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親が亡くなった後、口座に年金が振り込まれていた。『これって相続財産?勝手に使っていいの?』と戸惑う方は多いはずです。
結論から言うと、未支給年金は相続財産ではなく、生計を同じくしていた遺族が自分の権利として受け取るお金です。相続税はかかりませんが、受け取った人の一時所得として所得税の対象になります。
未支給年金とは?相続財産になる?
未支給年金は、亡くなった人がまだ受け取っていなかった年金を、生計を同じくしていた遺族が請求して受け取るものです。遺族固有の権利なので相続財産には入らず、相続税の課税対象になりません。受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になります。
未支給年金とは、年金を受けていた人が亡くなった時に、まだ支払われていない分の年金のことです。未払年金・未収年金と呼ばれることもあります。
年金は原則として偶数月の15日に、前月までの2か月分がまとめて支払われます。年金は亡くなった月の分まで支給されるので、ほぼすべてのケースで未支給年金が出るんです。
例えば、5月に亡くなった場合です。6月15日に支払われる4月分と5月分が、未支給年金になります。
死亡後に振り込まれた年金はどう扱う?
『死亡後に振り込まれた年金は、亡くなった人の口座に入ったから相続財産では?』と考えがちですよね。
ただ、亡くなった人の口座に振り込まれていても、その年金は遺族が請求して受け取るべきお金です。死亡の届出が遅れて、本来支払われない月の分まで振り込まれた場合は、後で返すことになります。
親の年金の扱いを確かめたい時は、まず年金事務所に死亡を届けて、どの分が未支給年金になるかを確認しておきましょう。
未支給年金に相続税・所得税はかかる?
未支給年金 相続税の扱いは、国税庁の資料で示されています。ポイントを表で確認しておきましょう。
| 項目 | 未支給年金の扱い |
|---|---|
| 相続財産になるか | ならない(遺族固有の権利) |
| 相続税 | かからない |
| 所得税 | 受け取った遺族の一時所得になる |
| 遺産分割の対象 | 対象外 |
| 相続税の申告書への記載 | 記載しない |
国税庁の「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」でも、未支給年金は相続税の課税対象にならず、受け取った人の一時所得に当たるとされています。

一時所得の計算方法
一時所得は「総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)」で計算します。課税されるのは、その金額の2分の1です。
例えば、受け取った未支給年金が30万円で、ほかに一時所得が無い場合です。特別控除の50万円の範囲内なので、一時所得は0円になり、所得税はかかりません。
その年に生命保険の満期金など、ほかの一時所得がある方は合計で考えます。合計が50万円を超えると確定申告が必要になることがあるので注意しましょう。
遺族年金は所得税もかからない
遺族年金と未支給年金は名前が似ていますが、扱いが違います。遺族年金は、原則として相続税も所得税もかかりません。
| 年金の種類 | 相続税 | 所得税 |
|---|---|---|
| 未支給年金 | かからない | 一時所得の対象 |
| 遺族年金 | かからない | かからない |
亡くなった人が個人で入っていた個人年金保険は、また別の扱いになります。詳しくは 個人年金保険の相続税 で解説しています。
未支給年金を受け取れる人と請求方法
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった当時、その人と生計を同じくしていた遺族です。日本年金機構によると、受け取れる順位は次のとおりです。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- それ以外の3親等内の親族
先の順位の人がいる場合、後の順位の人は受け取れません。相続人の順位とは違うので気をつけましょう。
『別々に住んでいたけど、仕送りをしていた』という子どもも、生活費などの援助をしていれば生計を同じくしていたと認められることがあります。
- 年金事務所に死亡を届け出る(日本年金機構にマイナンバーが登録されていれば死亡届は省略できる)
- 「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を用意する
- 年金証書、戸籍謄本など続柄が分かる書類、住民票など生計が同じだったことが分かる書類、受け取る口座の書類をそろえる
- 年金事務所に提出する(郵送や電子申請もできる)
- 審査の後、請求した人の口座に振り込まれる
年金を受けていた人が亡くなったら、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に受給停止の手続きをします。未支給年金は5年で時効になるので、後回しにしないようにしましょう。
生計を同じくする遺族がいない時は?
一人暮らしで、仕送りなどのやりとりも無かった親の場合、未支給年金を受け取れる人がいないこともあります。
『それなら相続人の兄弟で分ければいい?』と思うかもしれません。ただ、未支給年金は相続財産ではないので、相続人が遺産として分けることはできないんです。
年金そのものは相続できる?
親の年金を受け取る権利そのものは、本人だけのものです。亡くなった後、子どもが親の年金を引き継いで受け取り続けることはできません。
遺族が受け取れるのは、未支給年金と、条件を満たした場合の遺族年金や死亡一時金です。どれを受け取れるかは、年金事務所で確認してみてください。
例えば、こんなやりとりがよくあります。
「父の年金、来月からは母の口座に入るように変えられる?」
「年金そのものは引き継げないよ。母が受け取れるのは未支給年金と、条件が合えば遺族年金だね」
未支給年金はいつ振り込まれる?
請求書を出してから、審査を経て振り込まれます。届いた書類に不足があると時間がかかるので、続柄と生計同一が分かる書類を先にそろえておくのがコツです。
相続放棄しても未支給年金は受け取れる?
結論から言うと、受け取れます。未支給年金は相続財産ではなく、遺族が自分の権利として受け取るお金だからです。
親に借金があって相続放棄を考えている方も、未支給年金の請求はできます。ただし、亡くなった人の口座のお金を引き出して使うと、放棄できなくなることがあるので気をつけてください。
相続 住民税 健康保険料はどうなる?
亡くなった人の住民税や健康保険料のうち、未払いの分は相続人が引き継ぎます。こちらは未支給年金と違い、亡くなった人の債務として相続税の計算で差し引けます。
未支給年金は相続税の対象外ですが、ほかの財産の合計が基礎控除を超えるなら相続税の申告が必要です。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
財産の中に土地や生命保険金があって、相続税がかかりそうか判断しにくい。そんな時は、相続税に詳しい税理士に財産の一覧を見てもらうと、申告が必要かどうかがすぐに分かります。
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よくある質問
未支給年金は相続財産ですか?
相続財産ではありません。生計を同じくしていた遺族が、自分の権利として請求して受け取るお金です。遺産分割の対象にもなりません。
未支給年金に税金はかかりますか?
相続税はかかりませんが、受け取った人の一時所得として所得税の対象になります。一時所得には最高50万円の特別控除があります。
未支給年金はいつまでに請求すればいいですか?
未支給年金は5年で時効になります。年金の受給停止の手続きとあわせて、早めに年金事務所へ請求しておきましょう。
まとめ
- 未支給年金は亡くなった人がまだ受け取っていなかった年金で、相続財産ではない
- 相続税はかからず、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になる
- 受け取れるのは生計を同じくしていた遺族で、配偶者、子、父母の順
- 時効は5年。死亡の届出とあわせて年金事務所に請求する
- 相続放棄をしても未支給年金は受け取れる





