 控えたい |
| 貴金属・時計・ブランド品・車を売る | 控えたい |
| 預金を引き出して自分のために使う | 控えたい |

『どこまでがゴミなのか分からない』という方も多いはずです。迷う物は捨てずに、そのまま置いておくのが無難です。
形見分けはどこまでなら大丈夫?
形見分けも、相続放棄を考えている人が悩むところですよね。
一般的には、経済的な価値がほとんどない物(写真、手紙、使い古した日用品など)を少し受け取る程度なら、処分にはあたらないと考えられることが多いです。
ただ、高級な時計やバッグ、着物、貴金属などは話が別です。売れば値段がつく物を持ち帰ると、相続財産を取得したと見られるおそれがあります。
相続放棄すると家電製品や服などはどうなる?
放棄をした人は、初めから相続人でなかったことになります。家電製品や服なども含め、遺品を受け継ぐ立場ではなくなるんです。
衣類は値段がつかないことが多いものの、ブランドの服や毛皮などは価値が出ることもあります。一律に「服なら捨てて大丈夫」とは言えないので、迷ったら残しておきましょう。
相続放棄後の遺品整理と保存義務
『放棄したら、家の中のものは放っておいていいの?』という疑問もよく聞きます。
2023年4月1日施行の改正で、放棄した人でも、その時に現に占有している財産は、次に相続する人などに引き渡すまで保存する義務があると定められました。
放棄した時に亡くなった人の家に住んでいた、家の鍵を管理していたなど、財産を現に占有していた場合は、引き渡すまで壊したり失くしたりしないよう管理する必要があります。勝手に処分してよいわけではありません。
放棄すると、次の順位の人が相続人になります。全員が放棄して引き継ぐ人がいない時は、家庭裁判所が相続財産清算人を選び、その人が財産を管理・清算します。
清算人については相続財産清算人とはで詳しく解説しています。
実家に自分の荷物がある時
実家に置いてある自分の荷物は、もともと自分の物です。自分の物を持ち帰るのは、相続財産の処分にはあたりません。
ただ、親の物と自分の物が混ざっていると、後から説明が難しくなることも。持ち出す物は写真に撮っておくと安心です。
同居していた家財はどうなる?
親と同居していた場合、家の家財道具は親の物と自分の物が入り交じっていますよね。自分が買った家電や家具は、自分の物として使い続けて問題ありません。
親が買った物は相続財産になるので、放棄するなら処分や売却は控えておきましょう。
ゴミ屋敷・孤独死の場合はどうする?
親の家がゴミ屋敷になっていた、孤独死で特殊清掃が必要と言われた。こうした時は、片付けを急がなければならない事情がありますよね。
「大家さんから早く部屋を空けてほしいと言われていて」
「でも、片付けたら相続放棄ができなくなるって聞いたけど…」
こんな板挟みになる方も少なくありません。
- 明らかなゴミと価値のありそうな物を分け、価値のある物には手をつけない
- 特殊清掃など衛生上必要な作業は、内容と費用の記録を残す
- 費用は自分のお金で払い、亡くなった人の預金を使わない
- 大家さんや管理会社には、相続放棄を検討中であることを伝える
- 迷う作業は、始める前に専門家に確認する
衛生のための清掃や、腐る物の処分は財産の価値を守る行為と見られやすいです。一方で、業者に「家の中を全部処分して」と頼むと、価値のある物まで処分されてしまうことがあります。
賃貸の部屋の解約や車はどうする?
親が借りていた部屋の賃貸借契約も、相続の対象になります。相続人として解約の手続きをすると、相続を受け入れた行為と見られるおそれがあるんです。
大家さんから解約を求められた時は、放棄を考えていることを伝え、どう進めるかを専門家に確認してから動きましょう。
車も同じです。名義を変えたり、売ったり、廃車にしたりするのは処分にあたりやすいので、放棄するなら手をつけずに置いておくのが安全です。
相続放棄の遺品整理はバレる?
『少しくらい片付けても、バレないのでは』と考える方もいるかもしれません。
ただ、借金の債権者が後から家を確認したり、売却の記録が残っていたりして、処分が分かることはあります。放棄の受理後でも、単純承認にあたる行為があったと争われると、放棄の効力が問題になることがあるんです。
すでに遺品整理をしてしまった場合は、何を・いつ・どう処分したかをメモにしておきましょう。そのうえで、放棄ができるかを司法書士や弁護士に相談してみてください。
相続放棄の期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。手続きの流れは相続放棄の手続きの流れで確認できます。
放棄するか迷うのは、財産と借金のどちらが多いか分からない時ですよね。預金や不動産が多く、放棄せずに相続する可能性があって相続税がかかりそうなら、財産の全体を税理士に見てもらうと判断しやすくなります。
相続税の申告・相談先に迷ったら
相続に強い税理士を
税理士ドットコムで無料紹介
知り合いに税理士がいない、どこに頼めばいいか分からない。そんな方も多いですよね。
土地や自宅がある、相続人が多いといった場合は、相続税の申告に慣れた税理士に早めに相談すると、手続きがぐっと楽になります。

- 全国7,500名以上の登録税理士から、相続に強い税理士を紹介
- 紹介は無料、24時間365日受付
- 最短当日に税理士を紹介してもらえる
- 東証プライム上場の弁護士ドットコム株式会社が運営
申し込みは、お探しの地域を選んで、かんたんな質問に答えるだけ。全5ステップで、入力の目安は30秒です。

かんたん30秒・24時間365日受付
税理士ドットコムで相続に強い税理士を探す(無料)
税理士ドットコムの紹介ページに移動します
よくある質問
相続放棄する前に遺品整理をしてもいいですか?
価値のある物の処分や売却は、単純承認とみなされるおそれがあるので控えましょう。生ゴミなど明らかなゴミの処分は問題になりにくいとされています。
相続放棄しても形見分けを受け取れますか?
写真や手紙など経済的な価値がほとんどない物なら、問題になりにくいとされることが多いです。時計や貴金属など値段がつく物は控えたほうが安全です。
相続放棄したら家の片付けの義務はありますか?
片付ける義務はありませんが、放棄した時に現に占有していた財産は、次に相続する人などに引き渡すまで保存する義務があります。勝手に処分してよいわけではありません。
まとめ
- 価値のある遺品を処分・売却すると、相続放棄ができなくなることがある
- 生ゴミや明らかなゴミの処分は問題になりにくい
- 形見分けは、値段のつかない思い出の品なら問題になりにくい
- 放棄後も、現に占有している財産には保存義務がある
- ゴミ屋敷・孤独死で片付けを急ぐ時は、記録を残し自分のお金で払う
- 迷う作業は、始める前に専門家に確認する






