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父が亡くなって相続の手続きを始めようとしたら、母は認知症で書類の内容がわからない。『母の代わりに子どもがサインしてもいいの?』と悩んでいる方も多いはずです。
結論から言うと、母の判断能力が十分でない場合、子が代わりに遺産分割協議書にサインすることはできません。協議をするなら、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらうのが基本です。
この記事では、父が死亡し母が認知症の時に取れる進め方と、それぞれの注意点がわかります。
母が認知症だと遺産分割協議はできない?
- 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要で、判断能力のない人の合意は無効になるおそれがあります。
- 子が母の代わりに署名・押印するのは認められません。
- 協議をするなら成年後見人を立てる、協議をしないなら遺言どおり・法定相続分どおりに手続きする、のどちらかになります。
父の相続人は、母(配偶者)と子です。子が2人なら、法定相続分は母が2分の1、子がそれぞれ4分の1になります。
遺産分割協議は、この相続人全員が内容を理解して合意しないと成立しません。認知症の程度が軽く、内容を理解できる状態なら協議に参加できることもあります。判断が難しい時は、主治医に相談しておきましょう。
『家族みんな納得しているから、母の欄は私が書けばいい』と思ってしまいがちですよね。ただ、後から協議が無効と言われるリスクがあり、銀行や法務局で手続きが止まることもあるんです。
父の相続で取れる3つの進め方
母が協議に参加できない時、進め方は大きく3つあります。どれが合うかは、遺産の中身と、母の今後の暮らしで変わります。
| 進め方 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 遺言どおりに分ける | 父が遺言書を残していた | 遺言の形式によっては検認が必要 |
| 法定相続分で手続きする | 不動産を共有にしても困らない | 自宅が母と子の共有になり、後で売りにくい |
| 成年後見人を立てて協議する | 自宅の名義を子にしたい、預金を解約して分けたい | 後見は相続後も続き、費用もかかる |

成年後見人を立てる時の注意点
成年後見人は、家庭裁判所に申し立てて選んでもらいます。子が候補者になることもできますが、専門家が選ばれることもあります。
後見人は母の財産を守る立場なので、原則として母の法定相続分を下回る分け方には同意しにくいんです。『母の分はゼロにして、子が全部受け継ぐ』という分け方は通りにくいと考えておきましょう。
また、子が後見人になった場合、子と母はどちらも相続人なので利害がぶつかります。この時は、協議のために別の人(特別代理人など)が必要になることもあります。
後見は相続の手続きが終わっても、原則として母が亡くなるまで続きます。「相続のためだけに後見をつける」のは、家族にとって負担が大きいことも覚えておいてください。
当面の生活費は預金の仮払い制度で
協議がまとまるまで、父の口座は凍結されます。葬儀代や母の生活費が必要な時は、預金の仮払い制度が使えます。
1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額×1/3×その相続人の法定相続分」、上限150万円まで、相続人が単独で払い戻しを受けられます。銀行の手続きは銀行の相続手続きの流れで詳しく解説しています。
相続税と期限で気をつけること
母が認知症でも、相続の期限は待ってくれません。手続き全体の流れは相続手続きの流れで確認しておきましょう。
例えば、父の遺産が預金2,000万円と自宅3,000万円、相続人が母と子2人なら、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。遺産の合計5,000万円が基礎控除を超えるので、相続税の申告が必要になります。
母が受け取る分は配偶者の税額軽減で相続税がかからないことが多いですが、軽減を使うには申告が必要です。申告期限は、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内です。
期限までに分け方が決まらない時は、法定相続分で仮に申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、分けた後に配偶者の税額軽減などを受けられます。
母に後見人がつくと、母の財産を使った相続税対策は難しくなります。母が亡くなった時の二次相続の税金も見据えて、分け方を考えておくと安心です。
後見の申し立てと相続税の申告が重なると、手続きの量はかなり増えます。自宅などの不動産があり、期限が近い場合は、税理士に早めに相談しておくと進めやすくなります。
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よくある質問
母が認知症でも、相続放棄はできますか?
判断能力がない状態では、母本人が相続放棄をするのは難しいです。成年後見人がついていれば、後見人が母のために手続きをすることになります。
遺言書があれば、成年後見人はいりませんか?
遺言で遺産の受け取り方がすべて決まっていれば、遺産分割協議をせずに手続きできることがあります。遺言の内容と形式によって変わるので、まずは遺言書の有無を確認してみてください。
法定相続分で不動産の登記をすると、何が困りますか?
自宅が母と子の共有名義になります。後で売る時や建て替える時に、母の同意が必要になり、そこで後見が必要になることがあります。
まとめ
- 母が認知症で判断能力がない時は、子が代わりに遺産分割協議書へサインできない
- 進め方は、遺言どおり・法定相続分どおり・成年後見人を立てて協議の3つ
- 後見人は母の法定相続分を守る立場で、後見は相続後も続く
- 相続税の申告期限は10か月、配偶者の税額軽減は申告が必要




