資産管理会社による相続対策|法人化のメリット・デメリットと設立の流れ

資産管理会社による相続対策の仕組みとデメリットを解説する記事のアイキャッチ

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アパートや貸地からの収入があり、『会社を作ると相続税対策になるって本当?』と気になっている方も多いはずです。

結論から言うと、資産管理会社は「家賃収入が親の財産として積み上がるのを抑える」ことで、相続税の負担を減らす仕組みです。作っただけで相続税が下がるわけではなく、向き不向きがはっきり分かれます。

この記事では、法人化で相続税対策になる理由と、デメリット、設立の流れがわかります。

目次

資産管理会社とは?相続対策になる理由

先に結論
  • 資産管理会社は、不動産などの資産を持ったり管理したりするために作る家族の会社です。
  • 家賃収入を会社に入れ、役員報酬として家族に分けることで、親の財産が増え続けるのを抑えられます。
  • 相続の時は、不動産そのものではなく会社の株式を相続することになります。
  • 設立費用や維持コストがかかるので、収入や資産の規模によっては逆効果になることもあります。

資産管理会社は、法律上の特別な会社ではありません。ふつうの株式会社や合同会社を、家族の資産を管理する目的で作ったものです。

『会社を作ると何が変わるの?』と思いますよね。ポイントは、家賃などの収入が「誰の財産として貯まるか」なんです。

個人で持ち続けると、相続財産が増えていく

アパートを親が個人で持っていると、家賃収入はすべて親のお金として貯まります。長く経営するほど預金が増え、相続税の対象になる財産も増えていきます。

会社を作って家賃が会社に入るようにすれば、その収入から子や配偶者に役員報酬を払えます。親の手元に貯まるはずだったお金を、少しずつ家族に分けられるわけです。

資産管理会社を作った場合と個人で持ち続けた場合の、家賃収入の流れの違いを示した図解

法人化のメリット

相続税対策としての効果のほかにも、法人化にはいくつかの利点があります。

メリット内容
相続財産の増加を抑える家賃収入を会社に入れ、役員報酬で家族に分けられる
所得を分散できる家族それぞれに報酬を払うことで、親1人に所得が集中するのを避けやすい
経費の幅が広がる役員報酬や退職金など、会社ならではの支出を経費にできる
相続手続きがまとまる不動産ではなく株式を引き継ぐので、物件ごとの名義変更が要らない
承継の準備がしやすい株式を少しずつ贈与するなど、計画的に引き継げる

例えば、親が持つアパートを会社に移し、会社の株式を子が持つ形にしておく方法があります。この場合、アパートの価値が上がっても、親の財産は増えません。

株式の贈与には暦年課税の基礎控除(受け取る人ごとに年110万円)も使えます。贈与の基本は生前相続とはでも解説しています。

株式の評価はどうなる?

資産管理会社の株式は上場していないので、非上場株式として評価します。評価の方法には類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式があり、会社の規模や株主の立場で使い分けます。

不動産をたくさん持つ会社は、評価の方法が限られることもあります。どの方法になるかで株価が大きく変わるので、ここは税理士に試算してもらう部分です。

法人化のデメリット・注意点

『会社を作れば得をする』と考えるのは早いんです。デメリットもきちんと比べておきましょう。

法人化が向いているケース
  • 家賃収入が多く、親の預金が毎年増え続けている
  • 配偶者や子を役員にして、実際に管理の仕事を任せられる
  • 不動産の数が多く、相続時の名義変更の手間を減らしたい
法人化が向かないケース
  • 家賃収入が少なく、会社の維持費のほうが重くなる
  • 役員になる家族が、実際には何の仕事もしていない
  • 不動産を会社に移す時の税金や費用が大きくなる

設立と維持にお金がかかる

会社を作るには登記の費用がかかり、毎年の決算や法人の申告も必要です。税理士に頼めば、その報酬もかかります。

赤字でも、法人住民税の均等割など毎年かかる税金があります。収入の規模が小さいと、節税より維持費が上回ることもあるんです。

不動産を会社に移す時の税金

個人の不動産を会社に売ると、親に譲渡所得の税金がかかることがあります。会社側でも、不動産取得税や登録免許税がかかります。

そのため、土地は個人のまま、建物だけを会社に移すといった方法がとられることもあります。どの形が合うかは、物件ごとの事情で変わります。

個人の特例が使えなくなることも

個人で持っていれば使えた特例が、法人化で使えなくなる場合があります。例えば、小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減額)は、土地の持ち方によって使えるかどうかが変わります。

役員報酬も、仕事の実態がないと経費として認められないおそれがあります。家族を役員にする時は、実際に管理や経理を担ってもらうことが大切です。

合同会社と株式会社、どちらがいい?

資産管理会社は、合同会社で作られることも多いです。設立の費用を抑えやすく、家族だけで運営するなら手続きもシンプルだからです。

一方、株式会社は、株式の贈与で少しずつ子に引き継ぐ形が取りやすいという面もあります。どちらが合うかは、誰が出資して、将来どう引き継ぐかで考えてみてください。

例えば、こんな相談がよくあります。

「とりあえず安く作れる合同会社でいい?」
「将来、子どもに持ち分を少しずつ渡したいなら、その方法も含めて比べておきましょう」

相談する前に用意しておきたいもの

試算に必要な資料
  • 不動産ごとの固定資産税の課税明細書
  • 直近数年分の確定申告書(不動産所得の内訳)
  • 借入金の残高がわかる書類
  • 預貯金・株式など、不動産以外の財産の一覧
  • 家族構成と、役員になってもらいたい人

これだけそろっていれば、相続税と所得税の両面から、法人化した場合としない場合を比べてもらえます。

資産管理会社の設立の流れ

設立そのものは、手順を踏めば難しくありません。大切なのは、作る前の試算です。

設立までの流れ
  1. 今の財産と家賃収入から、相続税と所得税の見込みを試算する
  2. 会社の形(合同会社・株式会社)と、出資者・役員を決める
  3. 定款を作り、法務局で設立の登記をする
  4. 税務署などに設立の届出を出す
  5. 不動産の管理を任せる形にするか、建物を会社に移すかを決めて実行する

不動産全体の相続税対策は不動産の相続税対策、アパートに絞った対策はアパート経営の相続税対策で解説しています。

法人化が得かどうかは、財産の額や家賃収入、家族構成で変わります。特に、不動産が複数ある、家族を役員にしたい、相続税の試算をまだしていない、という方は、設立前に税理士に数字で比べてもらうと判断しやすくなります。

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よくある質問

資産管理会社を作れば相続税は0円になりますか?

なりません。家賃収入が親の財産として貯まるのを抑える仕組みなので、すでにある財産がすぐに減るわけではありません。効果は収入の規模や運用年数によって変わります。

合同会社でも相続対策になりますか?

なります。家族の資産管理会社は合同会社で作られることも多いです。将来どう引き継ぐかも含めて、株式会社と比べて選びましょう。

家族を役員にすれば、報酬は自由に払えますか?

仕事の実態がない役員報酬は、経費として認められないおそれがあります。管理や経理など、実際に役割を担ってもらうことが前提です。

まとめ

この記事の要点
  • 資産管理会社は、家賃収入が親の財産として積み上がるのを抑える相続対策です。
  • 役員報酬で家族に所得を分けられ、相続時は株式を引き継ぎます。
  • 設立・維持の費用や、不動産を移す時の税金がかかります。
  • 個人で使えた特例が使えなくなる場合もあるので注意が必要です。
  • 作る前に、財産と収入から相続税・所得税を試算しておきましょう。
相続の手引き

相続の手引き 編集部

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