相続を弁護士に相談すべきケース|依頼できることと無料相談

相続で弁護士に相談すべきケースと依頼できること、無料相談の窓口を解説する記事のアイキャッチ

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『兄弟と遺産の分け方で話がこじれてきた』『弁護士に相談するほどのことなのかな』と悩んでいる方も多いですよね。

結論から言うと、相続人同士でもめている、またはもめそうな時は弁護士が相談先です。遺産分割の交渉や調停で、あなたの代わりに相手とやり取りできるのは弁護士なんです。

この記事では、相続で弁護士に相談すべきケース、依頼できること、無料相談の窓口と相談前の準備まで見ていきます。

目次

相続は弁護士に相談すべき?まず結論

先に結論
  • 相続人同士で争いがある・争いになりそうな時は弁護士に相談します。
  • 遺産分割の交渉や調停・審判の代理ができるのは弁護士です。
  • 遺留分の請求や、遺言の内容に納得できない時も弁護士の出番です。
  • 相続税の申告は税理士、相続登記は司法書士の仕事です。
  • もめていないなら、最初から弁護士に頼む必要はありません。

相続の専門家には、弁護士・税理士・司法書士・行政書士がいます。

それぞれ得意なことが違うので、「何に困っているか」で相談先が変わります。

困っていること相談先
遺産の分け方でもめている弁護士
遺留分を請求したい・請求された弁護士
相続税の計算・申告税理士
不動産の相続登記司法書士
戸籍集め・遺産分割協議書の作成(もめていない)行政書士

専門家ごとの違いは相続は誰に頼む?税理士・司法書士・弁護士・行政書士の違いで詳しく解説しています。

弁護士に相続を相談すべきケース

『まだケンカというほどではないけど…』という段階でも、相談してよいんです。

こじれてからより、こじれ始めた時の方が選べる手が多いからです。

弁護士に相談した方がいいサイン
  • 遺産分割協議で、相続人の一人が話し合いに応じない
  • 特定の相続人が遺産を独り占めしようとしている
  • 遺言書の内容が一部の相続人に極端に偏っている
  • 亡くなった親の預金が、生前に使い込まれていた疑いがある
  • 相手がすでに弁護士を立てている
  • 家庭裁判所の調停を申し立てられた

遺産分割協議がまとまらない

遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。

一人でも反対する人がいれば、話し合いは止まってしまいます。まとまらない時は、家庭裁判所の調停、さらに審判へと進みます。

弁護士は、相手との交渉から調停・審判まで、代理人として本人の代わりに話を進められます。顔を合わせたくない相手と、直接やり取りしなくて済むのは大きいですよね。

遺言書の内容に納得できない

例えば、「全財産を長男に相続させる」という遺言が出てきたケースです。

兄弟姉妹以外の相続人には、最低限受け取れる取り分として「遺留分」が認められています。遺言があっても、遺留分を侵害された人は、多く受け取った人にお金で請求できるんです。

遺留分の請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消えてしまいます。期限があるので、気づいたら早めに相談しておきましょう。

親の預金が使い込まれていた疑いがある

親と同居していた兄弟が通帳を管理していて、亡くなった後に見たら残高が大きく減っていた。こんな相談もよくあります。

『介護のために使っただけだ』と言われると、それ以上は家族同士で問い詰めにくいですよね。

弁護士に頼むと、金融機関の取引履歴を取り寄せて、いつ、いくら引き出されたかを調べるところから進められます。使い道に説明がつかない分は、遺産分割の話し合いの中で取り戻しを求めることになります。

介護をしてきたのに分け方に反映されない

長年親の介護をしてきた人が、『自分ばかり負担したのに、取り分は同じなの?』と感じることもあります。

相続人なら「寄与分」として、取り分を増やすよう主張する方法があります。相続人でない親族、例えば長男の妻が介護をしていた場合も、2019年7月1日から「特別寄与料」を相続人に請求できるようになりました。

特別寄与料は、相続の開始と相続人を知った時から6か月、相続開始から1年以内に請求しないといけません。期間がとても短いので、心当たりがあればすぐに相談してみてください。

相手が弁護士を立ててきた

ある日、相手の弁護士から手紙が届くこともあります。

『こっちも弁護士を頼まないといけないの?』と焦りますよね。

法律上、自分で対応することもできます。ただ、相手は法律のプロなので、言われるままに合意してしまうと取り返しがつかないこともあります。返事をする前に、一度弁護士に相談してみてください。

弁護士に依頼できること・できないこと

相続で弁護士に依頼できることは、大きく分けて次のとおりです。

弁護士に依頼できる主なこと
  1. 相続人・相続財産の調査
  2. 遺産分割協議の交渉の代理
  3. 遺産分割調停・審判の代理
  4. 遺留分侵害額請求
  5. 遺言書の作成の相談・遺言執行
  6. 相続放棄の申述の手続き
相続の困りごとごとに、弁護士・税理士・司法書士のどこに相談するかを示した図解

争いになった時の代理人になれる

ここが大事なところです。遺産分割の交渉や調停の代理ができるのは弁護士です。

税理士・司法書士・行政書士は、相続人の代わりに相手と交渉することはできません。

例えば、行政書士に遺産分割協議書を頼んでいた途中で、相続人の一人が反対し始めたとします。その時点で、交渉の部分は弁護士に引き継ぐことになります。

相続税の申告は弁護士ではなく税理士

相続税の申告は、税理士の独占業務です。

遺産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える相続では、もめごとと並行して相続税の申告も進めなければいけません。期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

『もめている間は、申告を待ってもらえるの?』と思いますよね。

実は、遺産分割がまとまらなくても申告期限は延びません。期限内に分割が終わらない時は、法定相続分で分けたと仮定して申告します。あわせて「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、分割後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。

そのため、争いのある相続では、弁護士と税理士の両方に関わってもらうことが多いんです。

相続登記は司法書士

不動産の名義変更(相続登記)の代理は司法書士の仕事です。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産の取得を知った日から3年以内に登記が必要です。分け方が決まらない時は、自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」で義務を果たせます。

遺留分の請求額はいくら?具体例で計算

遺留分がどのくらいになるのか、具体例で見てみましょう。

例えば、父が亡くなり、母はすでに亡くなっていて、子2人(長男・次男)が相続人のケースです。遺産は6,000万円で、遺言には「全財産を長男に相続させる」と書かれていました。

次男の遺留分の計算
  1. 全体の遺留分: 直系尊属だけが相続人ではないので、遺産の1/2。6,000万円×1/2=3,000万円
  2. 次男の法定相続分: 1/2
  3. 次男の遺留分: 3,000万円×1/2=1,500万円

次男は長男に、1,500万円をお金で支払うよう請求できます。2019年7月1日以降の相続では、遺留分は金銭で請求する仕組みです。

もう一つ、配偶者がいるケースも見てみます。

相続人遺産全体の遺留分各人の遺留分
子2人6,000万円3,000万円(1/2)子1人1,500万円
妻と子2人8,000万円4,000万円(1/2)妻2,000万円・子1人1,000万円
父母のみ6,000万円2,000万円(1/3)父・母1人1,000万円
妻と兄弟姉妹6,000万円3,000万円(1/2)妻3,000万円・兄弟姉妹0円

兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、妻と兄弟姉妹が相続人のケースでは、妻が全体の遺留分を受け取る計算になります。

実際には、生前贈与などを加えて計算するので、もう少し複雑になります。正確な金額は弁護士に計算してもらいましょう。遺留分を含む相続の期限は遺産相続の期限一覧で確認できます。

遺言で全財産が長男に渡ったケースで、次男の遺留分を計算する流れを示した図解

相続の弁護士無料相談はどこでできる?

『いきなり法律事務所に電話するのは気が引ける』という方も多いはずです。

まずは無料で話を聞いてもらえる窓口から始める方法もあります。

窓口内容注意点
市区町村の無料相談弁護士・税理士による相談相談時間が短め・予約制が多い
法テラス法律相談収入などの要件がある
法律事務所の初回相談事務所ごとに対応無料かどうかは事務所で違う

市区町村の無料相談は、相談時間が限られていることが多いです。聞きたいことを先にメモしておくと、短い時間でも話が進みます。

市役所の相談でできることは市役所の相続無料相談でできること・できないこと、相談先の全体は相続の相談はどこにする?で解説しています。

電話相談とオンライン相談

電話で無料相談を受け付けている法律事務所もあります。

ただ、電話だけでは書類を見てもらえないので、一般的な答えにとどまりやすいです。遺言書や財産の資料を見てもらうなら、面談かオンライン相談の方が具体的な話ができます。

弁護士費用は事前に見積もりを

弁護士の報酬は、事務所ごとに決めています。

相談料・着手金・成功報酬など、何にいくらかかるかは依頼する前に見積もりをもらって確認しておきましょう。「どこまでやってもらうと、いくらになるか」を聞いておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

相続に強い弁護士の選び方

「相続専門」をうたう法律事務所もありますが、名前だけでは中身は分かりません。

相談の時に、次の点を聞いてみてください。

弁護士を選ぶ時に聞いておきたいこと
  • 遺産分割や遺留分の案件をどれくらい扱ってきたか
  • 調停や審判になった場合の見通し
  • 費用の内訳(相談料・着手金・報酬)
  • 相続税がかかる場合、税理士と連携できるか
  • 連絡の取りやすさ、説明の分かりやすさ

例えば、相談の場ではこんなやり取りになります。

「兄が話し合いに応じてくれないんです」

「では、まず財産の資料をそろえて、こちらから分割の案を出すところから始めましょう」

話を聞いて、こうして次の一歩を具体的に示してくれるかどうかも、相性を見るポイントです。

相談前に準備しておくもの

相談の時間を有効に使うために、次のものをそろえておきましょう。

  • 相続関係が分かるメモ(誰が相続人か)
  • 遺言書があればそのコピー
  • 財産の一覧(預金・不動産・借金など)
  • これまでの話し合いの経緯(いつ、誰が、何と言ったか)
  • 相手から届いた手紙などがあればそのコピー

経緯は箇条書きで構いません。時系列で書いておくと、弁護士も状況をすぐにつかめます。

弁護士に頼む前に知っておきたい期限

相続には、もめている間も止まらない期限があります。

期限内容
3か月以内相続放棄・限定承認の申述
10か月以内相続税の申告・納付
1年遺留分侵害額請求(相続開始と侵害を知った時から)
3年以内相続登記
10年特別受益・寄与分を主張できる期限(相続開始から)

2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました。原則として法定相続分で分けることになります。

『落ち着いてから考えよう』と先延ばしにしているうちに、使えたはずの主張ができなくなることもあるんです。

もめごとが長引きそうな相続で、遺産が基礎控除を超えて相続税がかかりそうなら、10か月の申告期限にも目を向けておきましょう。争いは弁護士、申告は相続税に詳しい税理士と、早めに分担して動くと期限に追われずに済みます。

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よくある質問

遺産相続で弁護士に相談するのはどんな時ですか?

遺産分割協議がまとまらない、遺言の内容に納得できない、遺留分を請求したい・請求された、相手が弁護士を立ててきた、といった争いがある時です。もめていなければ、最初から弁護士に頼む必要はありません。

相続の弁護士無料相談はどこで受けられますか?

市区町村の無料相談、法テラス(収入などの要件あり)、初回相談を無料にしている法律事務所などがあります。無料かどうか、相談時間はそれぞれ違うので事前に確認しておきましょう。

相続税の申告も弁護士に頼めますか?

相続税の申告は税理士の独占業務です。争いがある相続では、交渉や調停は弁護士、相続税の申告は税理士と分けて頼むのが一般的です。

遺留分はいつまで請求できますか?

相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、または相続開始から10年で請求できなくなります。2019年7月1日以降の相続では、金銭で請求します。

遺産分割でもめていても相続税の申告期限は延びますか?

延びません。期限内に分割がまとまらない時は法定相続分で仮に申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、分割後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。

まとめ

この記事の要点
  • 相続人同士でもめている・もめそうな時は弁護士に相談する
  • 遺産分割の交渉や調停・審判の代理ができるのは弁護士
  • 遺留分は兄弟姉妹以外の相続人にあり、1年・10年の期限がある
  • 相続税の申告は税理士、相続登記は司法書士が担当する
  • 無料相談は市区町村・法テラス・法律事務所の初回相談などで受けられる
  • 争っている間も相続税の申告期限(10か月)は延びない

まずは、相続人と財産、これまでの話し合いの経緯をメモにまとめてみてください。それを持って無料相談に行くだけでも、自分のケースで弁護士が必要かどうかがはっきりします。

家庭裁判所の調停の手続きは裁判所のサイトでも確認できます。

相続の手引き

相続の手引き 編集部

相続・相続税の制度と手続きを、公的機関の公開情報をもとにわかりやすく解説しています。 公式サイト

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