投資信託の相続税評価額|基準価額での計算方法と税金

投資信託の相続税評価額の計算方法を解説する記事のアイキャッチ

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親が証券会社で投資信託を持っていた。でも『相続税の計算では、いくらとして数えるの?』と迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、投資信託の相続税評価額は「亡くなった日に解約したら、いくら受け取れるか」で決まります。基準価額に口数をかけて、税金相当額と手数料を差し引いた金額です。

この記事を読めば、自分の家の投資信託がいくらで数えられるのか、相続した後に何の税金がかかるのかが分かります。

目次

投資信託の相続税評価額はどう決まる?

先に結論
  • 一般的な投資信託は「亡くなった日の基準価額 × 口数 − 解約した場合に源泉徴収される税金相当額 − 信託財産留保額・解約手数料」で評価します。
  • MMFなど毎日決算するタイプは、まだ再投資されていない分配金も足して同じように計算します。
  • 証券取引所に上場している投資信託(ETFなど)は、上場株式と同じルールで評価します。

国税庁の案内では、証券投資信託は「課税時期に解約請求をしたとしたら、証券会社などから受け取れる金額」で評価するとされています。課税時期は、相続なら亡くなった日のことです。

つまり、買った時の値段ではありません。亡くなった日の値段で数えるんです。

基準価額が1万口あたりで公表されている投資信託は、「1万口あたりの基準価額 × 口数 ÷ 1万」で計算します。亡くなった日が土日などで基準価額が出ていない時は、その前でいちばん近い日の基準価額を使います。

上場している投資信託は株と同じ評価

ETFやJ-REITのように証券取引所で売買されているものは、解約を前提にした評価が合わないので、上場株式と同じ方法になります。

具体的には、亡くなった日の終値、その月・前月・前々月の毎日の終値の平均のうち、いちばん低い価格で評価します。

『証券口座に入っているものは全部同じ計算でしょ?』と思いがちですよね。実は、上場しているかどうかで計算が変わるので、まず種類を確認しておきましょう。

証券口座の中身ごとの評価のしかた

証券口座には、投資信託のほかに株や債券が入っていることもあります。種類ごとの評価方法を並べると、次のとおりです。

口座の中身相続税での評価のしかた
一般的な投資信託(公募の株式投信など)基準価額 × 口数 − 税金相当額 − 信託財産留保額・解約手数料
MMF・中期国債ファンドなど毎日決算するもの上の計算に、再投資されていない分配金を足す
ETF・J-REITなど上場しているもの上場株式と同じ(亡くなった日の終値と3か月分の月平均のうち最も低い価格)
上場株式亡くなった日の終値と3か月分の月平均のうち最も低い価格

取引残高報告書を見ると、商品名の横に「投資信託」「上場投資信託」などの区分が書かれています。分からない時は、証券会社の相続窓口に聞いてみてください。

『いくつも証券会社に口座があったらどうしよう』という方もいますよね。その場合は、口座ごとに残高証明書を取り寄せて、それぞれ評価します。

計算例で見てみましょう

ここでは仮の数字で流れだけ確認します。実際の基準価額や税金相当額は、証券会社が出す残高証明書で分かります。

項目金額(仮の例)
亡くなった日の基準価額(1万口あたり)15,000円
口数200万口
基準価額 × 口数300万円
解約した場合に源泉徴収される税金相当額4万円(仮)
信託財産留保額・解約手数料6,000円(仮)
相続税評価額295万4,000円

税金相当額は、買った時より値上がりしている分にかかる税金です。値下がりしていれば、ここは0になります。

投資信託の相続税評価額を基準価額から計算する流れを示した図解

例えば、家族でこんなやり取りになることがあります。

「父さんの投資信託、買った時は200万円だったはずだよ」
「相続税で数えるのは、亡くなった日の値段なんだって」

値上がりしていた場合は、買った金額より高く数えられます。逆に下がっていれば、その分だけ評価も下がります。

投資信託を相続した時の税金は?

投資信託そのものに特別な相続税があるわけではありません。ほかの財産と合計して、基礎控除を超えた分に相続税がかかります。

基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。例えば相続人が配偶者と子2人の3人なら、4,800万円までは相続税がかかりません。

自宅や預貯金と合わせていくらになるのか、一度ざっくり足してみてください。相続税の仕組みは相続税とはでも確認できます。

相続した後に売った時の税金

相続した投資信託を後で売ると、利益に所得税がかかります。この時の取得費や取得時期は、亡くなった人のものを引き継ぎます。

ここが大事なところです。相続税を払った人が、申告期限の翌日から3年以内に売った場合は「取得費加算の特例」が使えます。払った相続税の一部を取得費に足せるので、売った時の税金を抑えられることがあります。

『いつ売っても同じでしょ?』と思うかもしれません。ただ、売るタイミングで税金が変わることもあるので、売る前に確認しておくと安心です。

土地や株、投資信託がいくつもあると、評価の計算だけでも手間がかかります。証券口座が複数ある、ほかに不動産もある、申告期限が近い、という方は、相続税に詳しい税理士にまとめて頼むと楽になります。

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相続手続きと相続税対策での注意点

投資信託は、相続人の誰が受け取るか決まるまで、勝手に売ったり移したりできません。手続きはおおまかにこの順番です。

投資信託の相続手続きの流れ
  1. 証券会社に亡くなったことを連絡し、口座を止めてもらう
  2. 亡くなった日の残高証明書(評価額が分かるもの)を請求する
  3. 遺産分割で誰が受け取るかを決める
  4. 受け取る人の証券口座へ移す(口座が無ければ作る)
  5. 必要なら相続税の申告と納税をする(亡くなった日の翌日から10か月以内)

投資信託で相続税を減らせる?

よく聞かれるのが『投資信託に替えておけば節税になる?』という質問です。

投資信託は亡くなった日の価格で評価されるので、現金と比べて評価が下がる仕組みはありません。値動きがある分、むしろ増えることも減ることもあります。

また、亡くなる直前に慌てて売ったり、家族の口座へ移したりすると、かえって手続きがややこしくなることも。家族名義でも中身が亡くなった人のお金なら、相続財産として数えられます。

評価を下げる方法としては、不動産の活用や生前贈与などが別にあります。全体の考え方は相続税対策とは、生きているうちに渡す方法は生前相続とはで解説しています。

よくある質問

投資信託の相続税評価額は、買った時の金額ですか?

いいえ。亡くなった日の基準価額に口数をかけ、解約した場合に源泉徴収される税金相当額と信託財産留保額・解約手数料を差し引いた金額です。

ETFやJ-REITも同じ計算ですか?

上場しているものは上場株式と同じ評価です。亡くなった日の終値と、その月・前月・前々月の終値平均のうち、いちばん低い価格を使います。

評価額はどこで確認できますか?

証券会社に、亡くなった日時点の残高証明書を請求すると確認できます。相続税の申告にも使います。

亡くなった後に値下がりしたら、評価額も下がりますか?

下がりません。相続税の評価は亡くなった日の価格で決まるので、その後の値動きは反映されません。手続きに時間がかかる間の値下がりには気をつけておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 投資信託の相続税評価は、亡くなった日に解約したら受け取れる金額で決まります。
  • 計算は「基準価額 × 口数 − 税金相当額 − 信託財産留保額・解約手数料」です。
  • 上場している投資信託は上場株式と同じ方法で評価します。
  • 相続した後に売る時は取得費を引き継ぎ、3年以内なら取得費加算の特例が使えることがあります。
  • 投資信託に替えても、評価が下がる仕組みはありません。
相続の手引き

相続の手引き 編集部

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